乃木坂35thシングル選抜決定の背景を分析 | 平山朝治のブログ

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中西アルノと菅原咲月

 

乃木坂46の35thシングル(タイトル未発表)の選抜メンバーが発表され、3期生が全員選抜入りしたあおりを受けて、4期生や5期生の人気メンバーが選抜落ちしたことが、メンバーやファンの間で波紋を呼んでいる(「乃木坂46の35thシングル、3期生選抜入りの一方で人気メンバーの選抜落ちにネット騒然」)。

 

乃木坂の選抜メンバー決定において従来重視されてきたのは、個別握手会やコロナ以後それに代わった、36th以降シングルの個別ミート&グリート(ミーグリと略称)の売り上げ状況であり、公表されている情報をもとに作成されたメンバーごとのミーグリ完売表がファンの間でよく知られている(以下、

 

 

のものを引用)。35th選抜メンバーの決定と関連が深いのは34th「Monopoly」の完売表であり、それと35thの選抜結果とを合わせて掲げよう。

 

これによれば、ミーグリに参加した3期生は6人で、全員が30部全てに参加し、30部全完売を達成していない。それに対して、ミーグリに参加した4、5期生で30部中30部全完売しながら選抜入りしなかったのは、中西、冨里、菅原、小川、筒井の5人である。つまり、結果から見ると全完売しながら選抜入りできなかった上記5人の代わりに全完売できずアンダーだった3期生佐藤楓、伊藤、吉田、阪口、中村の5人が選抜入りしたことになる(向井は33thミーグリ全完売していないが34th選抜入りしており、34thミーグリと35th選抜入りも同様だった)。

 

かつては、シングル毎に開催されるミーグリ全30部中15部以上に参加し、参加した部を全完売すれば次のシングルで選抜入りすることが約束されていた。このことは、5期生が加入する以前においては例外なくみられた。

 

5期生が加入した最初のシングル29th『Actually...』で5期生の中西がセンターとして選抜入りしたが、それに対する反発から中西に対する事実無根の誹謗中傷の嵐が吹き荒れ(中西アルノへの誹謗中傷:違法の構造 週刊文春の中西アルノ記事を捻じ曲げ、“パパ活疑惑”を捏造した文春オンライン)、彼女は活動自粛を強いられて29thミーグリにも参加できなかった。

 

従来の例をみると、

上表のように、創設時の1期生の生駒里奈をのぞいて、加入した最初のシングルで選抜入りしてセンターとなる例は5期生の中西がはじめてだが、新加入の次のシングルで同期初選抜、初センターに抜擢されるのは、2期生の堀の7th「バレッタ」、3期生の大園&与田Wセンターの16th「逃げ水」、4期生の遠藤さくらの24th「夜明けまで強がらなくてもいい」と続いていたように、2期生以降も、新参メンバーのうち運営が有望と判断した人がいきなりセンターとなるのは乃木坂の伝統だったのであり、中西のデビュー即センターもその伝統に従ったものだったと言うべきだろう。

 

最初にセンターとして選抜入りしたあと、3期生は2枚目7thで選抜入りメンバーがゼロとなったが、2期生と4期生は2枚目でも選抜入りしているのに対し、5期生のみ2枚目30thと3枚目31thで続けて選抜入りメンバーがゼロとなっている。29thで5期生がデビュー即センターとなったことに対する反発の強さを恐れた運営が、極力ことを荒立てないようにと、30thと31thにおいて5期生の選抜入りを自粛したとしか解釈しようがないのではなかろうか。

 

その結果、ミーグリで全30部中15部以上に参加して全完売すれば次のシングルでの選抜入りが保証されるという暗黙のルールが破られることになり、29th以降、全完売しても選抜入りできないメンバーが出現し、その穴を埋めるべく全完売していないメンバーが多数選抜入りすることになった。

 

29thでは5期生の菅原、井上、一ノ瀬、五百城、小川、冨里の6人(川﨑、中西はミーグリ不参加)が18部中18部全完売しながら30thで選抜入りできず、鈴木、弓木、清宮、金川、佐藤楓、樋口の6人が30部中30部全完売しなかったのに選抜入りした(上表の色分けは間違いであり、鈴木は17次で全完売)。

 

30thミーグリでは、井上、菅原、川﨑、一ノ瀬、冨里、五百城、池田、中西が24部中24部全完売しながら31stで選抜入りできず、筒井、林、阪口が全完売しなかったのに選抜入りした(早川はミーグリ不参加だが過去の実績によっており、他のミーグリ免除メンバーと同様この表に載せるべきではない)。

 

31stミーグリでは、池田、中西、冨里、林、小川が30部中30部全完売しながら32ndで選抜入りできなかった。選抜入りした松尾は30部中11部完売だが、全完売に次ぐ成績で、26thと28thでも全完売に次ぐ次点が選抜入りしているのと同様である。

 

32ndミーグリでは、冨里、中西、小川が全完売しながら33rdで選抜入りできず、伊藤、中村が全完売していないのに選抜入りした。

 

33rdミーグリでは、中西、小川が全完売しながら34thで選抜入りできず、柴田、黒見、向井(次点、全完売していない2人目、4人目*)が選抜入りした。

*最終次の完売部数によって順位付けした。

 

34thミーグリと35th選抜については最初に検討した。

 

このように、28thミーグリまでは、卒業発表済みや休業を除いて、全完売すれば選抜入りが保証されていたにもかかわらず、29thミーグリ以降、全完売しても選抜入りできないメンバーが5期生や4期生に続出した。そのような目にあったメンバーやファンの間では、ミーグリというCD売り上げへの貢献度を客観的に計る人気投票の結果にそわない選抜結果をめぐって、優遇されたメンバーに対する運営の不当な依枯贔屓ではないかという不審や不満がしだいに高まってきたのではないかと思われる。

 

35thでは山下が卒業するのに伴い3期生を全員選抜入りさせるという、客観的な基準に従っているものの、非完売の3期生6人の犠牲となって、34thで全完売しながら選抜入りを逃したり選抜落ちした4期生5期生の5人が受けた衝撃は少なくないと思われ、なかでも、32ndから34thまで選抜入りしていた菅原はたいへんなショックを受けたようだ(「乃木坂46・菅原咲月、アンダーメンバー決定後の心境を告白」)。

 

AKBは、メンバーを特定した個別握手券つきの劇場版(乃木坂の通常盤に相当)に選抜総選挙投票券も入れられるようになったため、投票券をオークションなどに売りに出して資金を回収することで劇場盤購入を増やしたり、ファンの選対組織が大量に購入した投票券を推しに投ずるようになった2013年第5回以降の選抜総選挙と個別握手会の歪み(「AKBレインボー経済」83-9頁)や、リクアワ・総選挙をめぐるNGT票の不正疑惑(「NGT48問題・第四者による検討結果報告」)によって、人気が低迷下降した。それと比べて、個別握手会やミーグリと選抜とを密接に結びつけるという乃木坂の従来のやり方は、乃木坂がアイドル界のトップに君臨するようになるにあたって大きく貢献したと思われる。

 

しかし、29thミーグリと30th選抜決定以降繰り返されてきた、メンバーを公平に扱わず、依枯贔屓しているのではないかという疑惑は、乃木坂の将来を危うくするのではないかと思われる。

 

エース級メンバーの卒業シングルで同期全員が選抜入りする前例としては、白石麻衣の25th「しあわせの保護色」があった。その選抜決定とかかわりの深い24th個別握手会の5次までの完売表

https://x.com/lovefiaa/status/1166939691456720897?s=20をみると、個別握手会に参加して完売せずに選抜入りした1期生は2人だけで、3次までに全完売した久保、梅澤、山下、与田、堀、新内の6人は全員選抜入りしている。これと35thの選抜決定とを比べると、全完売せずに選抜入りした3期生は6人もおり、中西と冨里は3次までに完売しても選抜入りできなかった。したがって、25thを前例として35thを正当化できるのかどうか?むしろ、25thと比べることで35thの異常さが際立つのではなかろうか?

 

コロナ禍以前は個別握手会全完売するメンバーが多いので、そのなかからさらに絞り込んで選抜メンバーが決まっていたが、個別握手会がなくなってCDの売り上げも大きく落ち込んで以降は、ミーグリ全完売メンバーの選抜入りが28thまでは保証されてきたし、5期生加入後も、全完売メンバーを全員入れて選抜を組むことは可能だった。

 

しかし、非完売メンバーのうち誰が選抜入りするかについて、35th選抜決定で山下卒業という合理的な理由を伴って3期生を全員選抜に入れるという客観的な基準を示したことの意義も大きい。これは、29thミーグリ以降の選抜決定を巡る問題を解決するための第一歩になりうるとも評価することができ、今後の乃木坂の健全な発展につながることを希望したい。