60年代当時のモノグラム製ボディは色艶が素晴らしく良い。

他社製品と一線を画す質感は現物を見れば誰でも分かる、と思う。

⇒ スロットカー制作<USRRC フェラーリ275P>  (ameblo.jp)

モノグラムはボディだけでなくシャーシも精度よく、走らせても一級品。

↑ 最近、オークションで手に入れた(左)モノグラム製と(右)レベル製のキットカー。

モーター位置の違いがお分かりになるだろうか。同じ日本のFT36なのだが、長いホイルベースによるテールヘビーを改善すべく、当時モノグラムが東京科学≒マブチに特注したロングシャフトのモーターが附属している。

COXやモノグラムは国産の3倍プライスで当時のBOYSには敷居が高かったが、レベルは同じ米国産ながら日本国内でモーターをセット(₌グンゼ社CD扱い)、コスト低減と量販によってか国産に毛の生えた程度の親しみある価格、アルミ製でシンプルながら軽量堅牢、そのシャーシは60年代当時のオール関東選手権等でもよく使われていた。

一方、モノグラムやCOXのボディの精緻さは言うまでもないが、シャーシの方はCOXのマグ合金ダイキャストは改造改良が困難だが、モノグラムは真鍮製ゆえ補強したり電関モーターを載せたり改造マニアには人気があった。

TG(&TA),IFの週末 | Duesenberg (ameblo.jp)

そう、モノグラムのフレームはブラスで出来てるのでイジリやりやすいので、リプロフレームを少々工夫工作して同じモノグラムのボディ、スカラブに載せる事にした。

今回、そのインスピレーションは当時のCOXやミドリのキットカーに範を取った。

COXと言えばSW(サイドワインダー)が有名だが、インラインシャーシはモーター前部を下方に振った、云わばバーチカル?ホライゾンタル?的アングルマウントとなっている。

下はミドリのキットカー。

今でも都電が近くを走り下町風情残る町屋だが、そんな一画に60年代創生期のプラモで知られスロットカーも中々頑張っていた緑商会の工場があった。

パッケージデザインはCOXの真似て、否インスピレーションを受けたのだろうが、モーター前部を下に振ったレイアウトも同じ。

ミドリと同じくスロットカーの初期から(キットカーは製造しなかったが)パーツを出していた青柳金属工業=AYKのパイプシャーシとも似通っていた。

AYKのシャーシは軽くていいのだが、マウント帯金の制約でモーターは一種類専用、ホイルベース(ハンダ付を外さない限り)固定、またフロントアクスル → モーターマウント → リヤアクスルまで一直線で剛性は確保していたが重心は低くはなかった。

当時、ミドリ製品は(AYKにOEM依頼やパーツ供給されてたかと思ったが)複数の帯金を用意してモーターマウント交換で好みのモーターを使えるように工夫されていて、フレーム中間を下方にして低重心、さらには二種類のパイプを組合せホイルベース可変としていた。

そして前述のように、そしてインラインのモーターマウント前側をCOX同様に下に落としている。

(大きい36/36Dモーターは水平にマウントしているが、16用マウントは角度が付いている。)

さて、そのアングルマウントの角度設定をどうするか

モノグラムのコーチワークは前方マウントが固定後方は帯金をネジで固定するもの。

即ち 帯金の下を持上げ、リヤアクスルを上方にオフセットさせれば同じタイヤサイズでも重心が下げられる。

モーター前軸から後軸まで約33ミリ、そこからリヤアクスルまで約17ミリ。

シム0.8㎜ならば、(0.8:33)*(33+17)=1.2㎜ リヤアクスルを持上げればよい事になる。

当時の、例えば26㎜サイズのリヤタイヤを使うならもっと角度を付けたいところだが、今回のビンテージはタイヤサイズの足枷がないから大径タイヤに拘る必要はない。

勿論、角度など付けずともタイヤを小さくすれば水平マウントのままで低重心にはなる。

例えば、マブチFT16であれば天地寸法は16㎜なのでタイヤ径20㎜ならロードクリアランス2㎜になる

今回制作するスカラブは小柄でボディ巾64㎜トレッド60㎜、

 

つまり、当時の1/32クラスの大きさゆえタイヤを20㎜としても良いのかも知れないが、一応フルサイズ1/24の60年代のご立派ボディ。自分のわずかな美意識?は、デフォルメよりアングルマウントで少しだけタイヤサイズを上げようと考えたのだ。

 

今回の話からソレルが、大径タイヤでも ハイポイドギヤを使えばマウント位置は下げられる。

だが海外オークションでも滅多に出てこないし、ギヤ歯数もシャフト径もインチサイズに限られる。

ハイポイドギヤクラウンギヤの歯がナナメに切られてる

 

前口上が長くなったが、今回のシャーシ制作に自分は0.8㎜のシムを使ってみた。

勿論サイズが合えばワッシャーを使ってもいいし厚み設定を変えても良い。

COXやミドリ以外のビンテージスロットで車高とタイヤ径の二律背反を感じているなら、試す価値はあると思う。

さて、ボディの方はラジエターのエア抜きを工作してみた。

実車にあるし、フロントのリフト防止効果を小さなスロットカーにも期待したい。

ゼッケンNo.は、いつも通り指先のボケ防止に手描きで..

何とか、それらしく描けた!

ボンネット上は 実際のレースシーンでA.J.フォイトにスカラブを走らせていた”メコムレーシング”の デカール。(元AYKのYM氏に頂いたもの、ありがとうございます!)

↓こちらは昨年制作したRP66用、ゼッケン77は同じく手描きだが、我々の日本語的表現で言うトコロの非楷書的なデザイン文字・数字は誤魔化しがキクので書いててストレスないが..

↓更にこれは20年位前の制作でボディは未塗装プラ地だが、この色艶はいかにもビンテージ。

ゼッケンは同様フリーハンドだが、デカールを手本にしたからか?昔の方がシャープに描けていたかも知れない。

唯、Die-Cast的、楷書的な書体の手描きはストレスフル、ヘタすると肩が凝るが、上の”77”みたいに自由な自己責任がない?分だけ、その作業は変な(手本マネしてラシク描けてりゃイイ、みたいな)安心感もある。

 

PS.

スカラブを参加させるUSRRCシリーズは特にシャフトの規定が無いので、今回は当時モノのセラミックシャフトを使ってみた。

重量的にはスチールの70%程度なので、中空パイプ(40%)やカーボン(25%)程軽くはならないが..。

 Ref. カーボン:パワーに負けしなってタイヤが暴れるし、メタルの接触部や縦ネジで止めた所はグズグズになる。

     中空パイプ:止めた所がへこんだり、力積によるものか真円精度が狂いやすい。

セラミックは、何よりもカタイのでそうしたデメリットはないが、その代わり、クラッシュするとポッキリとイク!

当時の白金レースウェイのバンクやヘアピンで飛び出してしまったら、ヒトコケ400円(ボディ)どころか、その3倍を覚悟しなければならなかった。

また、変形しないがゆえにネジが緩み易い。

ご存じの方は多いと思うが、ネジ止めは締め廻されて掛かったトルクを、シャフト表面やネジタップ部の目に見えないような金属の変形とシナリで吸収して動かなくなっているが、セラミックはカタすぎるコト石頭の如く。

フツーの感覚で六角レンチを廻しただけでは直ぐに緩んでしまうからトルク管理はシビアだ。

まぁ、同じ当時モノでもタミヤブラックシャフトと対をなすキレイな純白シャフトは、そのアピアランスだけでも十分。