今の生活の中のささやかな楽しみとして、「ドカベン」シリーズの最終章・ドリームトーナメント編を読む、ということがあります。
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この「ドリームトーナメント編」の展開からは、かなり水島新司先生の本気度が伺えます。
水島先生がこれまでにこの世に送り出した野球漫画の作品数は実に20以上あり、しかも40巻以上にまたがる長編も多く、古今東西これほど沢山の野球漫画を描いた漫画家はいないと思います。
しかしながら、多くの人の記憶に残る名場面を多数描いてきた一方で、時にはマンネリな流れになってしまう時もありました。
前作・ドカベン スーパースターズ編も、最初の方こそ面白かったのですが、最後の方はちょっとマンネリになってしまい、最終巻に至っては、一気に2シーズンくらい1冊の中で展開してしまっており、内容がかなり薄くなってしまっていました。
もっとも、それは多分、早く「ドリームトーナメント編」を始めた方が読者にとっても楽しく、描く本人にとっても気合が入ると判断して、最低限の内容でスーパースターズ編を閉めることにされたのではないかと思います。
現在、この漫画の中で描かれているのはトーナメントの一回戦、東京スーパースターズ vs 新潟ドルフィンズ(新球団)の試合です。
ただ、正直なところ最初はこの試合も期待外れだと思っていました。
というのも、今のドカベンシリーズの面白さは、高校野球編時代に活躍していた選手たちが今どのように活躍しているかを見られるところだと思っています。
今時の野球漫画(例えば三田紀房先生の「甲子園へ行こう!」等)のプレーのシーンや戦略の描写は本当によく描かかれており、正直に言えば、そういう野球漫画の本質的な部分ではもはやドカベンシリーズは太刀打ちできないと思います。
しかしながら、我々ドカベン世代の読者にとっては、高校野球編で活躍していたキャラクターたちが自分たちの中で生き続けているため、そのキャラクターたちが登場するだけで、既に価値があるのだと思います。少なくとも自分はそうです。
したがって、我々の興味・期待は、以前高校野球時代に活躍していたキャラクターたちが新球団・新潟ドルフィンズに参加し、懐かしいキャラクター達が一回戦でぶつかり合うことだったはずでした。
ところがトーナメントの一回戦で初登場した新球団・新潟ドルフィンズの選手は、ほとんどが新規キャラクターでした。
一応、4番キャッチャーのKジローと、セカンドの甚久寿、サードの浪花、センターのジャンボあたりは水島新司先生のこれまでの作品のキャラクターではありましたが、甚久寿以外はあまり知らなかった選手でしたし、なんといっても先発投手の越後選手が新規キャラクターということで、しかも大した球を投げるわけでもなく、自分の感覚ではちょっと期待はずれなスタートだったのでした。
しかしその後、いったいどこに隠れていたのかと思ってしまうような展開で、続々と懐かしいキャラクター達が登場しています。
4巻で「野球狂の詩」の国立玉一郎選手が出てきたときには興奮しました。
5巻ではドカベンの中学時代のキャラクターである鷹丘中学の長嶋選手まで登場し、大変驚きました。
試合の流れもどっちに転ぶかわからない展開が続いており、目の離せない状況となっています。
この後、どんな選手が登場するのか楽しみなところです。
特にドルフィンズの、延長で投げる投手が誰なのか気になります。
おそらく最後の最後は岩田鉄五郎監督自ら投げるのだと思いますが、それまで繋ぐ投手がネタ切れ状態ですので、まだ登場していない投手が出てくるのではないかと期待しています。(ただし、現状ブルペンで肩を作っている投手がいないので、9回の時点でショートに入っている七夕選手が再びマウンドに登る可能性が高いですが)
個人的には「野球狂の詩」の水原勇気選手、そして因縁という意味ではドカベン高校時代編の中で早い時期から登場していながらもとうとう高校野球では対決することのなかった東郷学園の小林選手に登場してほしいところです。
最後にもう一つ、ドカベンの過去のキャラクターの再登場に関して気になっていることがあります。
これまで、高校時代編に登場していたキャラクターは、非常に多くがプロとして再登場を果たしていますが、どういうわけか、高校3年の春のセンバツの大会(コミック41巻以降)で新規に登場したキャラクターたちは、ほとんど再登場していないということです。
確かに高3のセンバツの大会は、明訓高校が負けた後の大会ということで、水島先生の気合も以前ほどは入っていなかったことが感じられる描きっぷりではありました。
それでも、関東大会で明訓が苦戦した、中山畜産高校の新山選手・豊臣選手や、下尾高校の仁選手など、存在感のあった選手もいました。
また、唯一再登場を果たしている花巻高校の大平選手も、現在は解説者として登場していますが、彼には投手としてもう一度登場してほしかったところです。
この先、決勝戦で微笑三太郎選手兼監督の率いる京都ウォーリアーズと(おそらく)対戦して完結するまでには数年かかると思いますが、ささやかな楽しみとして、最後まで読みたいと思います。