乃木坂アンダーのブレイクと、5期生を活かす2チーム制案 | 平山朝治のブログ

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乃木坂46 33rdシングル・アンダーライブ

2023年9月29日 横浜アリーナ会場入口 著者撮影

 

乃木坂の33rdシングル・アンダーライブ(表題曲選抜に入れなかったアンダーメンバーによるライブ)が9月29〜10月1日(金〜日)に横浜アリーナで開催され、立見席も含めて全席完売という前代未聞の盛況となった。人気メンバーは選抜入りするので、選抜入りを狙う新参メンバーとなかなか選抜に入れない古参メンバーが多く、これだけの盛況を示すことがあるとは誰も期待していなかっただろう。乃木坂46の公式ライバルは実は乃木坂アンダーだったことがはっきりしたと言うこともできるし、NGT暴行事件やジャニーズ性加害事件もあってアイドルが下火となってきた時期に乃木坂アンダーが大ブレイクしたことは、今日の日本のアイドル文化にとっておそらく唯一の明るいニュースであり、今後のアイドルのあり方を切り開いていくような新しい方向性がそこに示されているかもしれない。

 

AKBの総選挙に相当する人気投票システムを乃木坂も採用しており、シングルごと、メンバーごとにファンと一対一で触れ合うイベント(コロナ前は個別握手会、コロナ以後は個別オンラインミーグリ)への応募状況によって、それに参加したメンバーの順位がわかる。最近の例ではオンラインミーグリ全30コマの全て(一部しか参加しないメンバーはその全て)が早く売り切れるほど人気があるとみなせるので、完売した抽選回数が少ないほど人気があり、それが同じならばその回のときに残っていたコマ数が少ないほど人気があるとみなすことができる。そこで、32ndと33rdの個別オンラインミーグリの完売表をもとに、行の右側に、n次抽選で完売し、そのときmコマ残っていたことをn(m)とあらわす欄を付け加えた。さらに、nが少ないほど、nが同じならばmが少ないほど順位が高いとみて、丸つき数字で順位をつけてみた(3期生人気メンバー梅澤美波、山下美月や久保史緒里はいずれにも参加していないが、参加していればかなり上位にきたと思われる)。氏名の右側に、Cで当該シングル表題曲センター、Sで同選抜を示したので、それらがないメンバーがアンダーメンバーである。

 

完売表出所:

 

完売表出所:

 

32ndのアンダー楽曲「さざ波は戻らない」は伊藤と林のWセンターだったが、伊藤は33rdで選抜入りし、林は学業に専念するため休業し、さらにアンダーメンバーで一番順位が高かった池田も33rdで選抜入りしたように、主力級3人が抜けたにもかかわらず、なぜ33rdでアンダーメンバーが大ブレイクしたのかを考えるためには、32ndで池田に次ぐ人気のあったアンダーメンバーの動向をみなければならない。

 

それに該当するのは、4(4)⑩から3(6)⑧になった中西、4(5)⑪から3(10)⑨になった冨里、8(5)⑰から6(4) ⑭になった小川であり、32ndで完売しながら選抜入りを逃したメンバーはこの3人のみであり、しかも5期生である。この5期生3人は33rdのミーグリ売り上げを大きく伸ばしているので、アンダーのブレイクを引き起こした主力ということになる。

 

5期生のデビュー以降の個別ミーグリ完売状況をみてみよう

 

 

中西は乃木坂入りした最初の29th『Actually...』でセンターに起用された(それまでAKB 坂道でデビュー即センターはグループ創設時以外誰もいなかった)ように、歌唱力・表現力の高さに定評があるだけでなく、『超・乃木坂スター誕生!』のスキットでもオズワルドの伊藤俊輔「中西さんのセリフの間とかタイミングと顔、全部完璧なコントがあって。「こうやったら面白い」みたいな感覚が明確にある子なんだなって思いました」高く評価されている。

 

このように、即戦力の中心メンバーとして採用されながら、それに反発した一部ファンが加入前の被写体モデル活動はパパ活だという根も葉もない噂をSNSで拡散し、文春もパパ活疑惑を客観的に否定する情報を報道しながら、それを捻じ曲げてパパ活疑惑を煽るようなタイトルの記事を文春オンラインで公開した(中西アルノに関する虚偽情報拡散の謀略を暴く(青字部分加筆)中西アルノへの誹謗中傷:違法の構造週刊文春の中西アルノ記事を捻じ曲げ、“パパ活疑惑”を捏造した文春オンラインなど)。このため、中西は活動自粛を強いられ、29thはミーグリに参加しなかった。このように、デビュー直後に中西は大きなハンディを負わされたが、30thでは7(6)完売で5期生8位と、ネガキャンを跳ね返したあと、6(2)で7位、4(4)で7位、3(6)で6位と着実に売り上げと順位を上げてきた。売り上げと順位をいずれも下げたことがない5期生は同期最年長同学年の中西と池田のみである。

 

中西は、受験期に鬱や不眠に悩まされたため、浪人して東京芸大美術学部に挑戦するのをおそらくあきらめて、現役で私立の芸術系大学に入学し、池田は2浪して東京芸大美術学部に合格するというように、芸術的センスが高く、大学受験で苦労した年長組が5期生をリードし、33rdセンターの井上も絵のうまさに定評がある。このような芸術的レベルの高さや人生経験が5期生人気の基盤となっているように思われる。

 

5期生の人気の推移を示すものとして、30th、32nd、33rdシングルと抱き合わせで売られた5期生個人PVの予告編再生回数をあげることもできる。ミーグリはCDを買わなければならないのに対し、個人PV予告編は誰でも無料で見ることができるため、ミーグリ完売順位がファンの財力や推しへの支出性向に大きく左右されるのと比べて、予告編再生回数はそのようなバイアスがない人気のバロメーターであるし、メンバーごとの個性的芸術表現に対するファンの支持のバロメーターでもある。表にまとめると、

のようになる。再生回数は2023年9月30日のものなので、発売後日数が浅いほど再生回数は少なくなる傾向がある(たとえば、33rdをみてから32ndや30thを見る人もいる)。この傾向を大きく逸脱し、30thよりも33rdが多いのは、小川(26万8位、12万10位、27万2位)と、中西(23万10位、27万3位、34万1位)のみであり、中西はデビュー時のハンディを跳ね返して個人PV再生回数ではデビュー即センターの実力に対応する1位にまで回復していることがわかる。

 

このように、デビュー時に負ったパパ活疑惑というハンディを徐々に克服してきた中西を中心に、冨里、小川を加えて、5期生が主力となって、乃木坂アンダーのブレイクが引き起こされた。

 

5期生の32nd以降の選抜入りの条件は、中西の即センターに対する反発が大きかったため、ミーグリの実績を自動的に適用し、直前のシングルの個別ミーグリ3次抽選で完売を基準としているているように思われる。ただし、東京芸大受験生だった池田は32nd(2023年2月9日フォーメーション発表)は負担軽減のため選抜入りしなかった(本人の辞退か運営の配慮かは不明)と思われる。

 

33rdミーグリの実績からみて中西と冨里は34th選抜入りの条件を満たすことになるが、単に2人増では選抜メンバー数が多すぎるだろうし、せっかくブレイクしたばかりなのに人気1位と2位の2人が抜けると、アンダーライブも実施困難になるだろう。

 

ミーグリ成績を基準にしても、期ごとのバランスも考慮しなければならず、5期生の誰かと入れ替わって2人が選抜入りするということは、すでに選抜入りしている5期生は全員33rdでも3次完売の条件を満たしているので、難しい。選抜とアンダーの2つにメンバーを分けるシステムは、ミーグリを完売させる5期生が11人中9人もいるという現状のもとでは、次のシングルで維持できなくなるのではなかろうか。

 

層の厚い5期生の比重が高まってきた乃木坂は、選抜とアンダーの分割というやり方に代えて、アンダー楽曲と表題曲を区別せずに両A面扱いし、選抜とアンダーに代えて、たとえば、乃組23と木組23などといった、2つのサブグループに分けて切磋琢磨し、サブグループ間のメンバーの移動の垣根は低くして、表題曲に応じて柔軟に対応できるようにする(両A面のひとつはソロやデュエットの曲もありえる)、6期生もまずはこの体制で受け入れ、場合によっては選抜とアンダーの分割に戻す、といったような方策を真剣に考えるべき時期にさしかかっているのではなかろうか?

 

坂道AKBのサブグループはAKBで前田敦子ら1期生がチームA、大島優子ら2期生がチームKとしてそれぞれの劇場公演をしたのにはじまり、坂道では欅坂46のなかにチームとしてけやき坂46(現・日向坂46)が作られた前例があるが、乃木坂の選抜とアンダーを対等なサブグループとする場合、江戸火消しの「め組」などに倣って、乃組ないしの組と木組ないしき組とするのが和風で乃木坂というグループ名との相性がよいかもしれない。

 

「組」名の先例は初期のAKBに見られる。1期(チームA)と2期(チームK)の交流がなく、ファンも対立している状況を改め、期をまたいで2組にわけて競争・切磋琢磨させようとした「ばら組・ゆり組」構想が発表されたが、実際にはひまわり組1つ(メンバーがメインとサブの対をつくり、いずれかが出演)になり、「僕の太陽」「夢を死なせるわけにはいかない」の2公演終了後、もとの2チームと研究生による構成に戻ったように、2つの組が切磋琢磨するという本来の構想は実現しなかった(『AKB48ヒストリー』

 

 

など)。しかし、乃木坂の選抜とアンダーを2つの対等な組に組み替えるならば、グループ内の歴史の蓄積があるのでうまく行くのではなかろうか?

 

旧選抜と旧アンダーの2つの組が切磋琢磨するためには、人気の差が開きすぎない工夫が必要だろう。たとえば、いずれの組も個別ミーグリ完売メンバーのうち3分の1以上を含むようにするというルールを作れば、33rdの完売メンバーは14人なので、各組とも最低5人必要であり、33rdアンダーの完売メンバーは3人なので、最低2人は33rd選抜から移動する必要がある。誰が移動するかは諸条件を考慮して運営が決めればよいが、3期生で人気が突出している久保と山下は別グループに所属することがのぞまく、4期生の嘉喜と遠藤も同様だろう。また、両組の対等性を担保するため、キャプテン(梅澤)が旧アンダーに入ることをルール化すればよいようにも思われる。

 

 (赤字部分:5期生の選抜入り基準、組分け基準について加筆)