夢で逢えたら | LOVES ME LOVES ME NOT

LOVES ME LOVES ME NOT

ストイックになりたい僕が過ぎ行く日々を綴る僕の僕による僕だけの日記

クーラーの送風音と冷蔵庫の唸るような音で目が覚めた

起こさないようにガールフレンドを布団の中に残し、ゆっくりと静かに立ち上がった

腕につけたままの時計は6時9分を指し、2限から講義の僕の朝には早すぎたが

それも悪くはないだろうと思い、台所の換気扇の下でロングピースをふかした

冷蔵庫にはボトル入りのアイスコーヒー、缶チューハイが2本、マーガリンその他の調味料しかなかったので

僕はアイスコーヒーをグラスに注ぎ、少しまだ落ち着かない彼女の家の台所で天井に向けて白煙を吐いた

落ち着かないとは言え、やはり台所はその他の彼女の家の何処より僕を落ち着かせてくれた

僕は台所が好きなのだ

何故だかは知らない


恐らく理由なんてないだろう

一人暮らしの彼女のアパートは下祇園駅からすぐの好立地に位置し

部屋はこざっぱりとしていた

実家とここを行き来する為か余分なものはほとんどなかった


いかにも彼女らしいと言えばそうだと思った


ドアを開けて穏やかな寝息をたてる彼女を少しばかり眺めてみた

親密であたたかな気持ちと

一握りの怖さと悲しさが押し寄せた

何故そんな気持ちが胸に込み上げてきたのか


もしかすると僕は知らず知らず、様々な気持ちが混ざり合った混沌の1年間を思っていたのかもしれない

そして失った何かと今の温もりを比べているのかもしれない


その想像もつかなかった現在を、自分でも驚き、戸惑いを抱きながら


それでも僕は此処にいて、彼女も此処にいた

そうだとすれば悲しみと言う表現ではない気がしてきた

悲しくはない

暗く、孤独だった今までを思い出し振り返り、

あの頃から僕はここまでこれたのだと涙したくなっただけさ


彼女は薄暗く後悔と哀しみが渦巻く世界の果てから僕を救い出してくれたんだ


彼女の優しい笑顔、ふざけて笑い合う時間、僕のつまらない話をじっと静かに真剣に聴いてくれる彼女


僕の過去も受け入れてくれたその心、照れながらも僕に伝えようとする彼女の気持ち


その一つひとつを抱き締めていたいと思う


もう失くすことのないように


その小さく温かい手を離してしまわぬように


強く握り締めていたいんだ


彼女が隣にいるだけで僕がどれだけ安心出来るか彼女は知らないだろう

深い眠りにつく彼女はどんな夢を見ているだろうか

楽しく幸せな夢であって欲しい

そこに僕がいたら嬉しい



夢で逢えたら



現実では言えないような、僕が絶対に言わないような台詞を彼女に言おう


彼女への想いがゆっくりと僕の心に降り積もり


それが夢でなく現実で、確かにこの胸を熱くさせた


僕は彼女にそっとキスをした