未だ寒さを感じる3月10日、今年もMINT GP開催。

サーキットの最寄駅は”南町田グランベリーパーク”、中央林間の二つ手前で2019年に南町田から改名された東急線の駅。

今では―神奈川の駅?はどこもこんな感じだがー改札を出たところからショッピングパーク直結、新しい事もあって人で賑わっている。そう、神奈川?と勘違いしそうだが、ここは東京最南端の鉄道駅なのだ。

今回参加のYS氏に聞いた話だが、”レーシングパラダイス” 以外にも昔は駅近くに ”デイトナ”と言うサーキットがあったとの事。

 

さて、MINT GPは ディノ166ワンメイクタミヤレプリフォーミュラの3クラス3レースで構成されている。

スロットカー自体先細り感は仕方ないが、神戸のミントホビー供給パーツ+バンプロパーツで全て事足りるし、時折ミントさんが賞品提供してくれたり、バリエーショナブル(そんな英語あったかな..^^;)3クラスもやるので60年代ビンテージスロット好きには どれかひとつのクラスだけでも楽しめるものだ。

新横浜バンプロ時代の昨年、狭いブランズハッチコースを使った時はコントローラーの操作が忙しかったが、広いオーバルインフィールドでも終盤に皆のペースが上がってくるとシビアになるのは同じ事だ。

今年のミントGP幕開けは、ハセガワ製ボディの ディノ166P レースから。

過去、私は既にボディを2台ツブしたのでラストのTカーで5台目になる。今でも60年代当時のボディが 神戸ミントホビーから供給されているから続けているのだが。

今回はフロントアクスルのガタなどレギュラーカーのセッティングを変えて持込んだ。

前にTカーの方でファステストラップをマークしたからだが、レギュラーカーがレーンアウトを繰り返すので、またTカーを引っぱり出した。

なぜかTカーの方が走らせやすく慣熟走行を始めてすぐ11.8秒をマーク。Tカーとの違いはファイナルが2t違う(減速比が大きい)ゆえの加減速のメリハリやコントローラ抵抗値がコンディションにあっているのかも知れない。

だが、違うレーンに代えて暫らくレギュラーカーで攻めたていたらタイムも僅かに上回れストレートで速さを感じたので、レースではこちらを使う事にした。

唯、そのスピードが伸びたストレートエンドでジャンプOUTしてしまい、フリー走行終了間際にボディマウントを壊してしまった。

私のディノはハセガワ用(リヤ側)2本のマウントをタミヤシャーシ用1本穴に合わせるため"クリスタルマウント"(自称何となく..自作のアクリル板)でオフセットさせている。

運よく丁度、同サイズのネジがあったのでスタート前までに直せたが、1本の所は金属製のネジの方がコンベンショナルだと認識させられた次第。

実車以上にスロットカーでは損傷や修理は必須作業。

 

ミントのレースには関係ない話だが、先月のUSRRCレースで落っことしたラジエターが無事戻ってきた!

KD様:拾って頂きありがとうございました。

 

さてレース本番、我ながらリスキーな走りで最速のKD氏と何度か競り合ったが及ばず、1ラップダウンで2位。コンスタントに走ったUS氏も私と同じ1ラップダウンで3位。

尚、中盤オーバーヒート?で途中でピットインーヒートリタイヤされたTG氏は、US氏のクールなケアで復帰後は調子を上げ最終ヒートは3位。PU要換装どころか、ストレートでグンッと伸び出しトップグループ相手に遜色ない..ナラシが出来た?のだろうか。

 

リザルト ;

1位: 60ラップ / Britsh Green/KD氏

2位: 59ラップ / Swiss Blue/KM

3位: 59ラップ / White& BlueStripe(NART)/US氏

ファステストラップ : 11.239sec /KD氏

 

第二レース <タミヤA型レプリ

スロットカーとしてのバランス良好ながらも負荷が高くモーターが高熱になる16Dのディノに比べると、殆ど熱を持たない36/36Dのタミヤクラスは走らせるのもイージーだ。

同じタイムで走っても感覚的に疲れないのはトルキーなPUによるところもある。それならハイギヤードにセットすればもっとトップスピードも上がりそうに思えるかもしれないが、単純ではない。

昔、環八リンドバーグの地下のビンテージ会にお伺いした時、ミントホビーのJN氏にスペアのストックカーをお借りして走ったのだが、JN氏は「なぜか力は感じるのに回転が上がらない、なのにハイギヤでもスピードが出ない」と言っておられたのを思い出した。モーターが熱を持たない∝逆起電力に余裕がありながら、モーター本来の設計電圧より下げてセットしているビンテージでは回転が期待通りには伸びないからだろう。

つまり供給電圧に余裕があれば未々スピードも上げられるだろうが(直流モーターの起動トルクが高い言っても)元々ハイギヤにする事は出力自体を下げている*事なので、当日の電圧に合っていなければスローでしか廻らないのは仕方ないこと。

..とまぁ前置きが長くなってしまったが、今回良く廻ったのはロータス勢で、中でもPU新装されたYS氏は調子よく、第1ヒートで前回の覇者KD氏を下し殆どのヒートを制してトータルも優勝。

2位は前回優勝のKD氏、3位はUS氏で皆トータル同ラップでロータス勢が1-2-3となった。

ラップ遅れのローラ勢はTG氏も私もなぜかバンク入口で再三コースアウト。実車でも”直線番長”なんて言われたローラ、スロットカーでも軽量ブラックアルミシャーシは決して遅い訳ではないのだが後塵を拝してしまった。

 

リザルト ;

1位: 60ラップ / Lotus40/YS氏

2位: 60ラップ / Lotus40/KD氏

3位: 60ラップ / Lotus40/US氏

ファステストラップ : 10.618sec /KD氏

べストラップ(Most Lap/One Heat) 16周/KD氏

 

*実車とスロットカーの一番の違いはガイドシューの存在だが、PUも変速機なしの直流モーターである事も忘れてはならない。

例えば 10:34(ピニオン10t/ファイナル34t)のカーを10:32にセット換えれば、仮にスケール換算でトップスピード294キロ出ていたのが、同じ回転まで引っ張れれば313キロまで伸びることになる。

しかし駆動力は下がるから、300オーバーどころかレシオ変更前の294キロに到達する以前に直線が終わってしまっては、ただ加速が悪くなっただけになってしまう。高速になるほど走行抵抗が増えるのは実車と同じでも高回転になるほどトルクが落ちるPUのパワーバンド感が全く違うのだ。

逆に32tを34tにすれば駆動力は6.3%も上がるので加減速がクイックになる。60年代後半、極端なローギヤリングでレースを席巻したムサシノ勢は(今更ながらだが)単独でのべストラップよりややタイムが落ちるくらいのギヤ比を実戦的に好んでいた。

 

フィナーレ <フォーミュラ

本日のファイナルレースは最も低パワーながら最軽量カテゴリー。

車種はF1とインディの混走、と言えば70年代の昔の富士スピードウェイのエキジビジョンを思い出すが、こちらは1.5リッター時代の60年代、つまりのフェラーリのシャークノーズや、高価よだれモノキットのミドリ製ホンダF1なんかがスリリングに走る。

その走りも正にフォーミュラ、トルクフルで安定感あり少々ラフな操作しても車体任せで疲れないタミヤクラスとキャラクターは全く違う。

軽い車体に現行スポンジタイヤ(ブラックマジック)を使っているので、操作に対しリニアでクイックな反応を示すもので、例えばタミヤクラスだと全開からパワーオフにしても惰性でスーっと走ってしまうが、軽いフォーミュラだとグンッとスピードが落ちる。

私は3Ω程度の可変抵抗をマウントした初期のAYKコントローラーをタミヤクラスに使っているが、こちらには別の8Ωコントローラーを使っている、と言えば操縦性もご想像いただけるだろうか。

 

車種は軽いニチモのポルシェとラスキットのクーパーを用意した。ズ抜けている訳ではないがポルシェはホームコースから営業サーキットまで卒なく走り前々回11秒台の自己ベストを更新できた。

一方のラスキット製クーパー、そのスパイダーシャーシは、いきなり吹っ飛ぶポルシェと違ってコーナーの感触が良いのだが、以前は殆どテールエンダーだった。

大概の直流モーターは好適回転方向がある(電関モーターはあまりない)が、自分はインラインギヤの取付を逆、つまりバックドライブで走っていたので、シビアなレースでテールエンダーでも仕方なかったのだ。

昨年、その左右違いを直してからはクーパーに載せたドライバー人形 クリス₌エイモンのような成績。

2位3位と調子はよくなったが、どうしても表彰台センターには立てなかった。

MINT GP2023  (ameblo.jp)

レース後、つまり結果で分かることなのだが今回は3コースが調子よく、私はその3コーススタートで最初のヒートをトップゴール。唯、直ぐ後ろをフェラーリ(ミドリシャーシ/ニチモボディ)のKD氏に突っつかれぱなしだった。

ヒート2でもホールショットを決めたのだが、案の定、中盤でフェラーリにかわされてしまった。

が、あきらめずについていったらブラインドコーナー入口で引いてくれた。この貴重な差を守るべく車体の挙動に神経を集中し、ヒート1に続けてトップでゴールできた。

自分がコースマーシャルとなったヒート3、KD氏がドライブするフェラーリを眺めていて驚異的脅威だったのは、ずっと10秒台で周回されていたことだ。それも、コンディション良いレーン3とはいえべストラップ16周をマーク、自分には高すぎる目標、最後まで大きなプレッシャーとなった。

マーシャルから復帰した後も、クーパーにムチを入れフェラーリと競り合い、今回のファステストラップをマーク。

フェラーリはコースアウトで3位に後退、自分のクーパーは1位でゴールラインを切ったが16周には及ばず15周。

 

普通、ヒートレースだと最終ヒートを迎える時には凡その成績が想像できるのだが、今回は全く気が抜けない。

着順ではトップゴールをしているが、ライバルのフェラーリもYS氏のホンダF1も全くの同周回数

ゆえにもしレーンアウトで周遅れにでもなれば3位陥落、それにもし前回優勝のUS氏フェラーリにワンラップ周回数で上回われたら更に順位を下げることになる。

そんなプレッシャーの中で最終ヒートはスタート、ずっとトップグループを争って走るが、突然目の前にレーンアウトしたTG氏のロータスが飛んできた。

前回も優勝目前の最終ヒートでTOM氏のロータスと接触しリタイヤしたので、一瞬悪夢が頭をよぎるが、運よくタイヤがスクリーンにキスタッチしただけで済み、トップに復帰。

その後、前回優勝のUS氏のフェラーリに追いまくられ、ワンミスで並ばれるような距離までジリジリ差を詰められた。

いつもシュアーな走りの上にここ一番でのスピードは敵わないので、これ以上マージンを失くさないよう反射的に深く突っ込むように、かつ確実に走った。

前のレースでバンク入口でコースアウトをしたので、スロットルレバーを戻すのでなくタイミングブレーキを使った。

全開のストレートから一瞬ブレーキを使うと駆動系の”ジャッ”と言う音をたて、車体のストレスを感じながら、なんとかUS氏との差をキープし、最終ヒートもトップゴール。

我ながらレース運びとしては完璧だろう..何せ、表彰台の皆トータル同ラップ。 べストラップでは私より1周多く廻っていたライバルのフェラーリは一度スピンでワンラップダウンとなり帳消し..ハイレベルの厳しいレースだった。

 

60年代に最年少でF1デビューしたC.A.エイモン。タイトル戦で多くのリーダーラップを奪いながら一度も優勝できなかった。

スロットマニア如きの戯言ながら、このミントGP初勝利は、あの世の彼に捧げよう。

アーサーおじさん、きっと苦笑いしながら得意のパワー握手をギュッとしてくれるだろうか。

 

1位: 60ラップ / COOPER/KM

2位: 60ラップ / FERRARI/KD氏

3位: 60ラップ / HONDA/YS氏

ファステストラップ : 10.906sec /KM

べストラップ(Most Lap/One Heat) 16周/KD氏

 

レース終了後のウィニングサークル。

左からタミヤクラス優勝YS氏、F1優勝の私、ディノクラス優勝KD氏。

オーガナイザーUS様、お気遣いありがとうございました。