歌舞伎町大歌舞伎 5/11 昼の部(Theater Milano-za) | 晴れ、ときどき観劇。

晴れ、ときどき観劇。

30代OLの日常ときどき観劇、たまに旅行

 

 

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見ました。

こんなのぼりがあちこちにあり、品のよいお着物姿のお姉さま方がぞろぞろと歌舞伎町に向かっていく姿はなかなか圧巻というか、地域の治安に貢献しているというか。笑

ガラのいい場所ではないから望んで行きたくはないけれど、観客の皆さんのおかげで不安もありませんでした。

 

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見やすいお席と

 

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なんかおいしい飲み物

 

 

一、正札附根元草摺/流星

曽我五郎@虎之介と舞鶴@鶴松による舞踊と、織姫@長三郎&彦星@勘太郎&流星@勘九郎さんによる、全く違う二種類の舞踊でした。

最初の幕は古典的なものを正統派で踊られていて目に楽しく。

そして流星、これがめちゃくちゃ面白かった。最初の……清元が……コーラスになると謎の不協和音で目が泳いだのですが………、兄弟の織姫と彦星が登場したら!ま~~~~お兄ちゃんが背伸びてるし大人びてるし声変わりしかけてるし、一方そのころ弟くんはふくふくして可愛らしいし、あらあらあら………と親戚オバポジで楽しく見ていたら、登場した、流星さん。

雷のご夫婦が夫婦喧嘩をして、そしたらお昼寝をしていた坊やが起きちゃって仲直りしてもらおうとするんだけど喧嘩ヒートアップ、隣のババア登場、ババアと坊やが仲介して仲直りと思いきや喧嘩続行、からの急転直下の和解。という物語をひとりで演じる流星さん。

鬼瓦みたいな雷神さまとなよやかな妻のやり取りでにこにこしてたら坊やが登場してにやにや加速、からのババア登場で無理でした。本当におかしすぎる。

怖いくらいにぶれない体幹、柔と剛の使い分け、ゆりかごから墓場まで表情での演じ分け、体重というか重力をコントロールする力。どれもが最高でした。客席をあれだけ引き付ける舞踊を踊れるのって、この世代だと勘九郎さんが随一じゃないでしょうか。

お膝のばんそうこうだけ少々気になりました…、はやく良くなりますように。

 

二、福叶神恋噺

貧乏神のおあしたらず姫が取りついた腕のいい大工の辰五郎。だが辰五郎は想像を絶する怠けものだった…!借りた金を酒と富くじに使い果たして妹にも見放された辰五郎をどうにか働かせようとしたおあしたらず姫だが、辰五郎は姫を「おびん」と呼び仔犬のような目で縋ってくる。質に入れた大工道具を受け出すために金を貸したおびんは、成り行きで辰五郎の面倒を見、手内職で家計を支える。

相変わらずの怠けものぶりを発揮する辰五郎に愛想を尽かした妹は兄を寄せ付けずに祝言を上げることに。せめても祝いの品を送りたいが金のない辰五郎はおびんの頭陀袋に手を掛けたところ、現場を目撃したおびんは嘆いて姿を消す。

ついに心を入れ替えた辰五郎は真面目に働き、妹夫妻と同居することに。さらに、辰五郎が買った富くじが千両の大当たり!おびんも戻ってきて、貧乏神は福の神へと生まれ変わるのであった。

 

もうめちゃくちゃに面白い。こういう面白い世話物大好き。落語大好き。

・辰五郎@虎之介の、放っておけない愛嬌!悪びれない小憎たらしさ!でもそこがいい!気っ風が良くて腕もいいのにぐうたら男、言い訳の手数だけは人一倍多くて本当にどうしようもないんだから!あたしが養ってあげないとね(深い沼)

・おあしたらず姫として働かない辰五郎にハッパをかけに来たのに愛称で呼ばれて満更でもないチョロ貧乏神おびん@七之助さん。かーわーいーいー!辰五郎をどうしようもない男であると正しく認識しているのについ手助けをしてしまうおびんちゃん…長屋の奥さん連中から人気者になってしまうおびんちゃん…おびんちゃん可愛すぎるよう…

・しかもおびんちゃん、物語から逸脱はせずに他の有名な演目の振りを一振り二振りして色んな作品の気配を感じさせてくれるんですよ。道成寺とか、妹背山とか、あとなんだっけ。それが大変に良くて、歌舞伎見た感も満たされました。

・どうしょもない兄に困り果てる妹@鶴松。妹の許嫁にまで金をせびる兄、嫌だわ。しかし今日まで兄と二人暮らしの妹…近所のトメ(だったっけ)と言い交わしている妹…妹のスピンオフも見たいものです。結局は心を入れ替えた兄のもとに帰って来るいい子だし。

・辰五郎さんは働かないでごろごろしてるくせに愛嬌がすごいので長屋の人気者だし、近所の煮売り家の娘にぞっこん惚れられている。ので、娘はときどき店の者を引き連れてやってきては、シャンパンタワーならぬ味噌汁タワーを差し入れてくれる。マイクパフォーマンス付きで。ただの歌舞伎町やないけ。店の者が黒服となり姫と客席を盛り上げるカオスに笑いました。

・何の騒ぎ!??!と仰天のおびんちゃん、畳にこぼれた味噌汁におかんむり。そりゃそうだ。笑

・そして「取りついた人間に金を貸し、そのうえ働く」という貧乏神の風上にも置けない振る舞いを諭しに来る元締めすかんぴん@勘九郎。笑 客席降りして着物をはたいたらもうもうと煙が立って悲鳴が上がってました。短い時間で持ってくな~~!笑

 

歌舞伎公演にしては上演時間がかなり短めでしたが、凝縮されていて満足度の高い公演でした。あー楽しかった。

 

ではでは、本日このあと月組配信。楽しみです。