< スロットカー塗装雑念 >

十数年前 1/32スケールのスロットカーが流行った時、メインはRTR、つまりメーカー塗装の完成車。

ビンテージスロットカーの線引年代定義は難しいが、創生期から少なくともミレニアム以前は

自分で塗装して仕上げるのが普通だった。

 

60年代当初のボディ材質はABSやスチロール系プラで塗料にも幾多の種類があった。

が、直ぐラッカー系が廃れてハンブロールやテスター、パクトラなどエナメル系が主流となった。

比較的衝撃に強く、また後のクリアボディとも相性が良かったからだ。

まらエナメル系は乾きが遅く筆跡やムラが出にくいのでプラボディ表塗りにも好まれた。

 

何せ、スロットカーのクラッシュは日常茶飯事、ラッカーは衝撃でパリパリ割れたりする。

それ以前に(特にクリヤボディの場合)ラッカーは塩ビやレキサンの素材を痛めてしまう。

当時、ラッカーは一般的で、昔は町に必ずひとつはあった”金物屋”でも入手できた。

シンナーで薄めて手動噴霧器又は缶スプレーで安易に塗れるのだが、コッチは鉄のボディじゃない。

実車のラッカー塗料を分けてもらった事もあったが、昔のシンナーは強かった。

本物のコブラと同じ色だ!なんて喜んだのだが、

(∼∼;) クリアボディは変形してしまった。

 

一方、エナメル系はその膜厚管理と乾燥時間に手間がかかる、なんて思っていたら、80年代の性能追及メインのスロットカー(やラジコン)で扱いイージーなポリカボ専用塗料が主流となったのも当然の成り行きだろう。

唯、ポリカボ塗料は、その薄さから想像できない程のラメやメタリック感あっても再現性は問題。

スケールモデルとは言えない特殊な走るモノ感を、さらに強調してしまうのはご同慶の至り。

さて、ヒトの世界観生活感同様に多様化したスロットカーだが、現在のビンテージスロットはラッカー塗装が主流。

各自制作者の個性も出てるのはいいモンだ。

もちろん、メーカーRTRだって清潔感とカッチリした仕上に考証通りのスケールモデル、悪いとは思わない。

唯、コレクションに良くても、同じものばかりになってしまっては世の中ツマラナイ。

多様性なきコレクションは欧米からヤフー:野蛮人と言われかねないし、何より自分で塗装した作品は満足度も違う。

 

< for : COXチータ

前回に続きツラツラ云うのも難だが、COXは60sマニアにとって垂涎の品。

せっかく入手した未開封ミントボディ、何とか綺麗に仕上げたいトコロ。

 

<Prep. : 塗装前に >

 

COX製品は、シャーシもボディも高精度がウリ。

ウィンドグラスも、例えば昔流行ったアメ車ストックカーのプラモとは構造から違う。

AMTやモノグラム、田宮や長谷川、みんな ”のりしろ”があったが、COXはピッチリハメ込むタイプ。

どんだけ~精度に自信あるのか?だけならいいのだが、接着強度は心配。

昨年のレースでもSZ氏がチータのリヤウィンドをコースに落とされたのを思い出し、対策を考えた。

4ℓのジャパンスピリッツ厚手ペットボトルから切りだしてみた。

キットのオリジナルウィンドと同寸で接触面をテーパー状にしたAが一番フィットする。

だが、取れやすさはさして変わらないので、Bのように突起が裏面に回り込むのもトライ。

後方エンドをインテリアに挟み込むCはいいアイディアだと思ったが前方がポコりと抜ける。

そこでタイプDを制作。

 

また、COXと云えど不良品がゼロではない。

ブリスターパックを開け気付いたのはフロントエンド、左右非対称でピッタリ合わない。

また右は私のミス。シャーシ取付ボス用支柱のズレを直そうと、

指先で少し引っ張りながらドライヤーかけたら熱による縮みでインテリアと本体が合わなくなってしまった。

COX製品の材質はスチロール系と思うが、熱にはあまり強くないようだ。

 

フロントラジエータ下部はチータラチャのチンスポイラーに範を取りながらも

大袈裟にならないよう前後左右2㎜短く作ってみた。

 

60年前からストックのハンブロールで塗るのだが、限界は感じていた。

先達っても クリア仕上がギラギラ眩しいYS氏のロータスを見たばかり。

 

<∵ クリヤ仕上

 

いつもは60年前からストックのハンブロールで塗るのだが限界を感じていた。

先達っても クリア仕上がギラギラ眩しいYS氏のロータスを見たばかりだし、

経年色ヤケした我がシャパラルを見たTK氏は「それ白じゃないよね」と。

そんな訳で、今回ブ厚いクリア層を纏わせるため久々にラッカーを使おうと考えた

(ご存じない方のため申せば、5、6年天日に晒しガチガチに硬化したハンブロールにラッカー上塗りできた事もあるが、

通常、エナメル塗料にラッカーの上塗りは剥離したり縮んだりで不可..逆にラッカーの上にエナメルは問題ない)

 

モノクロ2枚:66年日本に来たデイトナコブラ、近所で記念写真はウレしかった。

         カラー 2枚 : 十数年前ピースコンでラッカー塗装した京商はミニッツベースのコブラ、          

                                     デカール上にクリアラッカーで仕上げると高級感がある。

                                    右端はY氏のロータス、深みある光沢はクリア仕上ならでは。


< fm : ハンブロール >

 

勿論、ハンブロールにもクリアやバーニッシュはあるが、かえって経年ヤケしたような感じになってしまう。

その言葉通り、樹液から作られた表面保護剤がルーツだから、英国人は彩度落ちるのも当然と考えたのだろうか。

ガラスのような硬質な透明度を求める和製品とはスタートからして違う。

もちろん比較的透明度が高いタミヤのエナメルクリア(X20)をハンブロールの上塗りに使うことは可能。

だが、さしてツヤが出ない上に汚れや手垢がつきやすくなる。

まぁハンブロール自体、ツヤは良好で ”ハンブロールはスケール感を与える”とも言われてる。

実際、(キメが細かいのはエナメル系の特徴だが)実車塗料を流用した時のような大味な表面になることは先ずない。

多分ビックジョンは、ホビーマニア達にクリヤコートの必要性などない、と思ったのだろう。

 

と、ここまで宣伝しておきながらもエナメルにコダワリ続けるのも今日では難しい。

例のクリアギラギラへの憧ればかりではない。

外国産のハンブロールやレインボーなど、今は危険物?扱いのせいか専用シンナーさえ滅多に手に入らない。

タミヤは勿論、ぺトロールやターペンタインも試したが、ツヤが失せたり本来の再現ではなくなってしまう。

一昨年、ヨドバシカメラ(新宿や秋葉)で伊製アルキド樹脂系エナメル ”レインボー”が販売されていた。

彩色も艶も良いのだが、必要であるべき溶剤なく他メーカーのシンナーも使えず困った;

そこで、上のような説明書面を用意して店舗で取寄せられないか頼んでみたのだが..

残念ながら在庫限りでもう扱いません、とのツレナイ返事。

 

”RAINBOW” についての詳細は昨年の記事をご参照されたし ;

   スロットカー<フォードvsフェラーリ>② | vx800のブログ

 

< Brk : 豆まき~閑話休題

2/1、今年の豆まきはプロレスラー八神蘭奈さんがゲスト。

ヒールっぽいストーリーに使われがちだが、身体能力はかなりのもの。

若かりし頃の自分同様、空手の心得あるのも親近感がある。

マットでも元気、身軽でパワフルな若々しさは見ていても気持ちイイ。

右はセンターの地元小学生、目が合ったら私のトコに豆袋を投げてくれた、Thank You!

 

< Try : ラッカースプレー >

 

さて、今回使ったのは ”アクリルシリコンラッカースプレー

(シックハウス症候群要因不使用の)ノントルエン・ノンキシレンながら、タレにくく

”強靭な被膜”がうたい文句。

タミヤの缶スプレーは小さく手頃で扱い易いが、クリア仕上は注意しないと厚塗りが大変。

今回は両方をテストした上でアクリルシリコンラッカーを使った。

イージーなスプレー塗装、本体塗装後の2/8には初雪、今回如何に制作日数が掛ったことか。

       右は作業後のご褒美、2/14 隣の小学生 ミホちゃん今年の作品。

 

先ずは試し塗りでクリアの相性など確認。

  ① ② タミヤスプレーとアクリルシリコン比較、クリアを掛けるとタミヤスプレーは溶けて流れてしまう

  ③ ④ プラ板(スチロール)に塗って強度比較、キリが細かく薄め?のタミヤの方が密着は良い

             アクリルシリコンは塗り易いのだが、乾燥後のスクラッチ耐性は劣る

            (先が思いやられるが、クリア厚塗りにはこちらが良さそうと判断)

 

テスト塗りのように、”強靭な被膜”とは密着性でなく硬度や耐候性を意味するのかも知れない。

うたい文句の ”環境にやさしい” ノントルエン・ノンキシレンが却って心配になったのは、

逆にミッチャクロン(下地として定評ある)はキシレンとトルエンが主材料だから。

もしかしてミッチャクロン必要かな?と思いつつも、60年前のプラ材ゆえ傷めるリスクからミッチャクロンは塗らないことに。

 

塗装作業はイージーで鉄部に塗った時のようなムラやウキはなく薄く均一に塗れた。

実際、宣伝文句通り タレないし乾きも早く重ね塗りしやすかった

 

塗装後にゼッケンサークルのデカールを貼ったら、地が曲面ゆえにシワシワになってしまう。

だが、ドアラインにカッターを入れ分割してみたら何とか収まった。

 

COXのキット付属のデカールは、水に浸す前に保護液を塗っておいても使えない。

ヒビが入ってしまい、60年の歳月を実感した次第。

ストック探したら数年前に都内のホビー屋さんで買ったレプリカデカールが手元に、何という偶然。

それにしても、デカールを貼ったり剥がしたりしてるうち塗装面の剝げが.. 大丈夫か?

 

(左)ボンネットも三次曲面ゆえシワが出てしまう。

モデラーズのデカールや現行品はキレイだが延伸性はない。

(右)昔の、6~70年代デカールは指先で馴染ませてるうちにフィットしてくれるからGOOD。

但し、薄く隠ぺい性が低く地色を通してしまうので、2枚重ねで対応。

先日ミントホビーさんから頂いた長谷川製作所ディノのデカールがうまく使えた。感謝!

 

< Prod : クリアコート >

 

いよいよ期待のクリア塗装、念のため中一日おいて下地が十分乾燥しているのを確認。

それに先週の塗装テストで相性も確認済のハズだった。

だが、とんでもない落とし穴。

それは ―

 

(左) クリヤコートすると、変色とニジミが出てしまった

       (中) 下地色は揃えておいたのに材質の違う部分は変色ナシ

       (右) クリヤの重ね塗りで光沢は良く出ているのだが...

 

作業日、外気温が低いのでスプレー缶は丁寧にお湯で暖めてから使用。

また毛髪がチリチリと感じる位、塗装にはモッテコイの暑い?冬の日差しの中、

乾燥に時間をかけインターバル置いたが、塗り重ねていくうち、ジョジョに変色!

と云うよりプラ地の赤色が浮き出てきたようだ。

デカールの段差やスジボリ部は滲み、またフロントのチンスポイラーと色差がヒドイ。

元々白色プラ板で造った部分だが、下地の色違いによる彩色差をなくすため先に赤ラッカーを塗っておいた。

しかし、なぜかここは下地の赤色が出てこない

一方、下地塗装無しでパープルに塗った所にクリアが掛かると赤く変色。

プラの地色が吸い出されてしまう?のはCOX製プラ材質との相性だろうか?

 

(左)ニジミが出たゼッケンサークルは白ラッカー筆塗りで修正

      (中) 艶消し黒に塗る部分をピンセットでコスると塗料が剥がれる。

      (右) デカール部分も、はがれ易い。 チョーさんじゃないけどこりゃダメだぁ~。

 

そういえば、このアクリルシリコン”ラッカースプレー”一般色は(カンペにしてもアサヒにしても)

分類上、合成樹脂エナメル塗料で クリヤ及び艶消しクリヤは合成樹脂クリヤ―塗料の表記。

エナメルとは言ってもラッカーとして販売、勿論タミヤエナメルのように冒されてしまうこともない。

だが、下地への攻撃性や密着度はカラー色付よりクリヤの方が高い。

つまり、クリヤは本来表面保護に使うものなのに、下地への浸透密着等の適性は;

クリヤ塗料 > カラー塗料なのが実態ではないだろうか。

 

(左) いさぎよくシリコンラッカーを諦め、剥がすことを決心

      (中)  剥がし始めると思いのほかスピーディにできた

      (右) 地肌を傷めてしまったのは残念だが、再度ペーパー掛けでカンベンね。

 

昔、住友3Mの部長からレーシングカー用にカラーリングフィルムを供給してると聞いた事を思い出した。

塗装より軽くできるそうだが、曲面へのフィッティングは大変だったろう。

こうして剥がしてみると、薄皮は表が赤っぽく裏がパープルだった。

まさか化学反応でクリヤ塗料に触れたパープル表面が赤色化したとは考えずらい。

つまり中間層であるカラー塗装面を通り越し、プラ地の赤色を吸い出してしまったことで?

表が赤、裏がパープルと逆転したのではないだろうか?

 

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(閑話休題)

以前の記事で、ハンブロールは、ラッカー系サーフェイサーへのノリは良くないとした。

だが、サーフェイサーなどなくてもハンブロールの密着性は十分良好なのだ。

発色もプラの地色が補色(つまり色相が逆)の時はダメだが、遠くなければあまり影響がない。

いずれにしても、以前キングコブラを塗ったハンブロールNo.14採用決定。

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ボディキットにドライバー人形は入っていない。

勿論、レースに出すからにはドライバーが必要。

今も昔も変わらないスロットカーのルールだ。

インテリアは、キットのものをそのまま使う事にした。

メッキ仕上のメーター類を別パーツで付けるトコロがCOXらしい。

人形のヘルメットヘッドは、以前YS氏に頂いたレジン製。

上半身は牛圧側を切り抜いて作ってみた。

 

ハンブロールでのボディ本体塗装は難なくできた。

一度塗りだが、ツヤも良く自分として不満はない。

勿論、薄塗乾燥後ペーパーをかけて二度塗りすればもっとムラないかも知れない。

だが、ハンブロールは乾燥に時間がかかるので表面に埃がつき凸凹が出やすくなる。

つまりペーパーで落としてもキリがない。

また、ペーパーやコンパウンドを掛けるとせっかくのハンブロール独特のきめ細かな肌が損なわれる。

そんな事もあって、ハンブロールは一発塗り。

昔、ミントホビーさんと話した時も一致した見解だった。

 

ゼッケンサークルとNo.手描き、指先トレーニングに良い。

右は、調子にのってボディキットのブリスターパックに入れてみたトコロ。

RTR(メーカー完成車)みたいで、一人悦に入る時間..

 

年越しから豆まきも終わり、

悪夢のシリコンラッカー塗装チャレンジ、

8日には都心でも初雪、

14日は隣のミホちゃんから小さなビスケ。

そう、チータと共に過ごした幸せな長い時間だった。