《遠距離と二股とエンゲージリング》前編(2008/8/14 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

今日は、ラジオをお聞きの方からの恋愛体験談をご紹介します。
彼女は今、30代。20代の頃に運命的な出会いで知り合った彼氏との紆余曲折を番組に寄せてくれました。
頂いた体験談にもとづき、一部筆を加えてご紹介してまいります。
「人に歴史あり」と言いますが、誰にでも「物語」があるものだ、と改めて教えられました。
・・・・・・

今から10年ほど前、短大を卒業して実家でフリーター生活をしていた時のお話。
?その頃私は、地元の服屋さんでバイトの毎日だった。
?
昔からの夢はあったけど、それに具体的に挑戦をするもこともなく、漫然と毎日を送ってた。『洋服が好きだからこの仕事してるの』って皆には言ってた。
でもそれってホントだけど嘘。
夢を叶える為に何をしたらいいか分からなかった・・・、というより・・・
多分・・・何かに挑戦しても、壁にぶつかって夢敗れるのが怖かったんだと思う。
?
その当時、彼氏はいなかった。
でも恋はしてた。 っていうか「憧れの人」がいた。
何年も前から大好きで、でも手の届かない人。ダンサーの彼。
片思いが長すぎてホントに彼が好きなのかどうか自分でも分からない。
麻痺してて、でも「私は彼が好き」なんだっていう・・・何ていうか・・・恋に恋してる感じかな・・・

手の届かない男に振り回されてるマゾな自分に、ほんと呆れちゃった。
私の恋心はもう死んっじゃったんだ、と思ってた。
男にどうしようもなく、恋焦がれるような気持ちになる事は、たぶんもうないだろうと感じてた。
夢にも、恋愛にも、新しい一歩を踏み出せない自分がとっても情け無かった。

私の女友達は、結構したたかで、恋愛対象と遊びの相手を分けていてそんな奴等と遊んでいると、自然に私もそんなふうに染まっていった。
ナンパのあしらいにもそこそこ慣れてきた頃、私は、彼と出逢ってしまった。それは運命的な出逢いだった。

夢があろうが、無かろうが、恋してようが、絶望してようが・・・
どんな暮らし方してても、関係なく時間だけは過ぎてくわけで・・・
クリスマス過ぎたらあっという間に大晦日。
年の暮れも相変わらず友達と飲み歩いてた。
クラブのカウントダウンパーティーで、憧れのダンサーの彼が踊るという。
そのイベントのクライマックスまで、時間潰しで大通りをプラプラしてたらナンパされた。

友達と三人一緒だったので、イベント待ちの暇つぶしで一緒に飲む事にした。
誘われたお店の中は暗かったし、興味もないから相手の顔もマトモに見てなかった。
でも一応場は盛り上がってたよ。男のコの一人が、私達を無視してがカラオケを歌ってた。
ナンパしといて、失礼な奴・・・と思ったけど・・・
ふと見えたその横顔にくぎづけになった!
?・・・・・・どーしよ・・・・めちゃ好み・・・・・
?
隣の男のコが、なんか話し掛けてきてるけど、何にも聞こえない。
友達に『あたしの隣の男のコ、あんたの事気に入ってるみたいよ』って嘘ついて席を替わってもらった。ごめんね。

彼の隣に座って、近くでまじまじ見たらますます私のタイプ!
あたしってこんなに惚れっぽかった???

『そろそろクラブのイベントに戻る時間じゃない?』友達が言うけど・・・・、
ゴメンね。アタシそれどころじゃないや!
今ここに、私の運命の彼がいる・・・・と確信を持った。
酔った勢いも手伝って,大晦日のナンパグループで「初詣」に繰り出し、挙句の果てに正月早々、私と彼はみんなを撒いて、二人で「お泊り」しちゃった。?

新年早々いい感じの急展開!って…あれ?…
彼…私の事どう思ってるんだろ?私、彼の事、何も知らない・・・・・。

ひとしきり営んだ後に、思い切って彼に聞いてみたら・・・
彼、お正月休みで帰省してるだけだった・・・。福島の会社に勤めているそうで、休みが明けたら福島に帰っちゃうんだって・・・・。

「お泊り」する前に、どうして最初に確認作業ができないのアタシ・・・・
またまた不毛な恋の予感に、私は深ぁ~く、落ち込んだ。
正月早々、私と彼はみんなを撒いて、二人で「お泊り」しちゃったが、勢いに任せて、肝心な様々な事柄を彼に確認しないままベッドになだれ込み、彼が休み明けに福島に帰ると聞かされ、かなり落ち込んだ。
いい感じで盛上がってたテンションはビックリするようなスピードで落ちてった。
?『あたしのことどう思ってるの?』っていう大切な事も聞き出せないまま、彼が福島に帰る日を迎えてしまった。

彼を駅まで送る車の中、二人で話してても私はうわの空・・・・
『どう思ってる?』『好き?』『好きなの』『付き合って』いろんな言葉が浮かんでくるけど、やっぱり女の私からは言えない。彼から何か言ってくれればいいのに・・・・。
あーじれったい!!
やっぱ聞いちゃう?『次はいつ会える?』くらいなら聞けるかな?
いや、一晩過ごしただけでナニ?この女?とかって思われたら・・・・プライドが許さない・・・?

このまま別れたら、もう彼に会えないんだろうか?
それでいーの?私。どうせもう会えなくなるなら後悔はしたくない。
そこで・・・・・思い切って切り出した。
『ねぇ・・・・アタシと付き合ってくれない?』
できるだけ明るく軽く言ってみた・・・・きょとん??? とする彼・・・
あちゃ~やっちゃった? 無理に上げたテンションが急降下・・・・。
?
次に彼が口を開くまで、アタシにはどうしようもなく長い時間に感じられた。
最悪の結果をシュミレーションするには十分過ぎる時間だった。
やっぱ余計なコト言わなきゃ良かった・・・・。?
すると・・・ようやく彼の口が開いた。
『…え…?一晩過ごしたし。俺達、ちゃんと付き合い始めたんじゃないの?
いい加減な気持ちじゃ一緒にいないよ』
その一言で、私は一気に力が抜けた・・・・。
?
なに?今までのアタシの緊張は、なんだったの?一人で勘繰って悩んで、馬鹿みたい・・
そうか・・・・そうなんだ。目の前にいるこの人は、アタシの彼氏なんだ。
下がりに下がったテンションは一気に大気圏を突き抜けていった。あたしって単純!?
でも・・・ホントはね・・・
一回やったくらいで、勝手に付き合ってると思い込んでるその男のおかしさにもっと早く気付くべきだったんだけど・・・・
Love?is?Blind?とはよく言ったもので・・・・私、見えかったのよねぇ・・・ホントの事が・・・・。
大晦日の劇的な出会いで付き合い始めた彼。
福島に住む彼とは、最初から遠距離恋愛だったケド、毎夜かかってくる電話のおかげで距離は気にならなかった。
電話の向こうの彼の声は、あたしの耳に真っ直ぐ甘く響き、よけいに彼を身近に感じた。
離れてはいたけれど、彼はいつもあたしの耳元に居てくれた。 うふっ・・・・
初めての遠距離恋愛は、会えない切なささえ『恋のスパイス』・・・なんて感じだった。

彼は休みのたびに車を飛ばして会いに来てくれた。
不思議なもので私生活が充実すると仕事にも張り合いがでてくる。
洋服屋のバイトで何とな~く毎日を過ごしてたアタシだったけど、
彼に恥ずかしくない自分でいたくて・・・頑張って働いたら昇格しちゃった。
恋の力ってスゴイ・・・・って本気で思った。

でもね・・・・。恋も仕事も順調、順調なんていい気になってたら、頑張りすぎて病気になった。
彼はできる限り病院に来てくれた。
手術明けでほとんど動けないあたしの看病を一生懸命してくれた。
彼の存在があたしには支えになった。
あたし達は病院のベットの上で結婚の約束をした。
左手の薬指にはダイヤの指輪・・・・・毎日眺めて過ごした。幸せだった。

退院して半年が過ぎた頃、バイト先の先輩から急な呼び出しがあった会ってほしいコがいると告げられた・・・
後輩に最近彼氏ができたんだけど、どうも「あたしの彼」と被ってるらしい・・・という。
そんな馬鹿な・・・・・私、彼の婚約者なんだけど・・・・・なんなの?この展開。嫌な予感がした。

夕方の喫茶店・・・・あたしは一人。恋敵を待っていた。
会ってナニを話すのか?
話したからってどうなるのか?
ホントにフタマタだったとして、そんな男とアタシは関係を続けていけるんだろうか?
よくわからなかったけど、とにかくあたしは彼女を待った。
とにかく・・・ここは勝って帰ろうと思った。(何が勝ちかはわかりませんが・・・・)
イザという時の選択肢は多い方がいい。
なによりも、あたしがブチ切れて彼と別れて、その後フタマタ相手とラブ×2なんてコトになったら許せない。
必勝法は、『取り乱さない』コト。
深呼吸をしてダイヤのリングを一撫でした瞬間・・・・店の扉が開いた。
多分…あれが彼女。

夕方の喫茶店…
初対面の女二人…
ぎこちない空気が流れていた。
どうやら先輩は彼女に何も告げてないらしい・・・・。

あたしは意を決して話を振った!『ねぇ、彼のこと知ってる?』
彼女は屈託のない笑顔で『はい、私の彼氏です。』って・・・・・。
そんなにまっすぐ答えられるとあたしも困っちゃうんだけど・・・・

…視線を落としてダイヤのリングを見つめる。
あたしの視線を追って彼女の目にも指輪が映る。
『その指輪ってもしかして…』
『あぁ…コレね…』手を組み替えて指輪を隠す。
『もしかして…あの人の彼女・・・・なんですか?』
『あぁ…でも…今は違うのかも知れないけど…』

彼女の表情がみるみる曇ってゆく。
『いつからですか?実家に行ったコトあるんですか?
あたし、彼の会社の旅行にも一緒に行ったんですよ!?』
って、・・確かに会社の皆で長野に行ったからって、家にお土産買ってきてたなぁ・・・・
てか、浮気旅行の土産をあたしに持ってくるかぁ~・・・アイツ…いい根性してんじゃん(-_-メ)

彼女の話を聞いてはっきりした。
私の婚約者で遠距離恋愛の彼は、毎週車で福島―盛岡間を往復し、いけしゃーしゃーと、二人の女を相手にしてた。
お互いの話をパズルの様に合わせると、彼の行動が見えてくる。
昼にあたしと会って夜は彼女。そして、彼女とのお泊り抜け出してあたしとドライブ・・・。
ふたを開けて見たら・・・・、あたしの婚約者はなかなかブラボーなヤツだった。
《「白衣の天使」だって一人の女》(2008/8/7 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

最近は、お医者さんや看護士さんが不足していて大変だ、とよく聞きます。
医療関係のお仕事はかなりの重労働で、勤務時間も長いとか・・・。
そんな大変な毎日を送る看護士さんたちも、もちろん恋をします。
でも、やっぱり出会いの場は限られるようで、その恋愛事情も様々。
そんな中で、今日はとある看護士さんのお話を聞いてください。

彼女は、26歳の看護士。
これまで様々な男と恋をしたが、いつも肝心なところで、駄目にしてきた。
人の命に係る仕事には、正直誇りを持っているし、責任感も強く感じている。
しかし、その代わり精神的なストレスも多い事は確かだ。
だから、せっかくの休みの日に彼氏といる時間を絶対に大事にしたいと思ってる。

なのに、この間久々に会った彼に、ちょっとした言葉尻を捕まえて、いつまでもグチグチ言われた。
いい加減頭にきたんで、「だったら別れましょう。」と言い返したら、手のひらを返して、「そういう意味じゃない・・・」ってアンタ!どういう意味よ!!
その上、そのケンカ以来「ごめんよ。やり直そう。」って、毎日メールしてきて、最後はストーカーのように付きまとわれた。
そういうことが、私達の仕事にとって一番迷惑だということが、何で分かってくれないんだろう。

本気で私の事を大切に思ってくれるなら、私の仕事を理解してくれて、仕事のシフトにあわせて、私との時間を作ってくれればいいのに・・・・。
何も無理してくれなくて良いの。
時間が出来たら私から会いに行くから・・・、って言ったじゃない。
彼に幻滅した今となっては、この想いもむなしいだけね。

そもそも彼は、私好みで、出逢った頃はとっても優しくて楽しい人だった。
彼をあんなふうにしたのは、もしかすると私のせい・・・・?
彼が会いたいと思ったときに、私は仕事で会いにいけなかった。
だから、久々に私と会うと、文句を言いたくなったんだろうな・・・・
でも、もう駄目。私の方から「別れましょう。」と言ったんだもの・・・。
看護士になりたての頃は、恋愛どころの騒ぎじゃなかった。
最初の3年間は、そりゃもう仕事を覚えるのに無我夢中!
大きな病院勤務だったので、交代制の勤務で生活は一変した。
夜勤の翌日は、ただただ眠った。眠る事だけが救いだった。

ようやくこの仕事に慣れたのが、3年目を過ぎたあたりだったろうか・・・。
若いドクターに憧れた。恋愛感情というより、彼の頼もしさに魅かれたのかもしれない。
勤務明けに一緒に食事をするようになり、自然と男と女の関係になった。
よくある職場恋愛・・・ってパターンかな・・・。
でも、しだいに彼は、本性をあらわした。
会うたびに身体を求めてきて、私のコンディションなんて全然無視。
「何かあれば、俺がいるだろう・・・」って、ほんと身勝手。
いつの間にか、私は彼の「夜のお供」にされている、と気付いた。
お坊ちゃんドクターには、よくある話・・・。

そう気付いて間もなく、彼は教授の娘と見合いしたと噂で聞いた。
本当、安手の医療ドラマの筋書き通り、だと思えて、思わず笑ってしまった。
「笑ってる場合じゃないでしょう!」と同僚に言われたけど、怒る気さえも起きなかった。

その後、彼が手切れ金だといって分厚い封筒を持ってきた。
情けないのを通り越して、なんの感情もわいてこなかったが、それを拒む理由もないので、
当然の代償として、私はその封筒を受け取った。
そしたら、彼が何て言ったと思う?
「最後に、もう一回・・・」だって・・・。流石にその一言には、私も、切れた。
看護士になって3年目に、初めて大人の女として恋をしたが、
憧れのドクターが、ただの身勝手なお坊ちゃんで、私はいいように遊ばれた。
その代償として手切れ金のようなお金を貰ったけど、そのお金はほとんど遊びに使った。
日頃のストレスを発散するには、そんなお金でも有効に活用できた。

相変わらず忙しい日々は続いていたが、4年目にもなるとある程度は要領もよくなり、
そつなく対処できると回りからの評価も上がった。
でも、やっぱり非番の休みに一人身は辛かった。辛いというより、淋しかった。
もてあました時間はどうしても人恋しくて、行きつけのバーや居酒屋に通った。
そこで、面白いオジサンに出逢った。

そのオジサンは、居酒屋やスナックを何店か経営しているという。
1週間に1日・2日でかまわないから、うちの店で働かないか?と持ちかけられた。
仕事の事は、内緒にしていたので、たぶんただのOLだと思って誘ったのだろう。
そんなアルバイトは、考えた事もなかった。
最初は、無理・・・・と思ったけど、今までまったく無縁な世界が、なんだかとっても面白そうで、ちょっとだけならいいか・・・と考え、週一でバイトする事にした。

毎週木曜日の夜、8時から11時まで、オジサンが経営するスナックで働き始めた。
最初は、先輩のお姉さんに教わりながらも、あれこれ至らず、お客さんたちに迷惑を掛けた。
それでもそもそも要領が良いので、次第に慣れて、常連客も付くようになった。
普通の女の子とはちょっと違う雰囲気が、たぶん気に入られたのだろう・・・。
そのお客さんの中に、特に彼女に行為を寄せてくれたのが広告会社の彼だった。

ルックスこそイマイチだったが、お話はいつも面白くて、なにしろ佇まいや振る舞いがスマートで、彼女もかなり気になっていた。
彼に何度か食事に誘われたけど、勤務シフトの関係でなかなか約束できず、彼女も申し訳ない気持ちを重ねていた。
しかし、それが結果的に彼をジラスことになり・・・・
彼は徐々に本気で彼女を追いかけるようになった。
彼女は、広告会社に務める彼から何度も食事に誘われてはいたが、勤務シフトの関係で、なかなか都合が付かなかった。
その時点では、看護士であることを隠してスナックでバイトしている事は、彼にもまだ内緒にしていた。

ようやく一緒に食事に行く約束が出来たのは、誘われてから2ヵ月後の事だった。
その頃には、焦らしに焦らされた彼の気持ちは彼女一色になっていた。
だから初めてのデートは、気合が入った。
カジュアルなフレンチのディナーなんて、彼女は初めてだったし、彼だって久々だった。
ちょっと緊張気味に彼女を気遣う彼の気持ち嬉しかった。
だから、その夜彼女は、彼に心も身体も許した。

それ以来、彼は、尚一層彼女に夢中になり、彼女の本当の仕事についても聞きたがった。
仕方なく彼女は、彼に看護士であることを打ち明けた。
すると彼は、そんな大変な仕事をしているのに、なんでバイトなんか・・・・、といぶかったが、彼女の話を聞いて納得したようだった。
「これからは、君の仕事のサイクルにあわせるよ。」と優しく言ってくれた。

この人となら・・・・とその時は思った・・・・が、その彼が、いつの間にか私の言葉尻を捕まえて、グチグチと・・・・。
勢いで「それじゃ、別れましょう。」とは言ったけれど、まさかあんなにうろたえるなんて・・・・。
終いには、ストーカーまがいの「ごめんねコール」・・・。

私達は、もう駄目かとも思ったけど・・・・、
彼の愚痴も愛情の裏返しと思えば、なんだか許せるかも・・・。
私も淋しさから、バイトしたりしたけど、彼だってきっと淋しかったんだと思う。
「ごめんねコール」もウザッタイから、そろそろ彼を許してやろうかな・・・・。

なんたって、私は心優しい「白衣の天使」ですから。
【海の家奇談】(2008/7/31 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

その夏、彼は海水浴場で海の家のアルバイトをしていた。
大学2年生の夏休み。親戚が毎年開いている海の家だったが、年々人手不足になりついに彼にも声が掛る事になった。
海の家に遊びに来ていた子供の頃は、本当に楽しい場所だったが、いざバイトで働いてみると、結構きつい。
暑い盛りの厨房も辛い、パラソル立ても重労働、シャワー室の掃除は情けない・・・。
まぁ、それでも水着の女性を遠慮なく眺められる事だけは、救いになった。
それに、忙しい分だけ売上も上がり、大入りの日にはバイト代の他にお小遣いももらえた。

一日の営業が終わり、店を閉めると彼はその海の家に泊っていた。
暮れてゆく海を眺めながら飲むビールは格別なものだった。
そして、蚊取り線香の煙にむせながら一人店の中で潮騒を聞いていた。

そんなある夏の夜、いつものように一人で海の家の留守番をしているところに、「ごめんください。誰かいませんか。」と外から声がした。
誰だろう・・・と入り口を開けると、一人の女性が立っていた。
「こんな夜に一人で、どうしたの?」と聞くと・・・
彼氏とケンカして、置き去りにされた・・・という。
それってドラマとか小説によくある話だけど、
そんな酷いことする奴が、本当にいるんだ・・・・と驚いた。
明日の朝には電車で帰るから、今晩だけ泊めて欲しい・・というので、仕方なく泊める事にした。

手持ち無沙汰だったので、ビールを進め、とりあえず二人で飲んだ。
話をするうちに同い年だと分かり、不思議と打ち解けるようになって、夜中まで話し込んだ。
夏の夜の成り行き・・・・というのは恐ろしいもので、その夜、彼は初めて女性を知った。
さらば、童貞・・・の夏になった・・・・。
がしかし、次の日の朝、彼女の姿はなく、彼女がいた気配さえもない。
夕べの彼女は、なんだったんだろう・・・・。夢だったのか???
混乱する頭で彼女の痕跡を探しまわったが、何も見つからなかった。
ただ飲みかけのグラスだけが二つ、テーブルの上に残されていた。
【運命の出会い旅】(2008/7/31 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

その年の夏、彼女は女友達と二人、車で旅に出る事にした。
ようやく取れた夏休みに、女二人で3泊4日・・・。
どうせなら北海道に渡ろうと、だいぶ以前から綿密な計画を立てていた・・・
が、夏休み直前に北海道を地震が襲い、津波で被害も出たという。
そこで、東北一周の旅に切り替えて計画を練り直した。
どうせなら一泊はキャンプもしようと、テントや寝袋も用意した。
夏の海と温泉とキャンプ・・・・、計画は完璧だった。

旅の初日は早かった。朝8時には出発し、昼には海に着き夏の海を満喫した。
その日の夜は、キャンプと決めていたので、日が暮れる前にキャンプ場に到着。
現地でバーベキューコンロを借りて、焼肉なら簡単・・・と軽く考えていたが、なかなか炭に火がつかない・・・。もたもたしているうちに日も暮れかかってきた。
テントも女二人では上手く立てられない。「どうしよう・・・・」
あせる二人を見るに見かねて、隣のテントの男性陣が火お越しからテントまで手伝ってくれた。
彼らは、要領よく火をおこしてくれて、ついでにビールまでおすそ分け。
いつの間にか一緒にバーベキューで盛り上がってしまった。

翌日、男性二人とはキャンプ場で別れ、彼女達は2日目の目的地である温泉を目指した。
その後、2日目、3日目までは予定通り快適な旅だったが・・・・
最終日、川沿いの峠道で予想外の出来事が起きた。
車がパンクした・・・・。近くに民家もない。電話も通じない。
仕方なく、女二人でスペアタイヤを取り出し、ジャッキを探し、タイヤ交換を試みたが、どうにも上手くいかない・・・・。「どうしよう・・・・」
そこに、なんと見覚えのあるワゴンが通りかかった。あのキャンプ場の二人だ。
二人は、あの時と同じように手際よくあっという間にタイヤを交換してくれて、パンク修理のため、その先のガソリンスタンドまで一緒に行ってくれた。

彼女達は、彼ら二人に心から感謝したが、それ以上にこの出逢いに運命的なものを感じた。
だから、その後4人は週末に会うようになり、やがて一組は結婚し、もう一組は、現在進行中。
夏の旅には、そんな運命的な出会いもあるんだね。
【ラジオと海と寒い夏】(2008/7/31 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

彼女が大学4年の夏、世はまさに女子大生ブームで、地元テレビ局やラジオ局では、番組アシスタントやラジオ・パーソナリティにこぞって女子大生を起用する風潮にあった。
ご多分に漏れず彼女も、先輩の紹介などもあってその年の春から地元ラジオ局で深夜番組のパーソナリティを任されていた。
任されたといっても、彼女一人ではとても無理なので、同世代の女子大生3人で毎週金曜日の深夜に生放送を担当していた。

女子大生3人が、毎週たわいのない話や恋愛話で盛り上がる・・・
といういい加減な番組だったが、番組ディレクターが毎週いろんなネタを用意してくれたのでそれなりに面白い番組に仕上がっていた。
その生番組が終わる午前1時過ぎに、毎週「反省会」という飲み会があり、それが楽しみの一つでもあった。
それに、7歳も年上の番組のディレクターと飲んで話せるのもこの時だけだった。
彼女は、番組が始まった春からディレクターの彼が気になっていた。

その年の夏は、大変な冷夏に見舞われた「寒い夏」だった。
いつものように深夜番組が終わり、みんなで反省会・・・と思っていたら、彼女の他の二人は、彼氏が迎えに来てるという。
それじゃ反省会にならない、ということで、その場は解散したけど、夜中に女の子一人で帰すわけにはいかない、と彼が車で彼女を送る事になった。
助手席に乗った彼女は、思い切って「真っ直ぐ帰りたくない・・・」と言ってみた。
「それじゃ、海にでもいこうか・・・」と二人は真夜中の海に向かった。
夏とはいえ、深夜の海、しかも寒い夏・・・半袖1枚ではたちまち寒さに震えた。
震える彼女を彼は優しく抱きしめた。
それはとっても自然な振る舞いだった。
「だって・・・本当に寒かったんだもの・・・」と彼女は振り返る。

そして二人はその後、本格的に恋に落ちた。
あの夏、寒い夏だったからこそ、二人は結ばれたのかもしれない・・・・。

しかし、止せばいいのに二人は、この話をラジオ番組のネタで使い、周囲に関係がばれた・・・・らしい。