メタルギア・ソリッドを初めて遊んだのはもう十年以上前のことだ。
最初は学校の友達がプレイしているのを後ろでぼんやりと見ていた。
その当時はメタルギアという名前すら知らなかったから、「なんだか小難しそうなゲームやってんなー、俺には合わんゲームやわ」と思いながら画面を眺めてた。
この手のゲームは銃で敵をバンバン倒しながら進むもので、そういうのがニガ手な僕には合わない、と勝手に思っていたのだ。ゲームの舞台も工場みたいな無機質な感じで暗かったし。
ところがしばらく見ていたらなんだか様子がおかしい。友達は敵を倒すどころか極力見つからないように隠れながら進んでいく。「縛りプレイか?」って聞いたら「こういう遊び方をするゲームなんよ」と友達は言う。よくわからなかった。
工場の外は大量に雪が積もっている。歩くたびにザッ、ザッと雪を踏む音がする。
と、その時、敵が「ん?何だ?」と反応し、主人公のいる場所に接近してきた。
僕はなぜかその瞬間に「面白い!」と感じた。理由は今でもよくわからない。
敵を倒ながら進むという、一般的なゲームの中の約束事が、そのゲームでは破られている、それに新鮮さを感じたためだろうか。とにかくその一瞬のできごとが僕の心をとらえ、次の日にはメタルギア・ソリッドを購入していた。
ビビリゆえに心臓をバクバクさせながら見つからないように進み、息をもつかせぬストーリーの展開に仰天し、なんとか最後までプレイした時思ったのは、「誰がこんなすごいゲーム作ったんやろ?」
そしてそれが小島秀夫という人物に手がけられたことを知った僕は、彼が作ったゲームに興味がわき、彼が以前に監督を務めた「ポリスノーツ」という作品に出会うのである。
いつもの悪い癖とはいえ、また前フリが長くなってすみません。
基本的には「コマンド選択式アドベンチャー」のシステムで作られている。
しかし、他の同システムのゲームと比較して明らかに違うのは、映画のような壮大な世界観と、練りこまれたストーリー、そしてそれを支えている緻密にして膨大なテキスト量。
テキストに関しては一体どれくらい用意されているのか測りかねる。一回のプレイではおそらくすべてを読むことはできないだろう。
たとえばこの手のアドベンチャーではカーソルを操作して画面内の気になるところをクリックすることで、その箇所の情報などを読むことができるのだが、このゲームの場合ストーリーに関係の無い、それも背景に完全に溶け込んでいてふつうならクリックされないような街路樹や壁に貼られたメモ書き、椅子などにもしっかりテキストが用意されている。しかも一つだけではなく複数用意されていることさえある。
クリックした箇所にほぼ反応が返ってくるのがとても楽しく、気になってやたらとあちこちをクリックしてしまう。アドベンチャー好きのツボをビシビシ押してくるゲームなのだ。今まで数々のアドベンチャーをプレイしてきたが、このゲームのように馬鹿馬鹿しいほど徹底的に作りこまれた作品には出会ったことが無い。
ストーリーも、小島監督らしく、ムービーシーンを挟みながら映画のように進んでいく。
主人公やそれを取り巻く仲間たちそれぞれの心理もしっかり描き、それぞれが悩み、悲しみを抱きながら、舞台となる世界の闇に挑んでいく。
小島監督作品ならおなじみのどんでん返しも用意されており、他のアドベンチャーとはレベル、規模において一線を画している。アドベンチャー好きとしては、コマンド選択式アドベンチャーの究極の形を見せられた思いだ。
メタルギアの一瞬のシーンから始まり、この作品に出会うことができた。
最初にPC-9821で発売されてから既に20年近くが経つが、今でもその凄さ、面白さは色あせることはない。
それがこの作品がまぎれもなく一級品であることのなによりの証なのだ。
現在ではPSのゲームアーカイブスにて600円!という安さでダウンロードできます。アドベンチャー好きの方はもちろん、重厚な世界観を持ったストーリーが好きな方もぜひぜひ一度遊んでみてください、名作です!
