大切な人の死に甘えない。~岩佐美代子『京極派歌人の研究』~【歌の詠み方】【中編】 | わたる風よりにほふマルボロ

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及ばぬ高き姿を体現する

子宮系歌人 梶間和歌です。

 

 

友人主催のオンライン読書会の

先週分のレビュー記事を

昨日から書いております^^

 

facebookに投稿したレビューを

転載している、その続きです。

 

昨日の記事は

こちらをお読みくださいね。

 

 

 

 

 

  

「永福門院百番御自歌合」

の成立について

考察された論文です。

 

 

 

永福門院の自歌合の

類型的で陳腐な

哀傷、述懐の歌。

 

 

そして、おそらく

それらを詠んだ時点から

長い時間をかけて

心を鍛え、研ぎ澄まし、

 

個人的な哀しみの抽象度を

高めて

酸いも甘いもすべて包み込む

視点を手に入れた

晩年の永福門院が詠んだ

 

と考えられる、

『風雅集』入集の数々の恋歌。

 

 

この両方をまっすぐ見つめ

 

>この悲傷の体験を

>心の深部に沈潜せしめ、

>長期間の醇化洗練を経て

>芸術作品としての昇華を

>遂げしめたところにはじめて、

>風雅集の女院作品に見る

>著しい内観的な深み、

>特に恋歌における

>美しく強靭な

>独特の愛情表現が

>生れるのである。

 

とする岩佐氏の考証は正しい

と私は考える。

 

 

 

人間は弱いから、

 

永福門院ほどの

歌人であっても

愛する人を亡くした時に

こんなに平凡な事を

してしまうのだ、

 

ということ。

 

それ自体は歌人にとって

 

「永福門院でもやるんだ♪

 では私がやるのも仕方ない」

という希望かもしれないし

 

「永福門院でも

 やってしまうんだ……。

 では私もやってしまうこと

 確実じゃないか」という

絶望かもしれない。

 

 

なんにしても、

 

愛する人を亡くした時に

平凡な事をしてしまう、

 

そこで終わるのが

九割九分の凡歌人でしょう。

 

 

 

だがしかし。

 

 

愛する人の死に際して

あんなにも平凡な事を

してしまった人でも

 

自らの心を鍛えることを

怠らなければ

『風雅集』の永福門院の

境地に至れるのだ。

 

一時は人間のさがに

呑み込まれたとしても

強い意志とたゆまぬ努力が

あれば、必ず歌人として

それを乗り越えられるのだ。

 

 

そんな狭き門、険しき道を

永福門院は示してくれている。

 

そう考えたほうが、

私にとっては希望ですね。

 

 

もちろん私は

そちら側の人間であろうと

日々努力するばかりです。

 

「愛する人が死んだから、

 この程度の歌で

 許してください」なんて甘えは

口が裂けても言いたくないし、

言わないつもりです。

 

 

 

昔は私も

感情ダダ流しの哀傷歌を

詠んだものですよ。

 

いまの私では

考えにくいことですが。笑



 

恥を忍んで過去作を晒す回。

 

 

まあ、それでも結社に入って

最初の2ヶ月分ぐらいですね。

 

その後の月詠では設定として

哀傷歌を詠むことこそあれ、

 

事実ベース、感情ダダ漏れの

稚拙な哀傷歌を詠むことは

しなかったと思います。

 

 

結社誌の新人賞には、

最初の年と翌年に

哀傷歌で応募しました。



 

まあまあ、直視はし難いものの、

がんばっていたということです笑

 

 

 

その人が亡くなったのは

2009年だったかな。

 

なので2013年、14年というと

5年ぐらいは経っていますね。

 

 

……

 

長いな。笑

明日に続きます笑

 

 

【前編】

 

【後編】

 

 

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