慈円 おもひ出ば | わたる風よりにほふマルボロ

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左大将に侍りける時、家に六百番歌合しけるに、春曙をよめる
 
おもひ出(いで)ばおなじながめに帰るまで心にのこれ春のあけぼの
 
慈円
風雅和歌集雑上1426
 
 
 
【口語訳】
 
将来思い出すとしたら、その時は
これとまったく同じ眺めとして
身も心もこの時に帰るほどに、
はっきりと心に残るがよい、
この春の曙よ。
 
(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

おもひ出ば:思い出すならば。

 已然形に「ば」が接続すると

 順接の確定条件や

 恒常条件などを表すが、

 未然形に接続する場合は

 順接の仮定条件、

 その事実が起こっていない状態で

 「○○だとしたら、するとしたら」

 を表す。

 

 
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先の良経「見ぬ世まで」の次に
配列された歌です。
 
詞書は同じなので
「左大将に……」とありますが、
 
これは
(慈円ではなく良経が)左大将に……」
という意味ですね。
 
 
あ、昨日の「見ぬ世まで」で
どちらの本での記述だったか
曖昧だったもの、
記録が出てきました。
 
良経の「見ぬ世まで」から
始まる歌群は、
塚本邦雄が
『新古今集新論』のなかで
 
四半世紀以上、二十一代集を何度か読み返してきましたが、これを発見した時は、生きていてよかったと思った次第です。
 
と絶賛しているものですね。

 

 
私も同感です。

 

 

おもひ出(いで)ばおなじながめに帰るまで心にのこれ春のあけぼの

 
 

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