神から人。
神から人へ、教え伝えて幾千年、幾万年もの年月に、人の心も魂も、変わり汚れて、疲れ果てぬる。
何故(なにゆえ)かくも、疲れしか。
何故かくも、倦(う)み果てぬるか。
神は悲しく見るなれど、人の心は日毎に疲れ、日毎に衰え、感謝を忘る。
人に心の汚れも溜(た)まり、己戒む忍耐弱り、いつしか日々を怠惰(たいだ)に送り、人を羨(うらや)むことにのみ、己の力を降り注ぎ、自ら克己し、鍛えん心は、病みぬる病人、廃人の如(ごと)。
何故(なにゆえ)悲しみ、何を憂(うれ)えん。
何を厭(いと)いて、何を嫌わん。
何故生かされ、行積むことを、かくも嫌がり、逃げんとするか。
生きる全ては楽しからずや。
精進の日々は、かくも辛きか。
課さるるみ役は、さにても不満か。
何を欲(ほっ)さん、何を求めん。
何を望まん、何を願わん。
生きて生かされ、賜(たまわ)るる、神の恵みは足らざるか。
神の心を悲しませても、さらに求むか、奪わんとすか。
神を裏切ることには鈍く、己の損得、利害には、かくも細かく計算するを、神は悲しく空しくご覧ず。
神の作りし初めには、人は楽しく歓喜満ち溢(あふ)れ、輝き笑みて常に満たされ、何の不平も不満も抱かず、ただに霊行喜ぶのみの、愛しく可愛き魂ばかり。
神に求むは、ただ生きんがための、少しの富と、少しの光、さにて満たされ、さらに望まず。
豊かに富むは、人の心と、大地の恵み、母なる大地。
肥沃(ひよく)の土地に育(はぐく)まるる、一つ一つの種籾(たねもみ)たちさえ、神の恩愛喜び謳(うた)う。
神を称(たた)えてさらに喜び、さらに感謝を強めゆく。
過去の思い出、過ぎ去りし夢。
今は帰らぬ幻(まぼろし)か。
明日には明日の み役もあるらん。
なれども励み務むるべきは、今ある霊行、それのみなるを。
明日に賜る恩恵を、今日に欲しがるさもしさよ。
人を思いて厳しきことをも、言わずにおれぬが親心。
一人一人の魂に、神はことばをかけられん。
励めよ、求めよ、尽くせよ、捧げよ。
その後賜る恩愛を、恵みを頂け、感謝の心に。
光り照りはえ 輝かん。
今よりさらに、眩(まぶ)しきまでに。
命の輝く人たらん。
感謝に満ちるる魂たらん。
感謝の思いに溢(あふ)れんばかりに、人にも物にも、感謝捧げよ。
己一人に生まれ育ちて、神に返せるものありや。
~神から人へ〈下〉: 今日の話題社: 新版 (2003/09)ひふみ ともこ より~
http://www4.tokai.or.jp/kmh/index.html