感覚の違いを困ったことから強みに変える! | アメリカ発 発達障害のお子様を持つご家族へ伝えたいこと

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こんにちは!

 

今日は40年間作業療法士として自閉症スペクトラムに関わってきた女性のインタビューから学んだことをシェアします。

 

自閉症スペクトラムの特性を持つ人の70−90%が何らかの感覚の問題を抱えていると言われています。(定型特性の人は5−15%)

 

感覚の問題には

 

ー感覚過敏、感覚鈍麻、または感覚によって両方がミックスされている(例えば光に対しては過敏だが音に対しては鈍麻)

ー感覚の情報処理が遅い

ー単感覚(Mono Processing) 一度に一つの感覚しか感じられない

ー感覚刺激過多 (一つ一つの感覚は過敏ではないが、いろいろな感覚刺激が重なると刺激過多になる)

ー共感覚 (ある刺激に対して通常の感覚だけでなく、他の感覚も生じる。例えば音に色を感じるなど)

ー歪んだ知覚 (カーペットの模様が盛り上がって見えるなど)

 

などがあります。

 

こういった感覚の違いは、その人の物事の認識、行動、感情、社会性、コミュニケーション、知覚、運動能力などに広く影響を及ぼします。

 

感覚の違いや問題をできるかぎり理解することで、

 

ー子供がどうして問題行動をとるのかを理解する手がかりになる

ー問題行動をとらなくてもすむように工夫できる (ノイズキャンセリングヘッドフォンで聴覚刺激を弱めるなど)

ー感覚の違いに合わせた環境を用意できる (特に職場などで、臭いに敏感な人は食堂から遠いところで仕事をするなど)

ー感覚の特性をうまく生かしたスキルを学ぶ手がかりになる 

ーQOL (Quality of Life 生活の質)をあげることができる

 

のような利点があります。

 

下の記事でも紹介した 自閉症スペクトラムの超有名人 テンプル グランディンさんは、自叙伝の中で 小さい頃にコインや蓋などをくるくる回してそれを凝視してそれに集中することで、周囲の耐え難い音が聞こえなくなるようにしていたと書いています。大きな音は まるで歯医者さんのドリルが神経に当たっているみたいな痛みを感じたので、風船が破裂するのが恐怖だったそうです。

 

 

 

単感覚(Mono Processing) スミマセン。訳が見つからなかったので私のオリジナル訳です。。。^^;

 

この特性がある人は、一度に一つの感覚刺激しか処理できません。 だから、そういう人に「目を見て話しなさい」と要求すると、相手の目を見ているうちに、その人の目のいろいろな詳細に目が行って、その人が言っていることが聞こえなくなってしまいます。

 

単感覚の特性は

 

ー情報が正確に処理できない

ーいろいろな感覚刺激がある環境にうまく適応できない

ー社会性に欠けるように見える

ー安全性の問題

ー学習や職場で能力が発揮しにくい

などの問題を抱えます。

 

先生やセラピストや親も 「目を見て話をする」ことを指導しがちですが、こういった感覚の特性を理解せずにこういった要求をすると、逆効果になってしまうということです。

 

 

共感覚(Synesthesia)の特性を持った人がどれだけいるかを調べるのは難しく、どのくらいの人がこの特性をもっているのかは分かっていません。

 

共感覚を持つ人は、数字に色を感じたり、色に臭いを感じたりします。

 

こういった感覚の違いは、いろいろな問題を抱えているという認識がほとんどですが、裏を返すとこの違いをうまく活かすことができればこの違いを強みにすることができます。

 

例えば臭いに敏感な人は、食品業界やソムリエなど、それを活かした仕事、単感覚の人は 物事の細かい部分まで観察する能力を活かしたアーティスト、音に敏感な人は小さい頃から絶対音感を持っていたり、一度聞いた音楽をすぐに演奏できたりします。(モーツアルトは自閉症スペクトラムだってのであろうということです) 共感覚を持つ人はすぐれた詩人になれます。

 

また、それぞれの特性をいかした学習方法を使えば学習効率もあがります。

 

周りの大人たちが「きちんとしたふるまいをさせる」ということにこだわるあまり、子供たちの強みになりうるこういった感覚の違いの可能性の目を摘んでしまっていないか、無視してしまっていないかということを よく考えてみる必要がありますね。

 

 

読んでいただいてありがとうございます。


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