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世界あちこち散歩

国内外の色々な所で見聞き・体験したヒト・モノ・コトを綴ります

生まれて初めて「バレエ」を鑑賞しました。

ここ数年、自作の「死ぬまでにやりたい事リスト」に基づいて、今まで機会のなかった事にも色々とチャレンジしています。

例えば、「日本人として生まれたからには日本の伝統芸能もきちんと観ておきたい」と思い、「能楽」や「歌舞伎」の公演に行きました。
 

 


そして、欧米発祥の舞台芸術にも触れてみたいと思い、その一つがバレエだったのです。

因みに、他の舞台芸術についてですが、「ミュージカル」については20年以上前にロンドンで「キャッツ」を観ていますが、「オペラ」は未体験で今後の宿題です。

今回鑑賞したのは「パリ・オペラ座バレエ」の公演でした。

世界最古の国立バレエ団だそうです。


演目は「白鳥の湖」。

私を含めてバレエを良く知らない人でも、その名前は誰もが知っており、音楽も聴いた事があるはずなので、初体験には最適の演目かも知れません。

公演の場所は上野の「東京文化会館」。

偉大な建築家「前川國男」氏の設計で1961年に竣工した建物です。


今回のバレエ公演は「大ホール」で行われたのですが、私が大ホール内に入ったのは初めてで、名建築巡りを趣味としている私としては、一石二鳥の体験でした。

一方、「小ホール」については、実は私、公演の観客としてではなく、演者として舞台に立った事があるのです!!!

とは言っても、今から何十年も前、日本の高度経済成長期、私が小学校低学年の頃に、街のピアノ教室の発表会が2度、東京文化会館の小ホールで開かれ、大勢の生徒の中の一人として弾いただけですが(笑)。


さて、肝心のバレエについてですが、流石に事前学習ゼロで観に行ったら何も理解できないし、特有のマナーとか知らないとまずいだろうと思い、一夜漬けで色々と検索して情報を仕入れました。

まず、何を着ていったら良いのか、「ドレスコード」はあるのかが気になりました。

これについては特に規定は無いとの事でした。

実際、会場ではそれ程着飾った人は見かけませんでしたし、カジュアルと言うより普段着といった方が良い人も多く居ました。

また、完全な偏見で、バレエは女性が観るものだみたいに思っていて、正直、ちょっと恥じらいながら行ったのですが、結構男性客も多いことに勇気付けられました。

そして、最大の謎だったのが、「歌も台詞も無いのにどうやってストーリーを理解するのか?」と言う点です。

それで調べてみると、どうやらバレエ特有の「マイム」と呼ばれる身振り手振りがあり、それぞれの動きに意味があるので、それを知っていれば、ある程度ストーリーを理解できるらしいのですが、今さら遅い!

更に色々と有識者のブログ等を読んでみると、とてもスッキリするアドバイスを発見。

白鳥の湖等古典的な演目は、既に世の中にあらすじが出回っているのだから、あらかじめ読んでおけば良いとの事。

観に行く人の多く、特にリピーターは、既にあらすじを知っていながら、舞踊、衣装、演出、演奏、舞台装置等の総合的な芸術性を楽しみに行っている様なのです。

なるほどですね。

新作映画だったら、絶対に事前のネタバレはしてほしく無いし、鑑賞中にハラハラドキドキしながら、未知の結末に向けて二転三転するストーリー展開を楽しむのが基本ですが、確かに古典芸能の場合、バレエに限らず、欧米発祥のものに限らず、ストーリーは事前に知っていても構わない、むしろ知っていた方が楽しめるかも知れません。

そこで、事前にあらすじを要約した記事を読んでからいきました。

そのお陰で、ストーリーについても、何となく今何が起きているかはわかりました。

ただし、一点だけ下調べが足りなかった点がありました。

バレエ団によって、或いは演出家によって、公演毎に細かい点が違うのは当たり前の事だと思います。

ところが、少なくとも白鳥の湖については、結末が複数あるのです。

それも小さな違いではなく、ハッピーエンドか悲劇かと言った両極端の違いです。

これを知らず、今回の公演は事前に読んでいた結末と反対の結末のパターンだったので、大変ビックリしました。

他に意外だったのは、結構、拍手をする場面が多いし、掛け声もOKだと言う事です。

勿論、いつしても良いわけではなく、適切なタイミングがあるのだと思います。

ただ、事前には、全幕終了するまで、或いは各幕終了するまでは無言、無音で鑑賞するものだと思っていたのに、幕の途中でも節目毎に盛大な拍手や掛け声があり、ダンサーもそれに答える場面が多くありました。

この様に色々と初めて知ることが多かったバレエ初鑑賞でしたが、「圧巻」の一言でした。

全てが緻密で美しく、こういうものを本当の芸術と呼ぶのだなと思いました。

それこそ、何の事前知識が無くても、十分に楽しめたと思います。

終演後の鳴り止まない拍手や何度にもわたるカーテンコールの光景は、しっかりと私の記憶に刻まれており、またいつか鑑賞できることを切に願っております。