藤原顕輔 秋風に | わたる風よりにほふマルボロ

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崇徳院に百首歌奉りけるに

 

秋風にたなびく雲のたえまよりもれ出づる月の影のさやけさ

 

藤原顕輔

新古今和歌集秋上413

 

 

 

【口語訳】

 

秋風に吹かれて

何層にもたなびく雲の切れ間より

漏れ出てくる月の光の、

清く明るく澄む

その美しさといったら。

 

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、語釈】

 

影のさやけさ:光の明るいことよ。

 「○○の××さ」で

 「○○が××であることよ」と

 詠嘆を表す。

 

 

 

久安六年(1150年)

崇徳院の詠進させた

「久安百首」が初出。

 

元は二句「ただよふ雲の」です。

 

 

顕輔は六条藤家の人間で、

のちに新古今和歌を牽引した

御子左家とは歌風が異なります。

 

といっても、この一首には

いわゆる旧派、

伝統に囚われて古臭くなったような

雰囲気がなくて、

 

新古今和歌よりさらに時代を下った

京極派和歌に似通うすがすがしさも

感じられるような一首かと。

 

 

秋風にたなびく雲のたえまよりもれ出づる月の影のさやけさ