目の前で顔を真っ赤にしながら
一生懸命(だと思う)僕に説得納得してもらう為に後輩が喋ってる
残念ながら及第点は与えられそうにない
大事な部分が抜けている
俺がどうしたいかだ
はい
今日はおしまい
僕が言った事に注意して明日は挑むように
OK?
ロールプレイングはこうして終了した
少し期待外れだった
もうちょっと進捗状況は良いと思っていたけど
彼女の指導にはまだまだ多くの時間とケーススタディが必要らしい
僕はベゼルをギリギリと回し、逆三角形のマークを12時の位置に合わせた
時計は18時35分を指していた
今から襲ってくるもの
その時、さぁ帰って娘の笑顔を見ようかなんて事を考えた僕は甘かった
今振り返ると最後の右フックだと言っても良いが
僕らは仕事柄、精神的に病んでいる方と対峙する事が多い
それは色んなフェーズの方がいるので一概には言えないけど
10人に1人の確率でお会いする事になる
もし僕等がそういった所であればいいのだけれど
僕らはそうじゃない
営利団体である
今日は午後から1件、そして20時に1件
僕はクライアントにお詫びを入れることになった
もうこれはどうしようもない
分かっているけど僕がそれをそうだよねって綺麗に飲み込めたら僕は素敵だったんだと思う
今が
今の僕が状況を上手く把握出来ず、理解出来ないだけなんだ
直ぐさま僕は1階に降りた
そしてブタ箱みたいな喫煙室でピースを吸った
喘息と診断されてビビってる気管支には悪いがそれが今の幸せなんだ
喫煙室には僕以外には誰もいなかった
日中は僕と同じようにスーツを着たサラリーマンで埋め尽くされる
それは外から中を窺うすりガラスからも黒さが確認出来て
入ろうかどうか僕をいつも悩ませる
そして入ろうもんなら6人が満員な空間は皆が吐き出す煙で白く濁っている
その白は吐き出されたストレスの色なのだ
僕は冷静にライターを擦り、火を眺めてから煙草に火をつけた
そしてゆっくりと宙に放った
放たれたストレスはひとしきりブタ箱をさまよった後
僕の頭の上の排気口へと消えていった
もう一度吸い込んで吐き出した
次は勢い良く吐き出した
僕は浅はかだけど、火を点け、煙草を吸うことによって何かが変わると
(それは大きな変化ではなくほんのちょっとの微々たる変化だ)
思っている
馬鹿らしいと思われるけど
僕の白だけが部屋一杯に広がり消えていく
幾つかその行為を繰り返し僕は満足する
僕にはどうしようもなかった事なのだ
それは勇気ある撤退だったんだ
帰り電車の中でのBGMはThe1975を選んだ
なんだ結構ポップなチョイスだねって誰かは言うかもしれない
だけどUK独特の暗さがある
影がそこに横たわってる
始まりはこんな感じだった
そう歌ってる
家に着き、ポストに僕宛の青い封筒が入っていた
触った感じで何か厚紙的なものが入っているなとは思った
ハサミで中身を切らないように端をザクザクと切って開けてみた
中から資格の合格証書と通知が出てきた
なるほどね
僕には途方に暮れる時間なんてないのか
自分でキチンと道筋を示してきていた訳なんだね
タイミングはバッチリだ
こんな日ほど、直感を信じるべきなんだ
べきなんだ