【ドル買いに走る】: クウェート | 世界あちこち散歩

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国内外の色々な所で見聞き・体験したヒト・モノ・コトを綴ります

1年の365日、毎日が、
何かの記念日だったり、
歴史上重要な出来事が
起こったりした日として
知られていますが、
8月2日」も、
カレーうどんの日」や
パンツの日」だそうです。

でも、私にとっては、
忘れもしない、
1990年に、
イラクがクウェートに
侵攻した日」です。

因みに、1990年は、
ティラミス」がブームになり、
おどるポンポコリン」がヒット、
スーパーファミコン」が発売
された年です。

当時、私はUAEドバイ
働いていたので、朝、出社して
このニュースを聞いた時は
大変なショックを受けました。

何しろ、私自身、
クウェートも担当していて、
本当なら、7月31日から数日間、
クウェートに出張をする事に
なっていたからです。

幸い、ちょっと風邪気味
だったのと、現地で会いた
かった人の一人が丁度
夏休み中と聞いたので、
イラクの侵攻の1週間位前に、
出張を取りやめにしていました。

もし予定通りに出張していたら
イラク軍の捕虜になってしまった
可能性もあった訳です。

<初めてのクウェート出張
(1990年1月)で買った
お土産の人形。
昔買った多くの土産物を
処分してしまった中、
奇跡的に残っていました。>

<「クウェート・タワー」の絵葉書>

<泊まったホテルのステッカー>

その後、イラクのクウェート
侵攻は国際社会から非難され、
翌1991年1月17日の
多国籍軍」による
イラクの空爆、いわゆる
湾岸戦争」へと発展しました。

8月のクウェート侵攻後、
翌年1月の開戦まで、
恐らく日本に居る人の
殆どは、実際に戦争になるとは
思っておらず、
空爆は単なる脅しだろう」とか
イラクが折れるだろう」とか
考えていたと思います。

しかし当時イラクのミサイル
が届く距離に居た我々は、
多国籍軍による砂漠での
軍事演習や、通常は貨物船で
一杯の港に軍艦や
病院船」が日に日に増えて
来るのを見ていたので、
これは本気だな」と感じて
いました。

<ドバイで買ったグリーティング・カード>

さて、結果的に、
湾岸戦争の開戦前には、
私も国外退避し、
終戦まで数ヶ月、
日本で待機していたのですが、
国外退避前にしなければ
ならない事の1つに、
資産の保全」があります。

家族で駐在している人は、
日本での家を引き払って、
家財道具の殆どを持って
きている事も多いので、
かなり大変だと思いますが、
独身で、現地では家具付きの
賃貸マンションに住んでいた
私は、特に失って困る資産は、
現金」以外ありませんでした。

でも、この現金も、
気をつけなければ
なりません。
元々、中東の産油国の
現地通貨」は非常に強く、
安定しているのですが、
さすがに戦争ともなると、
一夜にして紙切れになる
リスクがあります。

ですので、現地通貨で
持っていた分を全部
ドル」に替えてしまおう
としたのですが、みんな、
同じ事を考えているので、
遂に、街の両替屋から
ドルが消えました。

手持ちの現地通貨の殆どは、
ドルに替えられたので
良かったですが、最後、
数万円分が残ってしまい
ました。

こういう時のドルに代わる
次善策、それは
金(ゴールド)」です。

金は単なる宝飾品では無く、
工業的価値」もありますし、
持ち運びも簡単です。

そこで早速、貴金属店に行き、
オーストラリア金貨」を
買いました。


この金貨、毎年デザインが
変えられているそうで、
金の相場に加え、
コレクター的価値も
あるそうです。

ネットでちょっと調べたら、
最近金相場が上昇している事
もあり、当時の価格の2~3倍に
なっているみたいです。

でも、この金貨は若かりし頃の
貴重な体験の想い出の品です。

どんなに相場が上がっても、
余程生活に困窮しない限り、
今後も手放す事は無いと思います。

余談ですが、湾岸戦争終結後、
私も日本からドバイに戻り、
クウェートの取引先が
ドバイに来てくれた時は、
お互いの無事を、
抱き合って喜びました。

又、その後、私がクウェート
を再訪した時は、イラク軍が
壊した金庫とか、荒らした
事務所や倉庫の残骸とか、
取引先が「記念」に残していた
物を見せてもらいました。

1つ大笑いしたのは、
当時のイラクでは
パソコン」が企業や公共機関
でも普及してなかったので、
イラク軍の兵士はパソコン
とは何か理解しておらず、
私のクウェートの取引先の
事務所のパソコン
(デスクトップ型)の
モニター」(液晶では無く
ブラウン管)だけを
カラーテレビ」と勘違いして
奪って行ったものの、
パソコンの本体とキーボード
を残して行ったと言う話です。

これこそ、
無用の長物」の最たるもの
だったと思います。