ランニングの故障で厄介なものの一つにトゥ・イン(つま先が中に入る動き)があります。
足が地面に着く時に、正常な歩行では、
後ろから見たときに小指と薬指が見えます。
小指が見えないのは異常です。つま先が中に向き過ぎています。
これをトゥ・インといいます。
〈参考記事〉 トゥ・メニー・トゥス
トゥ・インが生じると、歩くときに、本来着くべき踵(かかと)の位置と違うところから接地することになり、結果として踵の痛みを生じます。
<参考資料> 踵の正しい着き方
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立っているときにトゥ・イン(内股)でなくても、
反対の足や、腰の動きに影響を受けてトゥ・インは発生します。
ですから、トゥ・インによって引きおこされる足の痛みは、実際に動いてみないと解りません。
レントゲンやMRIで判るのは、痛みの原因ではなく結果です。
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接地の時のつま先の向きは、体型や個人差があるので、真っ直ぐ向いている必要はありませんが、
足首に一番体重がのるディスエンゲージメントから、地面をプッシュする瞬間は、つま先の向きは正面を向いている必要があります。
〈関連時期〉 プッシュ
正常なプッシュ
正常なプッシュでは、後ろから見たときに小指と薬指が見えます。
体も傾くことなく、真っ直ぐに前に進むのが普通です。
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トゥ・インを起こしたプッシュ
トゥインを起こした足のプッシュは、後ろから見たとき小指が見えません。体も傾斜をおこし、真っ直ぐに進みません。結果として体力とタイムを摩耗します。
トゥ・インは “走り方の癖”と言う人もいますが、意識して治せるものではありません。
また、“筋力不足”と言う人もいますが、治療によって改善されるものは筋力不足とも思いません。
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なぜ?トゥ・インは “走り方の癖”と言われるか?
つま先や膝が中に入ると “走り方に癖がある”と言われます。
なぜ? 変な走り方をすると “癖”と言われるのでしょうか?
なぜ?故障していると言わないのでしょうか?
私見ですが、治そうとする人がいないからです。
トゥ・インはを治すのは、トゥ・アウトを治すのとは比べ物にならないくらい、複雑な工程が必要になります。
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トゥ・インが引き起こす症状
トゥ・インがおきると、歩行時では踵の痛みを引き起こします。シーバー病(踵骨末端症)とよく勘違いされます。
ランニングでもヒールコンタクトで走る選手は足が地面に接地するときに踵の痛みを訴えます。
フロント接地で走る選手の場合、ボトム・ディスセンターからプッシュにかけてアキレス腱付着部の痛みを訴えます。
プッシュの際に、つま先が進行方向を向かず、内側を向いているのに、体が進行方向を向く場合、必ず脚の何処かを捻じることになります。
ランニング負荷で骨や関節を捻じることになりますから、壊れます。
疲労骨折は衝撃や練習のしすぎが原因と言う人がいますが、骨は衝撃よりも、捻じった方が壊れます。
トゥ・アウト側(つま先が外を向く動き)からの捻じれより、
トゥ・インからの捻じれの方が骨は簡単に壊れます。
投球の肘や、肩の痛みがあるときは、原因を解明し、危険な動きが無くなるまでノー・スロー(投球禁止)が鉄則です。一瞬で選手の未来を失うことがあるからです。
ランニングの場合も危険な動作が出ている場合、練習を一度ストップする必要があります。
トゥ・インは、危険動作に含まれると私は考えます。
トゥ・インは、目で見て判るものですから、せめてスパイクの着用、タータントラックの使用は控えたいというのが正直な意見です。
ジョグ程度の練習だとしても、トゥ・インがある場合は一度中止して、対策を練る必要があると私は考えています。