手彫切手 画像からある程度見分ける方法 | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

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証拠が揃ったのでいよいよ本気で動こうと思います

係争準備のためまだ公開できない情報がたくさんありますが、進展にあわせ、少しずつ公開してゆきます

 

今回は手彫切手、画像などからある程度の判断をする方法のご紹介と、鑑定方法やその信用性などについて書いてみます

 

 

手彫(凹版)印刷の絶対的な特徴

手彫切手は銅の凹版による印刷品である点反論する者はいないと思います

ではその特徴は一体どのようなものでしょう

当方では銅凹版印刷の特徴を知るため実際に当時と同じ手順で銅版を作成し実際に印刷をしております

詳細はこちら

手彫銅板印刷 | Wind & Thunder Boy (ameblo.jp)

テストから得られた結論ですが、この技法による印刷物には絶対的な特徴が大きく3つ現れることがわかりました

またその特徴は1つを除き、かつて骨董商らが贋作製作に使用した初期・あるいは小型のオフセット印刷機では再現不可能な特徴であり、外観判定、特に贋作見極めに有効なポイントでありますので是非一読していただき、頭の隅にでも置いておいてください

 

もちろん現代でも美術印刷など限られた世界では凹版印刷は行われているので、こうした技法を使った贋作もそれなりには散見していることも事実ですし、この特徴だけでは真贋の断定(特に本物との断定は出来ません)には至ることはありませんが、少なくとも市場にあるかつて骨董商等によって昭和50年代頃までまでばら撒かれ続けたオフセット印刷の贋作は見破ることが可能です

つまり20倍程度のルーペ、あるいは実態顕微鏡あたりがあれば十分にオフセット印刷の贋作については、判断可能な特徴ですので是非知っておいてください

 

特徴その1

1本の線の中のインキ切れ

下の写真をみてわかるとおり本来ただの線として表現したかったはずの場所のインキが抜け落ちている現象

この特徴の一番の特徴は線以外の余白部よりもさらに白い(インキが全くない状態)のが特徴です(ただし紙が黄ばんだりしていると判りにくいです・・もちろん分析レベルでは明確に違いが出ます)

ただ、この特徴は、オフセット印刷でもある程度の解像度の原版で刷られたものは同じような特徴を再現できます(古い機械や、小型のオフセットマシンでは再現できません)

 

特徴その2

線のない余白部のインキ拭き残し跡(写真のものはかなり強く拭き残しがあるもので、多くの場合はこれよりは少ないものが一般的ですが、必ず僅かな拭き残しはあります)

上画像でもわかるとおり本来図案のない部分にも薄くインキが残っています

これは上で紹介した凹版印刷の実験でも細かく説明したとおり、理論上も余白部のインキを100%除去することは不可能であり、もしそれに近い拭き取りをして印刷をした場合、今度はほとんど図柄の印刷も出来ません

同じ版を使用した場合、図柄がはっきりと出ているものほど、この拭き残しが多くなる傾向にあります

 

特徴その3

上画像緑で示したように1本の線の輪郭部のインキが盛り上がっています

言葉で説明するのが難しいですが、想像してください 

平らなプラ板に5mm幅の溝を彫りそのプラ板全体にゲル状物質、、糊などで良いでしょうを塗りつけ軽く全体を拭き取ったところに紙を押し付けてからその紙をそっと剥したら・・

平面部の糊は拭き取った際にある程度除去できるでしょうが、拭き取りの際に溝の中、特に溝の淵部により多くの糊が入り込んでしまい、そうして入り込んだ糊は簡単には取れません

また紙を剥した際にその糊が紙のほうに移るのでどうしても溝の外(線の淵にあたる部分)への付着は他に比べ厚くなります

特徴2・特徴3はオフセットでは再現が出来ません

ただし現代の高性能オフセットマシンの場合、余白部の拭き残しに似た表情をつけることが可能です(ただし拡大検視すれば一目瞭然)

この3つの特徴をしっかりと抑えておけば、少なくともその昔、骨董商等によって大量にばら撒かれた贋作を掴むリスクは限りなく減らすことが可能です

考えてみて欲しいですが、今回の実験印刷では当時の40ピースシートの約4分の1程度の小さな銅版での実験にもかかわらず、インキ濃度、拭き取り量の調整、プレスの圧など様々な条件で試しましたが、隅から隅まで完璧な印刷は出来ないことが確認できました

もっとも、なぜ美術印刷で現在もこの技法が使われているかというと、そうした不完全による偶然の描写を狙っての事であり、完全な線描写をしたいのであれば、最初から他の方法で印刷すればよいのです

これはあくまでも予想なのですが、上で示した特徴のない完全な個体は恐らく何十シートの中に1ピース出ればいいのではないでしょうか?確立にしたら1%を大きく下回る確立であると考えられます

この記事を書いている途中で、実際にこれまで撮影してきたものから無作為で200枚画像の再チェックを行いましたところ、200枚全てで、上の3つの特徴のうち少なくとも2つ以上は備えていることを確認しました

これが銅凹版印刷です

そして手彫切手はまさにこの銅凹版印刷技法によって作られた切手であるのです

 

他にも真贋見極めに大掛かりな装置無しで出来ることはあります

そのひとつとして印面収縮や変形があげられます

紙は簡単に言うと、植物の繊維などをネリと呼ばれる糊で固めたものです(厳密に言うと糊で固めるというよりは糊の力を借りて各繊維同士の結びつきを助ける・・という作用になりますが、この原理説明だけで何十ページにもなってしまいますのでここではネリで固めたという表現にさせていただいております

当時はでんぷん質の物質や植物から分泌される粘液などがこのネリに使われていました

ただ、自然素材のこうした物質は経年により変質してゆきます

その変質に伴い紙そのものの収縮や変形が起こるのです

特に裏糊がある切手では紙そのもののネリの作用以外にも裏糊の変質により非常に大きな収縮をおこします

収縮割合ですが少ないものでも1%程度、多いものだと10%ほど印面サイズで変化が見られます

こうした収縮も洗いや漂白などにより、ある程度復元したりする場合もありますが、基本完全に元通りのサイズ、形状に戻ることはありません

またこの収縮は紙の繊維配列にもよりますが縦横いずれか片方に、より顕著に現れます

縦に著しい収縮をしているが、横方向はそれほどでもない・・・などです

もちろん縦横共に大きく収縮した個体も散見はしますが、同じ比率で収縮しているものはなく、必ず縦、あるいは横のいずれかのほうが、大きな収縮率であります

こうした紙本来の特性を理解していれば、そこそこ厳密に縦横サイズを計測するだけで、紙の収縮がどの程度あるのか、あるいは全くないのか?という点の確認は出来ます

試してみたところ、市販のノギスで十分な計測は可能です

仮に縦横共に、全く収縮の見られない個体があったとしたら・・・それはかなり怪しい存在であるといえるでしょう

もちろん絶対にないとはいえないですし、裏糊のない竜切手などは比較的全体的に収縮は少ないのは事実です

しかし最初にあげた3つの特徴と併せて判断すれば、その判定の精度はぐっと上がるはずです

 

最後は紙質です

戦後骨董商等によって大量にばら撒かれた贋作に共通することがあります

どれも薄手の新聞紙、ザラ紙などと呼ばれる用紙に刷られています

恐らく彼らが使用した機械が特定の用紙にしか対応しなかったのでしょう

用紙のバリエーションが著しく少ないのが特徴です

ただ、これは画像判断が出来ませんほか、漂白などをされたことがある個体は繊維が壊れ色が抜け漂白剤の酸やアルカリの影響で単片に切り離されたものの場合、目打ち周辺の繊維の飛び出しがほとんどみられない場合もありますので、一概に繊維飛び出しが全くないもの=偽物というわけではないことを最初に話しておきます

 

下は正しい紙の姿をした個体です

写真では判りにくいですが紙の繊維の飛び出し構造がしっかり確認できます

手彫特徴もしっかり現れています

一方下はといいますとこの繊維飛び出しが全くみられない個体です

手彫用紙は和洋合わせて大きく20種に分けられています

実際は厚さ、縞の濃淡など、かなりの種類の用紙が使用されているのです

もちろんあくまでも未漂白・・という大前提においてですが、当時の偽造団の使用した新聞様ザラ紙はこの繊維飛び出しがほとんどないのも大きな特徴であり判断の目安にすると良いでしょう

紙繊維飛び出しが極端に少ないのはなぜか?

科学的に説明すると大量安価に製造する必要がある新聞紙、現在では緩衝用紙としても使用されるような紙は高速で抄造しやすいようセルロース(繊維)自体を短くしています

ですので結果極端に強度が劣ってしまい、それを補うためにネリ以外に薬品を添加したり表面塗布され強度を出しています

繊維飛び出しの全くないものはそもそも大量生産された低質紙なのです

もちろん漂白などにより紙繊維そのものに大きなダメージを受けた個体も同様の表情ですが拡大検視をして見ますと、漂白個体は1本1本の繊維はもともとは長かったことが観察できます

しかし低質紙は1本1本の繊維が極めて短いことがわかります

用紙の判断は100倍以下の低倍率検視や自然光下では非常に難しいため、周辺部の繊維飛び出しの極端に少ない個体は漂白、贋作などのリスクが極めて高い個体なので要注意!という程度にとどめ、この辺で一旦印刷自体の話に戻します

 

下は典型的なオフセット品です

上で挙げた銅凹版3つの特徴を何一つ備えていないことが判ります

結論から言うと銅凹版印刷でここまで完璧な印刷をすることは不可能です

まして、シート全体で・・・絶対にありえません

このレベルのものですと画像判断も可能です

この手のものが、実は市場にあるもののほとんどなのです

ショップ・個人、使用済み、未使用関わらず良く画像を見てください

ほとんどの方々は悪意はないと思うのです

ただその昔、骨董商らによって大量にばら撒かれた贋作を本物と信じ、コレクションしていたに過ぎません

ただ、科学鑑定を躍起になって否定している輩は自らが偽造に携わったか否かは別として、真実は知っているはずです

 

下は画像判断が微妙な個体です

矢印部の線内部にに僅かにですが、インキの薄みが見られるような気がします

また余白部がほんのり茶色く色づいています・・ただあまりにも均一であり薄染めした用紙にオフセット印刷をすることで同じ雰囲気には仕上げられるでしょう

要現品検証です

本物であれば必ず上で挙げたもののうち1つ2つは単片上のどこかに必ず特徴が現れますのでぜひルーペなどで確認してみてください

最後に鑑定方法そのものについてお話しておきます

骨董商の行っている鑑定はいわゆる比較鑑定と呼ばれるものです

比較判定法ですが、これそのものは決して悪いわけではありません

実際私もネリ組成、繊維構造、形成状態など外観的なものは、年代測定分析を行った個体や、確実な年代特定が出来ている紙と比較検証を行っています

ただ、比較検証をするのであれば、絶対的な条件があるのです

基本とする標準個体が本物であることです

現在組合または組合関係組織の行っている比較は、現在の資料を基に本物とされている物との比較であり実際は本物か偽物か特定できていない物(最大限にマイルドな表現をしてみましたが、現実は戦後~昭和50年代頃までに大量に刷られたオフセット印刷の贋作)と比べているに過ぎないのです

当方での比較は上でも書いたとおり、年代測定分析を経た個体や年代がはっきりした紙などとの比較ですので少なくとも用紙の年代判定としては、個別の年代測定分析に並ぶ水準での信用性であると自負しています

本来であれば全ての個体で年代測定を実施すればよろしいのですが、炭素法年代測定の場合、分析試料として切手のピースのおおむね30%ほどの試料が必要な破壊検査であり収集品の鑑定としては実施現実問題できません

また当方の鑑定書にも説明してあるとおりこの年代(370年~70年前の品)の炭素法分析は必ずしも絶対的ではなく誤差も大きいため単一データでの比較はリスクを伴いますので当方ではこれとは別に年代の確実な試料複数も比較試料として使用しています

ですのでそうした部分では大いに比較検証をしたら良いのです

最後に詐欺団が常套文句としてよく使っている言葉で、

「 当財団鑑定委員会はA.I.E.P.(国際郵趣鑑定連盟)の加盟団体です 」

「 国際機関から認証を受け信用性の高い機関の鑑定です 」

という説明が組合や組合関係HPなどでよく見られます

ではこの国際郵趣鑑定連盟とは一体どのような団体で、また加入条件や審査などはどのようになっているのでしょう

結論から言いますと 全日本郵趣連合 と称される団体と基本は全く同じで、加入金を支払うことで加盟することが出来るだけの団体にすぎません

加入金、年会費の差で平会員・特別会員(仮称)などと区分けされそれぞれ会員の中より役員などが選出され共同で運営を行う組織で、鑑定技術の専門的な資格や許可があって初めて加盟できるような組織ではないのです

そもそも鑑定に資格や免許、許認可は必要なのか?

答えはNOです

古物などの鑑定には一切の免許、資格、許可関係の必要はありません

つまりどこの誰でもある日突然鑑定業を開業することが出来るのです

ただ一部機器類によっては届け出などが必要な機器もございますが、それも単に届出をするのみでOKで、例えば保健所でとる食品関係の営業許可などのような施設環境(ここで言うと、X線装置設置場所)の検査の必要性は全くないのです

当方でも使用しております、X線装置類 蛍光X線分析装置やX線透過装置(現在は外注)、エネルギー分散型分析装置などでいいますと、蛍光X線分析装置、並びにX線透過装置につきましては設置する所在地を管轄する労働監督署への届出だけでOKです

特に使用についての講習会等があるわけでもなくただ単に届出だけで良いのです

エネルギー分散型分析装置につきましてはさらに小パワーであることや、密閉試料室内でしか使用が出来ないため危険度も少なく、届出の必要すらありません

同じX線透過装置も、人体に対して使用をする場合は、診療放射線技師国家資格を取得する必要がありますが、検体が人体以外のものである場合は上記のとおり労働監督署への届出だけでOKなのです

にもかかわらず、あたかもとても凄い鑑定専門の世界的な機関に加盟していて、そこに加盟しているからその鑑定は絶対的な信用性があるように錯誤させる手口はまさに詐欺にありがちな常套手段といえるでしょう

出版物による情報操作、こうした一見、とてもすごい組織であるように振る舞い、何も知らない収集家たちを長年にわたり食い物にしている組織にすぎないのです

大切な財産を詐欺団に食い荒らされないようそれぞれが、ある程度の見極めのできる目を養う必要があります

そろそろブランド名だけで飛びつくのはやめる時が来ていると思います