【公演の無い日の劇場に入る】: 日生劇場 | 世界あちこち散歩

世界あちこち散歩

国内外の色々な所で見聞き・体験したヒト・モノ・コトを綴ります

日生劇場」は1963年に竣工した東京都千代田区の劇場です。



設計をしたのは、数々の名建築を残しテレビ番組でも作品が紹介される事が多い著名な建築家「村野東吾」氏です。

 

実は40年以上前、学校の課外授業で「劇団四季」の公演をこの劇場で観ているのですが、当時は演劇にも建築にもさほど関心が無かったので、劇場内部の記憶が全くありませんでした。


しかし近年になってテレビ番組で内部の紹介を観て、その美しさに魅了されてしまい、是非とも一度見学したいと思うようになりました。

 

最も手っ取り早い見学方法は何かの公演のチケットを買って観客として入場する事だと思いますが、それでは表面的、部分的な見学に限られますし、他の大勢の観客がいる中、写真を撮るのも大変ですので、きちんとした建築見学会に参加する事を考えました。

 

ですが、日生劇場の見学会は不定期で、募集されるとすぐに定員になってしまうので、中々タイミングが合わず、これまで見学の機会に恵まれませんでしたが、先頃ついに念願かなって申し込む事が出来ました。

  


当日集まったのは約20名。

 

見学開始前の待機時間の間にも、ロビー等各所をカメラで熱心に撮影している人が多く、また、撮影しているポイントが単なる記念写真・証拠写真には見えず、明らかに建築ファンとわかる細部の撮影でした。

 

この建物の外観はとても重厚な作りで、建設当時はコンクリート打ち放しが流行していた中、石が貼られているのが特徴です。

 


一方、一歩建物の内部に入ると、大階段、螺旋階段等、華麗さが際立ちます。

 










また、昨今は建物の設計者と内部装飾のデザイナーが別である事が多いそうですが、日生劇場に関してはその双方を村野東吾氏が担当し、更には照明、テーブルや椅子、ゴミ箱なども細部にこだわってデザインされているのには驚きました。

 









そして何といっても圧巻なのは舞台のある劇場内部です。






うねる様な凹凸のある天井には2万枚の貝、壁面にはガラスモザイクタイルが貼られた幻想的な世界が広がります。

 

深海に居る様な感じもしますし、「ガウディ」の建築との類似性もある様な気がしました。

 

近い将来、何かの公演をこの素晴らしい劇場で鑑賞したいと思いますが、劇よりも天井や壁が気になってしまわないかが心配です。