レーザー切削痕跡と収縮皴(縮緬皴)の違い | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

和同開珎をはじめとする皇朝銭のことなら!!!

本年のアップの予定はございませんでしたが、お客様よりレーザー切削痕についてのお問い合わせがございましたので違いをアップさせていただきます

近代銭などプレス銭に広く見られます特長で貨幣周辺部に皴が出る現象がございます

これは中心部に比べ周辺部の圧縮による地金の伸び率が多いことによる差から生まれますもので縮緬(ちりめん)皴などと呼ばれる特徴です

言葉で説明するよりも実際の画像を見ていただくほうが手っ取り早いのでこちらをご覧ください

上から 40倍 100倍 300倍 での観察画像です

画像から判断できるかと思いますが皴1本のサイズはだいたい30~150マイクロメートル程度~といったところでしょうか?

幅、太さが均一でないのが特徴ですし肉眼で十分観察可能な鍛造銭ならではの特徴といっても良いかと思います

 

ただ勘違いしないでください!

この特徴があるから本物などとはくれぐれもお考えにならないようお気をつけください

この収縮皴は鍛造銭であれば贋作であろうが普通に出る特徴です

 

また最新のレーザー切削金型はこうした収縮痕跡も忠実に再現可能ですのでお気をつけください!!

 

一方レーザー切削痕跡のほうは0.5~1マイクロメートル(500~1000ナノメートル)程度となり形状も圧縮皴はもっとぼんやりとしたものなのに対しこちらは非常に深くくっきりとしています

http://www.ilt.or.jp/study/intro-femto-kakou.html

こちらレーザー技術総合研究所サイトで今回の金貨の加工痕跡と全く同じ特徴のものがございますのでご覧ください

低フルーエンスでの加工 まさに同じ特徴であることがわかります(ただしこちらの画像は金型からの転写痕ですので僅かに甘いことと凹部凸部が反転しておりますので若干異なって見えるかもしれません)

 

もちろん熟達すれば光学顕微鏡でも観察は可能ですが最低でも600倍程度以上の高倍率金属顕微鏡やデジタル顕微鏡がなければ観察は出来ません

私も何度か撮影を試みておりますが、光学顕微鏡ではギリギリ観察は出来ておりますがまだ撮影は成功していません・・・

やはりデジタル顕微鏡もライカあたりのものを導入していれば良かったのか・・・

もはやどう足掻いたところで従来の鑑定では太刀打ちができない時代に入っているのです