和同開珎 銭文サイズ検証 | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

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本日NEWマシンの計測顕微鏡を使い和同開珎中字類4種の詳細銭文検証を行ってみました

その結果、ノギス計測では気がつかなかった非常に興味深い結果が出ましたので一部計測値をアップさせていただきます

貨幣博物館でも銭文径サイズや、文字サイズはノギス計測ですのでここまで厳格なデータは初のものではないでしょうか??



         使用マシン

メーカー         ㈱ニコン

機器名      アナログ式測定顕微鏡  

型式           A014195    

最小計測単位     0.0001mm 

最大誤差       ±0.00003mm



検証は全ての文字、全ての文字部首毎に行った

その上で今回  の 王 部の縦引きと真ん中の横引きの数値を 1ミクロンまで計測した(1ミクロン以下四捨五入)

計測位置はそれぞれの線の中心、また銭表面は磨耗等によりサイズにズレが生じている可能性があるので最も底部での測定とした

また画像上の色線は後から画像編集により入れたものであり、実際の計測は1ミクロン以内の誤差に抑え厳格に計測した


なお銭径そのものについては個々の磨輪度合いにより同種であっても大小が混在するためあえて銭文サイズのみに限定して計測を行った



まずは中字の基本となる 中字大様(長屋和同)
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横引き A     2.788mm

縦引き B     4.983mm

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続きましては最も一般的な中字中様、、いわゆる和同開珎標準銭と呼ばれるもの
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横引き A     2.652mm

縦引き B     4.716mm

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続きましては2次銭、3次銭などといわれます中字小様
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横引き A     2.257mm

縦引き B     4.508mm

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最後は中字の中で特に小型の小字 中字の小様とする説もあったが、今回の検証で全く別物であることがはっきりしたので後ほど説明する
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横引き A     2.451mm

縦引き B     4.263mm

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以上4点の和同開珎 中字類 の計測を行った結果 中字大様、中字中様、中字小様 の3銭の間にはある一定の法則のサイズ変遷が確認できた

それに対し 小字 1銭は上3種との数値上の関連性が認められなかったほか、他の文字についても上記3銭と比較した場合一定の法則は認められなかった

これは何を意味するか。。。


これまで小様、小字の線引きは極めて曖昧で中字の中で特に小さな個体を総称して小字、または小様などと分類されており修正が進んだ結果 珎 の右側縦引きがくの字に変形したのか??などと言われていたのだが、実は小様と小字は根本的に異なる、全く別個の原型を使用し作られた貨幣であるということがわかった


それに対し、中字大様→中字中様 文字の収縮率 5%

        中字中様→中字小様 同じく収縮率 5%


これは今回発表の王部のみならず、全ての文字のおおむね8割以上の部首、線で5%づつ収縮しているという法則性がみつかった

母銭を原型とし鋳造を行うと出来上がった貨幣は約5%程度収縮するという

つまり中字中様の母銭は中字大様銭、、中字小様の母銭は中字中様であったという決定的な証拠といえる

部分部分で上の収縮率と合致しない箇所も認められるが、これはその都度原型に対し、小修正を加えていたと考えられており今回そのとおりの結果が得られたわけだ


今後、同種のデータを複数集積してゆきより一層はっきりとした結果を出して行きたい