前回は、

膝の靱帯損傷が起きる原因について話をしていきました。

靱帯を痛める原因は意外とシンプルですが、

問題となるのは靱帯を痛めた後の判断です。

症状や検査などから状態を判断しますが、

ここで間違えると、

回復に遅れが出る可能性も十分に考えられます。

今回は、靱帯ごとの症状や検査方法を書いていきます。

 

〜膝靱帯損傷の症状〜

靱帯損傷の症状は、

急性期慢性期の症状に大きく分けられます。

急性期

一般に急性期症状は、

受傷から3週間程度の間に起こる症状です。

①.膝の痛み・圧痛

どの靱帯を損傷しても、

膝の屈伸運動歩行時に痛みがあります。

損傷の程度によっては、

安静状態で痛みが出ることも珍しくありません。

また、押すことで痛い部分がハッキリしますが、

必要以上に触るのは止めましょう。

②.関節内出血・腫れ・熱感

受傷直後は腫れや熱感が出現し、

他の靱帯や半月板を同時に負傷していると、

内出血を起こしている場合もあります。

③.可動域制限

①の痛みや②の腫れによって、

膝の動きに制限がかかります。

特に、膝の屈伸運動に制限がかかることが多く、

歩行に支障が出ることも少なくありません。

 

慢性期

急性期を過ぎると痛みや腫れ、

可動域制限はいずれも軽快してきます。

メインになってくるのは以下の症状です。

★膝の不安定感・抜け感

いわゆる「膝崩れ」が目立つことが増えてきます。

「歩いても痛くはないが歩行時に膝がグラつく」

「ガクッと膝の力が抜ける」

というような訴えが起こることが多くあります。

具体的には、下り階段下り坂

膝の捻りを加えた際に自覚します。

※正常な屈伸運動のイメージ

※膝崩れ現象のイメージ

不安定感を放置すると・・・

痛みは治まってきますが、靱帯は損傷したままです。

そのため、半月板軟骨など、

靱帯以外の部分に障害を生じることがあります。

それにより、靱帯損傷の痛みが落ち着いてきたとしても、

慢性的な痛み腫れ(膝に水が溜まる)

出現するケースも起こります。

また、学生時代にケガをした結果、

加齢によって変形性膝関節症を引き起こすこともあります。

 

★靱帯によって異なる特徴

・前十字靭帯

 ジャンプの着地で膝が外れるような感じがする

 膝が伸びきらない

 正座ができない

 膝の力が入りにくい

 ◎膝靱帯損傷で最も多く発生する

・後十字靭帯

 歩行時に踵を着くと不安定感がある

・内側側副靱帯

 膝の内側に圧痛がある

 外反動揺性がある

  →下腿を外側に動かすと膝がグラグラする

 ◎外側より発症頻度が多い

・外側側副靱帯

 膝の外側に圧痛がある

 内反動揺性がある

  →下腿を内側に動かすと膝がグラグラする

 

不幸の三徴候(アンハッピー・トライアド)

膝の靱帯損傷・半月板損傷で多いとされているのが、

①.前十字靭帯損傷

②.内側側副靱帯損傷

③.内側半月板損傷

の損傷です。

これらは単独で損傷することもありますが、

膝の構造上、複数箇所同時に損傷するケースも見られます。

これを不幸の三徴候(アンハッピー・トライアド)と言い、通常の復帰より時間を要します。

 

〜膝靱帯損傷の診断〜

①.徒手検査

膝関節にストレスを加えて、

緩みの程度を健側と比較します。

・前十字靭帯

 ラックマンテスト

 

 前方引き出しテスト

 

・後十字靭帯

 サギング徴候(脛骨落ち込み徴候)

 膝を90°曲げると膝下が陥凹し、脛骨が後方に落ち込む

 

 後方引き出しテスト

 

・内側側副靱帯損傷

 外反動揺性テスト

 

 牽引アプレーテスト

 

・外側側副靱帯損傷

 内反動揺性テスト

 

 牽引アプレーテスト

 

 

これらの徒手検査で異常を見つけることが可能ですが、

受傷直後は痛みが強いことがほとんどです。

そのため、むやみに動かさずに

専門家による検査を受けるようにしましょう。

 

②.MRI

靱帯損傷の場合、

レントゲンやCTでは診断が難しいとされています。

また、ケガをして最初に検査に用いるのが

レントゲンですが、

受傷直後では痛みや腫れにより

十分な身体所見が取れないため、

靱帯損傷がハッキリしないことが多くあります。

そのため、細かい診断が可能で、

同時に半月板や軟骨などの

他の組織を評価できるMRIが有効とされます。

 

★靱帯損傷の程度

Ⅰ度:靱帯が強く伸ばされた程度の損傷

Ⅱ度:靱帯が部分的に断裂している状態

Ⅲ度:靱帯の完全断裂が起きている状態

   他の靱帯や半月板の損傷を合併していることもある

 

今回初めて、このブログで徒手検査を紹介しました。

画像検査ができない治療院などでは、

徒手検査で判断することがあります。

 

しかし、明らかに重症の場合は、

徒手検査をせずに整形外科などの受診を勧めます。

受傷状況や歩き方、触った状態などで判断できるからです。

それほど靱帯損傷のダメージは

大きいと言い換えることもできます。

 

膝の状況が分かったら、

いよいよ復帰に向けてリハビリを組んでいきます。

次回から、靱帯損傷のリハビリの話をしていきます。

 


 

ホームページ

 

ホームページ

 

〒416-0902

静岡県富士市長通9-1 201号

ご予約・お問い合わせ

 

Instagram

 

公式LINE

友だち追加