【歌集出版エピソード】あと50年死なないと、どうして言えるのか。【後編】 | わたる風よりにほふマルボロ

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歌集『生殖の海』


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現代短歌新聞2021年4月号

作品掲載

 

new「源氏で紡ぐ和歌便り」

2021年8月分掲載new

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及ばぬ高き姿の顕現を

願い生きる

梶間和歌です。

 

 

私家版歌集『生殖の海』の

購入ページを作り直した

 

 

というお知らせとともに、

 

あつあつの前置きを

昨日からご紹介しております。

【昨日の記事】

 

 

梶間和歌のブログを

長くお読みの方にも改めて

お読みいただきたいですし、

 

最近知ったという方にも

「こういう経緯で歌集を出したのか」

「こんなぶっ飛んだ事をして

 あの歌集を出したのか」

と知っていただけましたら

幸いです。

 

 

 

彼女に近づいている死が、私には数十年先のものである、とどうして言えるだろう?

 


「死ぬまでに歌集を出さなくちゃ。どんな手を使ってでも」

 

 


毎年7月末を締め切りとする、第1歌集を出版していない歌人向けの300首詠の賞への応募を決めた。
残り2ヶ月という短期間で過去作をまとめ、章立てし推敲し、応募。多作であることを恨めしく思ったのは初めてだったかもしれない。
その間に、病床の歌友は亡くなった。

 

その賞の結果の出るまでに、縁あって優勝賞金10万円のスピーチ大会への応募もした。
予選を通過し、大会準備をしている最中、7月提出の300首詠が予選を通過したものの受賞は逃したと知らせを受けた。

 

スピーチ大会の理解不能な結果を引きずる間もなく、ならば自力で稼いで出版するまで、と当時住んでいた島根県から東京に出稼ぎに出ることにした。
出版社を通した自費出版に掛かるのは200万円弱。これは払えない。
けれどもそこを通さずすべての工程を自分で引き受け印刷だけを業者に頼むならば、和歌仕事と合わせて数日間出稼ぎすれば費用は賄える。
画家である友人にぜひとも依頼したい表紙の代金も、2,3ヶ月働けばなんとかなる。
スピーチコンテストの結果の出た2週間後には東京の友人宅に身を置き、昔のアルバイト先に出戻りしていた。

 

好きとはいえ体力と神経を使う肉体労働に励みながら、休みの日や夕勤の日の午前中、通勤時間などを使い、
7月にいったん完成させたはずの300首詠に手を入れていった。容赦なく。
完全に削除した章も、新たに詠み入れ3ヶ月や2ヶ月で仕上げた章もある。

 

「この歌は入れたい」というエゴを突き放し「この歌は入れるべきか」と“およばぬたかきすがた”に問う。
だいたいの答えは「否」だった。心がどんなに叫んでも、「否」と出た歌は削除した。

 


そうして、私家版歌集『生殖の海』を世に出した。
歌友の死から11ヶ月、歌集を出そうと決めてから1年。無我夢中だった。

 

 


2020年5月に上梓し、2021年9月時点で、100冊印刷したうちの半分以上に当たる60冊近くが旅立って行った。
現代短歌業界の贈答文化に疑問があるので、原則はしない。特例の3冊を除き、すべて買われたものだ。
実に誇らしく思う。
そして、有名人でも何でもない歌人の一般の流通ルートに乗らない私家版歌集がこんなにも買われていることへの感謝も尽きない。

 

むろんこの『生殖の海』が私の到達点ではまったくないが、
2020年5月までの私の、“およばぬたかきすがた”希求の歩みの一端の表れたものではある。

 

残り40冊強、然るべき方の手にお届けできることを願い、また信じている。

 

同時に、私の“およばぬたかきすがた”追究のさまを、今後も見守っていただけたら、これ以上幸いなことはない。
不慮の事故についてはわからないながら、数年以内に死にそうな病気や自死を選びたくなるような苦悩を抱えることは、いまのところない。あと50年ぐらいは生き、この道を行くつもりでいるから。

 


長々とした思いの丈をお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

 

noteからの引用は以上です。

 

 

同じ内容ではありますが、

noteのほうが読みやすいか

とは思います。

気が向いたらぜひ

覗いてみてくださいね。

 

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よろしくお願いいたします。

 

 

 

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追ってゆきましょうね。

 

 

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それでは、またね。

 

 

この記事の【前編】

 

 

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