結論から言うとやはり贋作でした
実はスラブに入った状態で若干の疑問を感じたためオーナーに説明をしたところケースアウトし、精査をして欲しいと言うことで取り出し検査しました
まず材料は第二期以降(昭和も戦後以降)の電解精錬材でしたのでこの時点で決定的な贋と判明
ただ贋作には贋作の特徴が必ずどこかに存在いたしますためそれを探す作業を行いました
本品に関しましてはその作業に合計35時間ほど要しました
およそ500倍という倍率でコインのすべての面を撮影、極皮組成内部組成のデータ収集、、疲れました
↓ こんな感じにひたすら局所毎のデータを集めるのです
こうして集積したデータが今後の鑑定に非常に役に立つのです
もちろんその間に決定的な証拠はいくつも見つかっているので所見作成そのものは鑑定開始から4時間後くらいにはほぼ完了いたしておりましたが最新の贋作事情を知る上で非常に興味深い個体であったため組成データなど400近いデータを収集しそれにかなりの時間がかかってしまいました
まずは本品に疑問を感じました部分の画像類をいくつか・・・
わかるでしょうか?
部分重文に似た症状が出ています
ただ、これだけでは別に贋作を疑ったりはしません
その症状の出方が本来の重文打の特徴とは全く異なる出方をしていたことです
製作は正規銭同様鍛造
ただし加圧の方法は全く異なるもので正規銭がドスンと打ち抜いているのに対し本品はジワジワと油圧で押しつぶしてゆく方法でした
おまけにジワジワとであってもひと息に潰したものでなく途中で一拍休み(潰れ具合の確認をし加圧不足と感じたため再加圧したのでしょうか?)再び加圧されたものでした
上の重文風様の打痕ズレはその際の躊躇い痕です
こちらがジワジワと加圧してゆく際に出来る圧縮痕ですので参考にしてください。。。
といいましてもこの痕跡は高倍率の金属顕微鏡などでも観察が難しいのですが・・・
そして、ギザの中に、、、例の如く? この痕跡が。。。
プレスによる衝撃でかなり変形をしてしまってはおりますが、レーザー切削の痕跡です
本品金型がここ20年以内程度に製作されているという動かしようのない決定的な証拠です
次回年明けになりますが、 P社の鑑定間違い数点ご紹介いたします。