ミュージカル・ピカレスク LUPIN 1/1(梅田芸術劇場) | 晴れ、ときどき観劇。

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どうして写真を水平に撮ることができないんだろう~♪

 

(cf.「どうして君を好きになってしまったんだろう」)

 

 

本作を観劇中にこの度の地震が発生しました。皆様がご無事ですように。

 

2幕の中盤あたりの発災で、車に乗っている(後ろのスクリーンの景色が揺れている)場面だったので揺れ始めた当初は「いやに臨場感があるな…」などと思っていたのですが、次第に揺れが大きくなり、シャンデリアやゴンドラ、それにライトがめちゃくちゃ揺れているのが見えて怖かった。

そんな中でも芝居を続行した古川さん・真風さん・真彩ちゃん・章平さん、そしてひとり舞台に残って可憐な歌声を響かせた真彩ちゃん。さすがでした。地震から10分以上経って暗転のタイミングで中断、20分ほどの安全確認を経て再開し、誰一人集中を欠く方もおらず…カーテンコールのご挨拶では古川さんが硬めにご挨拶をして終わり、あけましておめでとう!なムードはありませんでしたがラストまで完走してくださいました。

 

 

あらすじと感想。ざっくり。

 

・近ごろは事件(?謎解き?)を複雑化させるのが流行りなんですかね?ルパン歌舞伎といい、ごちゃごちゃしていて個人的にはあまり好みではないです。ルパン歌舞伎で言えば、「ルパンが狙っているのは二振りの剣、と見せかけて剣を揃えると辿り着ける金印、その金印の封印を解けるのは宇宙からやって来た神の末裔だけ、紙の末裔は月夜に赤く輝く瞳を持つ…」という入れ子構造でした。本作は「ルパンが狙っているのはテンプル騎士団が残した7本枝の燭台、と見せかけて燭台を揃えると辿り着けるテンプル騎士団の財宝、同じものをカリオストロ伯爵夫人と20世紀騎士団も狙っている、そして20世紀騎士団のリーダー・ボーマニャンが狙う可憐な少女クラリスとルパンは恋に落ちる、ところでカリオストロ夫人は120年以上も同じ姿で各地で目撃されており…」という感じ。一体全体何の話やねん。(ルパン歌舞伎と本作を比べて余計に分からなくしているのはあなたですよ宇田川さん。)

古川雄大トップスター就任お披露目公演、と思えば…まあ…古川さんの魅力はね、確かにあらゆる角度から顕現していましたよ。トップハット・モノクル・ヒゲでマントを翻すいかにもピカレスクなお姿、センター分け金髪で燕尾服の胡散臭いほど紳士なお姿、くるくる赤毛にチェックのジャケット+シャツごと腕まくり・ハンチングの新聞記者なさばけたお姿、カラーチェンジする電飾に彩られたボウタイ型のゴンドラで歌う中詰め(中詰めではない)、カンカンの歌手として可愛らしいフリフリドレスで歌い踊る女装姿、なぜかシャツの前ボタン全開き+血みどろで殴る蹴るの暴行を受けて…呻くお姿。ハイ。フガフガしたおじいちゃんからピカレスクルパンへの早変わりでの登場シーンも含め、小池先生がトップスターにさせたいアレコレ全部詰め込まれた作品でした。……ほんとうはボンドさんのゴンドラ(パラシュート)も電飾で彩りたかったのかもしれないという気付きを得てゾッとしておりますが…笑

・そんな感じでいろんなことをさせられていた古川ルパン、変装の名手らしく扮装によって仕草や声色を変えていて大変素敵でした。本名のラウールとしてクラリスに接する姿も、本心から愛を告げているように見えた直後にカリオストロ伯爵夫人(または彼女と共にいると得られる財宝)に揺らいでルパンに戻る姿も……結局騙されていてボコボコにされたとたんに本当の愛に気付いてクラリスを想う姿も……うーん…クラリスと想いが通じたあとにも盗みを犯して、それにクラリスが「本当に懲りない人ねっ(笑)」みたいな感じだったのも、別に個々のシーンとしてはカッコよくて可愛くて良いんですが全体的に役としての一貫性みたいなものはなく作品を通したメッセージも感じられず、単純にエンタテインメントとして面白がればいいと分かりつつも。うーん。

・そんな中で一貫していたのはカリオストロ伯爵夫人@真風さんかな!?彼女は一貫して財宝を狙っていて、そのためにボーマニャンに近付いたし、目を欺くために男装もするし、素敵すぎるし、クラリスをボーマニャンの魔手から匿ってあげるし、素敵すぎるし、ルパンを誘惑してタンゴを踊るし、素敵すぎる。素敵すぎました。そして!実は!彼女の正体は元大部屋女優ブリジットであり、社交界に潜り込んでみたら男たちから「カリオストロ伯爵夫人!!」と間違えられまくったことで自分が彼女に瓜二つなのだと知って一計を案じてカリオストロ伯爵夫人を演じ・数多の財宝を掠め取り・最終的にはアメリカに渡って自分の名前を冠した劇場を作ろうと計画している能動的で生命力あふれる女性だったわけです。素敵だしかっこいいし面白い。どこかの国のどこかの歌劇団でトップスターを張っていたとしか思えない度胸と演技力でした。お衣装も素敵だったし、短髪のカツラを取り去られたら金髪ロングのカツラが露わになるところなんて劇的で美しくて最高だった。ちょっとした仕草で男役と女性の間を行き来するの…天才…

・二番手役はボーマニャン@立石俊樹さん。秘密結社・20世紀騎士団のリーダーであり、テンプル騎士団の財宝を狙っており、実は私兵を抱えて各地の財宝を盗掘しては売り払い莫大な資産を持っていて、税金対策にテンプル騎士団記念施療院を開設し、その院長にクラリスを据えた・クラリスを想っているけれど何故か異様に嫌われてる・カリオストロ伯爵夫人の元カレ。情報量!笑 表の顔は普通にイケメンだし当時としては別に常識はずれなことも言ってないので、どうしてクラリスが彼を妙に嫌っているのかが分からない。しかも「誰にでも平等の慈愛の心で接する」が売りのはずのクラリスが人前でも最高にツンケンしていて、そのせいで彼女があんまり魅力的に見えないというか…だってボーマニャン良くない!?盗みをしている・女遊びが激しいって言うなら、別にルパンだって同じじゃない?!?! 立石さんも歌が上手いし、小池作品における二番手は一番キャッチ―で素敵なワルい曲を歌うと相場が決まっているので大変キャッチーで良かったです。

クラリス@真彩ちゃん。真彩ちゃんは良いんだよ、好きなんだけど…、クラリスは…。いちいち「純潔がどうのこうの」とか「ルパンを知って花開いた」とか、気持ち悪い歌詞を歌わされていてかわいそう。前述したけど誰にでもは慈悲の心で接していないし、相変わらずのルパンの盗癖を「あいかわらずね」で済ませるし、「わ、わたし別にルパンを好きだなんて言ってないんだから!」みたいなよく分からないツンデレムーブをするし、あと割と序盤で男性だと思っていたカリオストロ伯爵夫人(なんちゃら男爵)があまりに紳士なのに「…ちょっと物足りないかも」とか気持ち悪いことを言わされていたのもかわいそうでした。そういうの気持ち悪いですよって誰か小池先生に教えてあげて…

・三番手役、シャーロックホームズ@小西遼生さん。おもしろ(笑)コカイン中毒で、パリに渡ったはいいもののコカインを忘れちゃったので221Bに電報を打ってワトスン君に処方箋をおねだり。無事に処方箋が届いたら再び電報を打ってお礼。ちゃんとお礼が言えてえらい。でもその間のツナギでカリオストロ伯爵夫人から7%のコカインを譲ってもらって・なぜか男女の関係になり・そのうち本当にカリオストロ伯爵夫人のことを好きになってしまい・永遠のライバルと目されるルパンと一騎打ちで対決。いや探偵仕事せえや。笑 ボーマニャンを追いかければルパンに辿り着くはず!という誰でも思い付きそうな仕事しかしない、コカインとカリオストロ伯爵夫人に夢中な、変なおじさんでした。小西さんの上手さと声の良さとスンとした無表情の美形が余計に可笑しさを増幅させるのね。

 

・あと、アンサンブルのなかに美麗ちゃんと湊りひちゃんがいて、お二人ともボーマニャンの黒天使にいらしたの!黒のスーツにハットで踊りまくっててめちゃくちゃ素敵だった~!

 

 

ルパンといえばルパン三世といえばカリオストロの城といえばクラリス、真彩ちゃんといえばクリスティーヌといえばオペラ座といえばラウル、シャーロックホームズといえば少年探偵団だからイジドールと一緒に行動させちゃお、…的、連想ゲームを感じまして、もちろん連想ゲームは好きなんですけど…まあ単純にエンタテインメント作品だからいいのか…。

 

 

なんだか…こう……アルカンシェルへの不安が刻一刻と募ってきたところで…(チケットはない)(そっちのほうが不安)

 

明日は!雪組です!!大変楽しみ。でもその前に旅行記にお付き合いくださいませ~