田舎は表面上は平和で和やかだが、裏は「闇」。
先祖代々、連綿と受け継がれてきた土地に住む田舎の人は、多くが縁戚関係。
閉鎖的田舎社会特有の利害関係で人間関係が悪化した不仲などはあるものの、
田舎は基本的に人間的なつながりで何事も成り立っている。
一般に、モノを買う判断基準は、
「高いか、安いか」
「品質や機能や安全性はどうか」
といったことだけど、
田舎では集落内の人間関係、しがらみが重要な判断材料になるのがふつう。
例えば、草刈りとか単純な作業であれば、
シルバー人材センターに依頼すればしがらみもなく安いのに、
倍以上も高い集落内の特定の人に作業を依頼し、
支払い後に陰でコソコソ「高すぎるよ」と不満を漏らしている。
作業の依頼先を変更しようものなら、
「ケチなヤツだ」
とか
「金に困っている」
「不義理な人だ」
とか言われるのを恐れ、
他に依頼したら安上がりだとわかっていても
田舎の人はプライドが邪魔してそれが出来ない。

「ここだけの話だけどさ」
という
「秘密という名の蜜の味」
秘密であって秘密ではない、
というより「暴露系ガーシーネタ」だからこそ
変化のない田舎では心が躍り、刺激的なのだ。
私の集落では弱者に寄り添う民生委員ですら口が軽くて、
弱者の相談内容をベラベラ知人に伝播し、
そのため委員がコロコロ変わっているのが現状。

私が帰省した時に、
「ゴミ集積場にゴミを捨てさせない」
と私に怒鳴りつけたのは私の遠縁の80歳のイカれたジジイだけど、
先祖代々受け継がれてきた土地に住む田舎は、
基本みんなが縁戚とか知り合いなので、
3代前の祖父母時代、4代前の曽祖父母時代までさかのぼっての
ウワサ話が拡散している。
下品で低俗でレベルが低いけど、例えば私にでも入って来るウワサ話の一部、
「あの人は成田離婚した」
「自治会の会計担当で自治会費を横領し、それがバレて土下座した」
「炭鉱掘りをして財産を失くした」
「父親が自殺した」
「あの人は同和だ」
「婿養子が財産を持ち逃げした」
「家の中に入り込んで預金通帳を持って行った」
「あの人は境界でモメて裁判になっている」
「飲み屋で暴力をふるい警察沙汰になった」
「害獣駆除の補助金を詐取した」
「三重大を卒業してるのに結婚できない」
「あの人は精神分裂症だ」
「専門学校に進学したはずが、
名古屋のアパートで漫画本ばかり読んで家に戻された」
三流週刊誌みたいなどうでもいいネタ話が
田舎の人は三度の飯より好きなのだ。
そのため、他人のウワサ話は大好きだけど、
自分がウワサの対象になることを極度に恐れる。
出しゃばりやお節介は田舎では致命傷、
「もぐら叩きゲーム」のように「出る釘は打たれる」のだ。
なので、田舎での生き方は
「目立たず、騒がず、主張しない」
に徹して、
周りの人のアラ探し、
「壁に耳あり障子に目あり」
の、監視社会になってしまうのが現状。

「マハリクマハリタ」
は、「魔法使いサリー」の呪文だけど、
主人公・夢野サリーの同級生で親友、三つ編みでダミ声の花村よし子は
亡き母の代わりに花村家の家事全般をこなし、
トン吉、チン平、カン太の三つ子の弟たちの面倒をみて
個人タクシーの運転手の父を助けていた。
男勝りで健気(けなげ)で、面倒見が良く、
アネゴ肌で魅力的な彼女みたいなタイプは残念ながら田舎にはいない。
むしろ、
「フランダースの犬」でいえば、
独善的で傲慢、意地悪なアロアの父バース・コゼツ、
「アルプスの少女ハイジ」でいえば、
気難しくてデリカシーが無いロッテンマイヤーさん、
「小公女セーラ」では、プライドが高く性悪のラビニア・ハーバートや
強欲で身勝手で意地悪なミンチン院長、
「シンデレラ」では、義母トレメイン夫人と2人の義姉ドリゼラとアナスタシア、
「ちびまる子ちゃん」では、性悪の永沢君男くん、
「ドラえもん」では、ナルシストでキザで嫌味でウソつきで
意地悪でひねくれ者の骨川スネ夫、
等々、田舎の人はべた褒めに言えば「個性的」だけど、
実情は性悪で意地悪系の温床の地なのだ。
次回④に続く。