只今、開発者向けのイベントに参加しています。
会場内では何十個ものセッション(プレゼン)が行われており、我々参加者は自分の業務などに関係のありそうなセッションを選んでセッションルームに入り、担当のスピーカーさんのプレゼンを聞くという形式になっています。
プレゼンを行うスピーカーさんの中にはベテランの方もいたり、ああきっと今回が初めてなんだろうなと思うような方もいたり、いろいろなのですが、そんな中で一人、大人気のスピーカーさんがいました。
噂によれば、去年のイベントでも(毎年開催されています)、聞いた人の満足度がダントツのトップで、今では彼のプレゼンを聞きたいがためにこのイベントにやってくるという「ファン」までいるというのです。
そして今日、彼のプレゼンを聞くことができたわけですが、もう感動的でした。
ただ内容が分かりやすいとか、充実しているというだけではなくて、なんというか、一度聞いたら忘れないというような印象があるのです。
セッションルームから出ていく他の参加者の方々からも「やっぱりすごいよな」とか「あれは最高だよ」とか、とても満足したことがうかがえる声が聞こえました。
いったい何故、彼はあれほどのプレゼンを行うことができるのでしょうか?
人を引き付けるプレゼンの秘密とはいったい何なのでしょうか?
まず思うのは、彼は最新のテクノロジーを、手玉に取っているといえるほど深く、正確に理解して自分のものにしているということです。
それも自分の担当分野だけではなく、PC・開発に関係するあらゆることに深く精通しているので、説得力があるのです。
時々、「今回のプレゼンで話すのは8までのレベルの内容だから、10までのことを理解している必要はない」という考え方でプレゼンをする人がいます。
それはそれで間違ってはいないと思いますが、たとえ8の話をするのであっても、10の内容を理解している人の話には厚みがあったり、説得力があったりするものだと思います。
だからまずは徹底的にその分野に関して理解していることが、カリスマスピーカーになる秘密の一つではないかと思います。
それから、聴衆に伝えたいポイントが非常に明確である、というところもあると思います。
彼のプレゼンで紹介されたテクニックは10個以上ありましたが、最初に「今日のプレゼンで最も理解していただきたいポイントはとにかくこれです。あとはオマケみたいなものです」と、重要な点を明確にしていました。
もちろん、すべてのテクニックが有益ではあるのですが、人間の脳というのは「あれもこれもそれも大事だから全部覚えなさい」という要求に弱いものです。むしろ「最も重要なのはこれです。これを支える内容としてこれとこれもあります。」というような階層構造形式の説明の方が、脳内に浸透しやすいのではないでしょうか。
彼の話し方は、終始そのような形で行われていたと思います。
もうひとつは、上級テクニックではあると思いますが、やっぱり「笑いをとれる」「遊びがある」というところだと思います。
なぜ上級かと言えば、もしもプレゼンそのものが分かりにくかったり話し方がイマイチなのに強引に笑いだけ取りに来られると、聞いている方は正直あまりいい気分がしないものだと思います。「つまらないギャグを言う前に、肝心な内容をもっとしっかり話してよ!」と思ってしまったりするものではないでしょうか。
しかしプレゼンそのものが分かりやすくて内容が有益な場合には、途中で所々笑いがあったりすると、「いいリズム」が生まれます。そしてそのプレゼンにさらに引き込まれ、気がついたら終わっていたという感じになったりします。
彼のプレゼンには、ところどころに笑いのポイントがちりばめられており、いいリズムでリラックスできて、そして極めつけに、プレゼンの最後に笑いだけをまとめたようなオリジナルムービーが流されて、(実際にはそのセッションのサマリーになっていたのですが)気持ちよく部屋を後にすることができたのです。
自分もプレゼンをすることが少なからずあるので、彼のようなカリスマスピーカーにはなれなくとも、少しでもいいプレゼンができるように、彼の技術を見習いたいと思います。