例年、割烹店から振舞い後の一斗樽をもらっていたのだが、

     ⇒ 天使と樽酒と、その前に

今年はフラれてしまった。

だが、マダマダ木樽の香りも恋しい季節..。

なんて思っていたら、新井薬師は行きつけの店 ”てんぱち”さんで

店内のポスターに樽酒の文言が..

 

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”酒蔵まつり”当日に瓶詰めした純米樽酒即売あると知り、行くこととなった。

”てんぱち”は、勿論ビールやイチローズモルト等も置いてるがメインは秩父錦

 

いつも自分は、甕口(かめぐちしゅ)を最初、或いは〆にいただく。

アルコール20度と強めだが、その 香(かぐわ)しさ美味しさと云ったらない。

一方、料理の方は大将おすすめのコースを頼むことにしている。

単品で頼むことも可能だが、コース料理はリーズナブルでお得感もある。

豊かな味わいの程よい量だが、もちろん 天ぷら盛合せが付く。

また、それに合わせる酒をどうするか考える時間も楽しい。

 

そして自分の好みは ;

もし当日の仕入れあれば追加注文したいのは、おろしワサビたっぷりの穴子。

合わせるのは、ふくよかな濁り系の酒、または逆に、さっぱりした本醸造辛口。

酒がご飯の代わりなどと言い訳しなくても、どちらも天ぷらによく合う。

ふんわりした穴子の風味を引き立てワサビさえ甘くさせる。

(私見乍ら、個性的美酒の甕口酒にはゆったりしたインターバルが必要

火加減絶妙な天ぷらの味わいだけでなく大将のお人柄に惹かれる客も多く、

取り揃えられた酒のバリエーションは、正に秩父錦マスター(^^)。

 

↑ 近くの新井薬師は目のお守りなどが置いてある。

   私の ”てんぱち” コレクション4本うち3つはワンカップ秩父錦。

   チルド保存中だが、44周年と45周年のはそろそろ吞まないといけない。

   奥は焼酎ゆえ保存に問題ないが、口当たり良い44度の米焼酎はデンジャラス?

 

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さて、”酒蔵まつり”当日は早起きし2時間半かけ秩父まで電車の旅.. 

矢尾本店は創業古く(1749年)酒類鑑評会で連続金賞も獲られている由緒ある酒蔵。

てんぱちで慣れ親しんでいるが、訪問したことなかったので楽しみだ。

 

重厚な造りの建物の中の売店は清潔感溢れる空間、開店直後はすいてて良い。

 

本数が限られているので、

先ずは樽酒を2本ゲット

次に 隣のカウンターでやっていた、酒粕ひと袋詰め放題@200にもチャレンジ。

 

(左) 売店内には創業当時のものだろうか、古めかしい金庫がディスプレイされていた。

(中) 秩父と云えばSL機関車、マニアにはうれしいグッズやTシャツも販売されている。

(右)館内のすみっこに梅酒に使われた後の梅の実がワンサカ入った桶を見つけ、

誰もいなかったので、ガラス越しに店の方に聞いたらサービスで袋詰めOKとのこと、

早速、ビニール袋を裏返して梅を傷つけないよう取らせて頂いた。

酒粕詰め放題@200も十分安いが、こちらの梅は無料。タダより安いものはない!

と、顔が緩みっぱなしの(^O^)私の姿を見られてしまった?

そのあと和装洋装の貴婦人方で人だかりになってしまった。

口々に、 ”スッパ過ぎなくていいわぁ~”、”美味しいのよね、コレ” 等と。

多分、梅は女性に好まれる味なのだろう。

 

外の広場では大試飲会が、

ポスターの通り、千円のチケットは10枚綴り。

お猪口を頂き、最初は番号順に味わった。

は ”大吟醸 袋しぼり”  精米歩合はゼイタクな40%、日本酒度±0、度数は高めの17.5

さすがに山田錦、味わい良くスッキリしていて吞みやすい。

は ”純米吟醸 キグヌス”  精米歩合55%、日本酒度+3.6、度数は14.5

キレと香りの良さがウリなのだが、その香りは特に変わったものではない。

自分にとっては日本酒らしい香り、吟醸香軽く食中酒に良さそうだと思った。

 

(左) 精米所脇に積まれた原料米、新潟産、秋田産、兵庫産、岡山産ばかりか埼玉産も

(中) 当日3回(約40分)予定された酒蔵見学もさせて頂いた。

       説明してくれたのは、矢尾常務取締役。

      米を磨いた外側は 赤糠(ぬか)、中糠、白糠とその精米歩合で分け副産物として米油や飼料、せんべいや焼酎にも利用されると教えて説明頂き、私の後方で大吟醸も罪悪感なく飲めるとの声も。

(右) 参加者は若い女性も多く(昨今の少子化は残念だが)日本酒の未来は明るいかも知れない。

家族連れでいらした ”てんぱち” 大将にも会えた。

さすがに顔利き、先代の館長方々に紹介してくれ、見学会で説明されていた矢尾さんからは御名刺を賜った。

(試飲で少々舞い上がったせいにしたいが)自分は、取締役を相手に ”やっぱり蒸米ですよね” などと戯言をヌカしてしまった。

OFF THE RECORD: 

(だが正直申して、米を砕き早く作れるがゆえにスッキリ、が謳い文句の融米はホントに嫌だ!

大昔、松竹BYを飲んで胃が痛くなったトラウマかも知れないが、本来の日本酒と味が違う)

 

酒母室のある建物の前で女性社員が配っているのは帽子、足元も殺菌してから入場。

考えてみれば、酵母だけで発酵させたビールやワインと違い日本酒は麹と酵母の共同作業の賜物、

今風に言えば、麹と酵母のマリアージュか?

(味噌やショーユに鑑みるまでもなく麹は原料を分解してもアルコールは作らずうまみ成分をつくる)

自分は大昔、ワイン酵母で造った日本酒らしきモノや、玄米酒等にしばらく凝っていた事もあった。

かれこれ50年近く前、自宅から歩いて行ける事もあって通ったのはロアビル向かいの居酒屋。

(そのビル名を忘れたが、目立つ六本木ロアビルも間もなく解体?)店をスポンサードしていた大手メーカーが米国カリフォニア玄米で造ったものだったと覚えている。

 

当時、日本酒と云えば 冷や(=常温)か燗酒が当たり前で、ビジネス相手への土産やクレーム対応に一升瓶2本を縄でキリッとしばり持参する..そんな風潮もあった頃だ。

”ロック” もウィスキー専属で、日本酒を(飲みやすくするため)氷で割ろうとすると、GFからは止めてくれなんて云われたものだが、”玄米酒”は良く冷やしてあり度数も低めでノド越しも良く気に入って、ヘタなワインより美味しいと思っていた。

  My Funny Weekend | vx800

唯、(品質管理が出来ていなかったのか?)時折不味く感じるような不安定さゆえか、CM不足か?ポピュラーにならなかった。

(その後、口当たりの良い越乃寒梅などの地酒ブームや白鶴生貯あたりから冷酒も普通になった)

 

今思えば懐かしい限りだが、日本人として日本古来の酒を”美酒”と楽しめる現在は幸せだ。

まぁいずれにしても、米と水、酵母と麹の相性が悪ければ 旨くならないから、日本酒は奥が深い。

そういえば、見学会で常務さん仰しゃるには山田錦を超える好適米はないと..御意。

 

(左) 米麹菌を見せて頂いた。     (中左) 仕込室、もちろん外から見るだけの聖域

(中右) 杉玉か吊るされた酒母室脇スペースに腰を下ろし又々試飲タイム。

     杉玉は酒造のシンボルだが自然材料のデイタイマーでもある。

は ”純米大吟醸 矢尾”  岡山県産赤磐雄町を使い精米歩合50%、日本酒度-22.8、度数15.1

無濾過生原酒で 赤字書きの通り、今回最終販売の限定流通品。

説明では、矢尾は秩父錦の別ブランドで年に一度の販売、甘さ全開! とのことだが、

なぜか?私には”甘さ”をさほど感じなかった。

率直にいえば、酸味や麹香が優しく米のベタベタ感はあっても、スウィートには思えなかった。

それは、多分⊖22度のスペックから 甘さを想像する藤四郎の自分が悪いのだろう。

最近、大関をはじめとして甘口を売りにした日本酒が出ているが、それは確かに砂糖やハニーの類い。

本来の日本酒度マイナスとして云うところの ”甘さ” とは違うはずだ。

辛口が、塩味でもピリ辛でもないのと同じことだろう。

個人的偏見かも知れないが、昔の一升瓶の辛口日本酒は独特のドライなクセが感じられた。

その強さを”日本酒度”とするなら、この”矢尾”はクセがなく確かに⊖度数の甘口なのだろう。

円やかな口当たりに甘い香りで(=前述のように酸味だけでなく麹香も優しい)スッキリ飲める。

 

(左)資料館の端っこにあった纏(まとい)、火消しは秩父でも組織化されていたのだ。

戦争を境に祖父で最後になった江戸火消し「め組」が我がルーツゆえ、何とも言えない気持になる。

隠居後の祖父には有名な歌舞伎役者が纏の扱いを教わりにきていたのだが、礼を尽くす者は多くなく、

祖母はよく”役者風情が ”と嘲るように言っていたのを覚えている。

そんな厳しい祖父が、幼い頃の私を公園まで散歩に連れて行ってくれる時は、

(必ずと言っていいほど)帰路は桝酒を一杯飲みに酒屋に寄るのが常だった。

お祭りが好きだった祖父が、もしこんな酒蔵まつりに来れたら何と言っただろう.. 

 

(中)2F資料館に再現された酒の仕込み作業風景

は ”辛口純米 Tradition”  山田錦を使い精米歩合60%、日本酒度+11.4、度数は16.2

純米、即ち醸造アルコールに頼らない酒が飲みたくて自分たちで醸したそうで、

酵母も聞き覚えのあるK601。

こう云っては失礼かも知れないが、まるで杜氏が趣味で造ったマカナイ?みたいな酒。

⊕11の日本酒度も歴代最高とのこと。

スペックから察すれば、昔ながらの呑み方、燗酒が向いているのは間違いない。

自分が大辛口に偏見あるとすれば、以前呑んだ他社の大辛口⊕13度  ”こなき爺”ラベルを思い出すから。

それとは比ぶべくもないかも知れないが、こちらは変な臭みもない。

ヒヤ(当日は多分、みな室温チョイ下の10度くらいだったろう)でも悪くないから、

(概して甘口好きの女性蔑視をするつもりはないが) 多分、誰も違和感は感じないだろう。

 

ところで、自分が今日のベストと思ったのはフォト撮り損ねたの”大吟醸 無垢”。

酒の味のうんちくなんて、その日その時次第なのかも知れない。

そうは言っても、気になって仕方ないので自宅に帰ってから事務所に☎聞いた。

電話口で最初、番号で言われても..? との事だったが、

その "は 大吟醸袋しぼりに似ていると思います”と伝えたら詳細判明。

その教えて頂いた の製品名は ”無垢” で、精米歩合は40% ..

アレっつ? と同じ40%まで削られたのかと思いきや、実は①④は 同じシリーズ。

は R5年度に仕込み昨年から販売しているとの由。

 

はテーブルの説明書きに ”大吟醸 袋しぼり” と書かれていたが、

実は品名は④と同じ ”無垢” だったのだ。

唯、の方は、まだ出来たばかりで販売前とのこと。

の”無垢”も、現在 ”酒づくりの森”で販売しているとはいえ市場にはない。

ああ、また秩父まで行くか てんぱちさんにお願いするしかない..。

 

帰路まだ日も高いが、西武秩父駅売店は人で賑わっていた。

2004年頃、自分は秩父の山梨寄りにある滝沢ダムに仕事で何度か来ていた。

その頃は派手な飾りも混むこともなかったが、今やお祭り会場みたい。

 

当時、仕事帰りによく駅売店でワンカップを買ったことを思い出した。

秩父錦は勿論、秩父地酒の双璧とも言える ”武甲正宗”もよく買って

それを帰任のレッドアロー号で飲むのが好きだった。

(繊細なバリエーションの秩父錦や升屋利兵衛、男性的な味わいの正宗は良いコントラストだった記憶がある

 

華やかな駅売店街を見て、時代も酒も変わっていくんだな..と感傷的になるのは

当時のローカル色豊かな感じが失せていることもある。

それにボンボリや提灯を沢山飾ったからと云って、昨今の物価高の中で高額な土産品が人を明るい気分にさせる訳がない。

だが逆説的に、秩父錦”酒づくりの森” が 如何に良心的なのかを知った。

それは- ”酒づくりの森”売店には酒に限らず土産物が置かれてるが、

明らかに駅売店より低価格設定だと、この目で見て分かったからだ。

 

何より 今回の”酒蔵開放まつり”は (日本)酒呑みにとってはパラダイス。

これからも 矢尾本店 ”秩父錦”が世に評価されることを願ってやまない。