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万事塞翁がフランス

フランス南西部に住んでもうじき30年になります。双子男女の母、フランス人夫の妻です。日常のあれこれをつぶやいています。

 

 私はここフランスで介護ヘルパーを生業としています。お客様は皆さん80歳以上の高齢の方々です。

 

 日本で暮らしていたときは全く別の職種に10年近く関わっていました。今から27年前に主人と知り合い結婚してこのフランスの地を落ち着く場所に選んだのですが、以前の仕事がここでは生かせない、しかし仕事を探さねば食って行けない、というので一番手っ取り早かったのが高齢の方をお世話する家政婦の仕事でした。

 

 数年経験を積んだのち、よし、ステップアップしようと決意して、Auxilliaire de vie sociale、日本で言う介護士になるんでしょうか、その国家試験を受けるための勉強をして、10年ほど前に受験。分厚い書類提出や試験官の前での口頭試験を経て、無事免許も取得することが出来ました。

 毎日違った利用者さんのお宅に伺い、高齢で動きが不自由になった方の身の回りのお世話をさせて頂くのですが、それぞれのお客様の必要に応じて仕事内容は様々です。

 

 仕事の一部を紹介すると、例えば娘さんと同居している99歳のある女性がおられます。この方はお年の割に本当にお元気で立ち座りも歩行も自分でなさいますが、シャワーと洗髪が不自由とのことで、一週間に一回の訪問の際に衣類の脱ぎ着、お体を洗ってシャンプーをさせて頂いています。

 またある80代半ばの女性、Aさんは最近寝たきりになられてしまい、看護師さんが毎朝清拭などのお世話で訪問されていますが、日中はヘルパーが何人か交代で詰めています。起きてトイレに行くこともままなりませんので、下のお世話も大事なお仕事の一つです。

 

 さて、今朝はCさんのお宅でのお仕事でした。Cさんは小学校の先生を定年まで勤め上げられた、80代なかばの女性です。私の健康や家族のことなど常に気遣って下さる、と~っても優しい、いつも笑顔を絶やさない、行くたびに癒される素晴らしい方です。

 ご主人を十数年前に亡くされ、子供二人はそれぞれ車で1、2時間ほどの距離に住んでおられ時間を見つけてはお母様に会いに来てお世話をされているようです。しかし最近は持病の糖尿とリウマチが悪化して、歩行が少し辛そうで大変だなあと思います。

 

 そんないつも優しいCさんは、私の仕事中に「コーヒーはどう?」「りんごがあるから食べて」など、声を掛けて下さいます。本当にありがたいのですが、体重と糖尿が気になる私は(前に計測したとき若干ギリの数値でプチショックでした)その度に「ありがとうございます!でも結構です~」とお断りしています。でも、毎回何かしら勧めて下さるので、その繰り返しになり、ちょっと申し訳ない気持ちになります。

 

 今日はそのCさんが、ちょっとびっくり。なんと「コンソメスープ」を勧めて下さったのです。今は夏。外は気温が28度ほどのあっつい日です。汗かきではない私も家の中を忙しく動き回っているとうっすら汗ばむほどです。そこに温かいコンソメスープとは! と笑ってしまいそうになりました。もちろん丁重にお断りさせて頂いたことは言うまでもありません。

 

 本当にあったか~いハートの持ち主のCさんなのです。