悩んでばかりいると抜け毛が増えそうで嫌なのですが、今日は“骨盤前傾”について悩んでいます。
近年、ランナーの間でも、“骨盤前傾”という言葉を聞くようになりました。
実は、今から200年も前から、骨盤前傾の事を考えていた人達がいます。
それは、自転車の方々です。
ロードバイクは、婦人車と違い、かなり骨盤前傾になります。使用する設定速度が違うからです。
サドルの座面の角度を、0.5度変えるだけで、全く別のものになり、速度も変わる・・・そんな世界で20年以上仕事をしてきました。シューズのセッティングは当たり前のことでした。
この話でのポイントは、セッティングによって、速度は変わると言うことです。
競輪の仕事の後に、TOKYO2020 に向けて、プロの陸上チームのトレーナーをやらせていただきました。
オリンピックに出る選手達も、シューズは普通にスポーツショップで買ってるんですね。
市販品とは違う、メーカー支給のセッティングとか、プロトを使っているのかと思っていました。
そこで、一番勉強になったことは、普段は見ることもない TOP選手達の “ジョグ”を見れたことです。
当然といえば当然ですが、高速で走る時は、フロント接地、骨盤前傾で走る選手達も、ジョグの時は踵から接地していたり、もちろん、骨盤も起こして普通に走るんですね。
●この話でのポイントは、使う速度によって、骨盤の傾斜は勝手に変わるということです。
その後 2021年 冬季オリンピックに向けて、スピードスケートの仕事をさせていただきました。
ショートトラックの本場は韓国で、やはり、韓国、中国の選手は強い。その強さを分析すると、とんでもなく前傾姿勢で滑るのです。とても真似ができるフォームでは有りませんでした。それは、フィジカルの差ではなく、シューズのセッティングが違うとすぐに気がつきました。
TTMとTTPは競技の基本です。
表彰式の映像、レースの映像から、シューズのセッティングを分析し、徹底的に真似をして(TTM)、徹底的にパクる(TTP)。すると、海の向こうでは、日本とは全く違うセッティングをやっていることが解りました。シューズのセッティングで、上半身の姿勢まで作れる事を体験として知り、アジアの選手を上回るための用具開発に勤しみました。
●この話でのポイントは、シューズのセッティングによって、上半身の姿勢まで制御できると言うことです
よく、「骨盤の前傾と後傾はどちらがいいんですか?」そんな質問をいただくのですが、速く前に進む方が正解だと思うし、速く前に進めば、勝手に接地の仕方も変わるし、骨盤の角度も変わる・・・そんなふうに考えていました。今は違うと思っています。
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で、抜け毛の本題なのですが、
自転車、陸上、スケートの経験から、
「シューズのセッティングで速度は変わり、速度が乗ればフォームは自ずと変わる」と仮説を立てて、速度が勝手に乗る靴下(靴のセッティング)を作って見たわけです。
らくちんソックスと違って、パッチも小指もついていない普通の靴下の、生地の硬さを部分的に変えただけの靴下です。
インソールのように、姿勢の変化に影響を及ぼさず、“うまく速度に乗せるだけの靴下”です。
フォームまで意識できない速度でトレッドミルを回しました。
開発ネーム「追い風」試作 時速18km/h
「速く走れば勝手に骨盤は前傾する」は間違いでした。
映像左は骨盤が前傾していません。同じ速度でも右は前傾しています。
同じ速度なのに、なぜでしょう?
考察ですが、「うまく速度に乗せると骨盤は前傾する」が正解な気がしてます。
人は本来、何も考えずとも、もっと上手く走れるように作られているのだと思います。
やりたいことが表現できないのは、シューズの影響を受けています。
生産してみたいけど、全く開発費が追いつきません。