え、これって…? | 万事塞翁がフランス

万事塞翁がフランス

フランス南西部に住んでもうじき30年になります。双子男女の母、フランス人夫の妻です。日常のあれこれをつぶやいています。

 息子は雨模様の当地の天気予報を見て帰省を見送りにした。ガソリンと高速代を使って来るんだったら天気が良い方がいい。

 

 

                      オラが街にも桜が咲いただ

 

 

 さて今朝、シモーヌのお宅の客用寝室を掃除していてあっ!これって?とあることが頭をよぎった。それはナイトテーブルに飾られた額縁だった。小さなポストカードサイズの絵なのだが、これを2年ほど前に初めて見たときはちょっと見入ってしまった。

 

 それは古代エジプト文明の壁画に似ており、描かれているのは4,5人ほどの男性。二人の男性にそれぞれ召使いらしき男たちが傅いているのだが、それがちょっとちょっと!何をやってんの?と思わず言いたくなるコトをしているのだ。客間にこれを飾ってるのって大胆な、まあフランス人ならではのユーモアかと捉え、見慣れてもう何も思わなくなっていたのであるが、今日はひょっとして?と有る事に結び付いたのだった。

 

 それは何週間か前に遡る。この日はシモーヌ夫妻の友人が滞在していた。この人は彼らの古くからの友で、定年退職後にアジアの某国に移住し、古書を売る仕事をしている。客はもちろんインターナショナルで、中でもアメリカとオランダ人は良い客らしい。

 

 その翌週、彼が再び旅立ったのち、シモーヌと彼のことが話題になった。年も年だし、そろそろフランスに戻って老後をおくったら?と言っているが、なかなか帰ってくる気がないらしい。友人もシモーヌ夫妻以外ほとんどなく、自身の家族とは断絶状態。それは彼がゲイだということが一因しているという。

 

 この方には今まで2回お会いしているが、穏やかで知的で優しい雰囲気の一方で、フランス人らしからぬ(?)控えめな、空気を消しているかのような印象を持った。このシモーヌの話を聞いてその感覚が腑に落ちた気がした。

 

 それがあっての今日。くだんの客室はこの古稀少本商が年に2,3度滞在する折に使う部屋であり、古代エジプト人の奇妙な営みを描いた絵を見、(な、何かが分かったような気がする…)など、ひとり勝手に納得した今朝であった。