軽い風邪?と思ったらかなりの重症で一週間ほど寝たり起きたり( p_q)
テレビ三昧のおかげで脳内整理ができました^^
その成果のひとつが「沢口靖子」についてだった。
女優の沢口靖子は度が過ぎた美貌ゆえ、
デビュー前、芸名を「原節子」にするかどうか東宝幹部が頭を悩ませたと聞く。
数多産まれてはほとんどが消えゆく女優たちの中にあって沢口靖子は常に別格扱い、
独自のサンクチュアリに生きている。
だが、その姿を見るたび、何か引っかかる。
ただの美人ではない、何か違和感が・・・。
お馴染のナビスコリッツCMが終了、
此度ヤマザキビスケット(YBC)の新製品「ルヴァン」に彼女は登場した。
変わらぬ美しい顔が震える小声でそっとつぶやく。
「ルヴァン。フランス語で発酵種のこと」
スーパーで安売りされる大量生産品でも、
沢口靖子が言えば、まるで舞踏会で銀の大皿に盛られた一品のよう。
これぞ永遠の姫・沢口靖子マジック。
でもなあー。ここまでしなくてもなー。ビスケットなんだしー。
日常的に食べる大衆向け商品なのに共感がわいてこない。(これはかなりまずい)
ナビスコリッツは巨大な世界ブランドだから
ニッポンの姫さまがイクラを乗っけてパクッとやったとて
ブランド訴求できた。
でも、今回はジャパンローカル、その上、YBCってのは新名称・・・
共感を呼ばないのはこれに限ったことではない。
白衣で地味な科学者役のドラマでも同じだ。
どんなセリフも震える小声、抑揚が少ない一本調子。
単に演技が下手なのではない、違和感があるのだ・・・。
とはいえ、
結局こんなブログ書いてるくらいだから
やっぱり私もすでに沢口靖子マジックにかかったか^^;
と思いつつ・・・
ルヴァンルヴァンと繰り返しCM投下されるうち、
疑問だった違和感の正体はひとつの言葉となって結晶化された。
「自己陶酔」
原節子にしようと周囲がうなるほどの容姿、
靖子自身も鏡で見るたび自分に酔う。
「まあ・・・今日もわたしはなんて綺麗なのかしら」
白衣で役を演じる時も、
リッツをかじる時も、
心の奥で「美しいわたし」の意識が消えることはない。
自分でも制御できないほどの美貌。
自己陶酔ぜずにはいられなくて当然だ。
だが同時に、沢口靖子は賢明でもある。
麗しい自分とは異質の女たちで埋め尽くされているこの世を生き抜くために、
謙虚さが必要なことを彼女はよく知っている。
ゆえに、
彼女はあらゆる美しさを兼ね備えた自分自身に関心がないフリをする。
そして自己陶酔している自分に気づかないフリをする。
しか〜し!
声や話し方に、自己陶酔は漏れまくっているのです!
きっと沢口靖子は実は素直で正直なのだ。
だがこれがまたさらに違和感を招くのだ。
さて、一般に、自己陶酔する人間の声とはどのようなものか。
まず、声は高めである。
絶対に低くならない。
人は本心を出すと自然に声が低くなるが、陶酔状態はその真逆。
心ここに在らずだ。だから声は高くなる。
そして、声の密度は低い。
ふ〜〜んわりと空気を含んだように、軽〜い。
羽衣で撫でられたように、淡く、柔らかい。
押し付けがましさはゼロ、触れたら消えてしまう泡のごとく儚い。
だから聞き手は、あああ、もっと楽しみたい〜、という気持ちになる。
当然のことながら絶対に早口にはならない。
ふんわりした言葉を、ひとつ、ひとつ、丁寧に、出す。
壊れそうな砂糖菓子が唇からポロリ、またポロリ、といった具合。
そしてすべての言葉は自らの分身。
ゆえに発した声、言葉を、酔うほどに味わうのだ。
実はこの陶酔型、一概によくない話し方だとは言えない。
リアリティーとか現実味といったものとは真逆の印象を与えるため、
何を話しても本当なのかどうかがよくわからない。
結果、伝えたくても伝わらないリスクはある。
だが、
ふわふわした口調でキツイ言葉を吐けば、ギャップによるインパクトがある。
相当ひどい言葉を吐いても、話し方が柔らかいから得をする。
ビジネスでも使える話し方なのだ。
ちなみに、
私はこの陶酔型で話す人間(女)に3人ほど出会った経験がある。
当然沢口靖子のように淡麗な容姿ではないものの、
ぶわぶわした自己陶酔力によってブスさ加減をうまいこと周囲を騙しおおせており、
したがって男からはとにかく好まれる。
これら陶酔女は見事に巧みな生き方をする。
普段は「うふん」と可愛らしく過ごしているが中身は悪魔。
そして男は悪魔な中身には全くもって気づかない。
逆に、しっかりした声ではっきりモノを言う例えばわたしのようなタイプは
荒野でも生きていけるじゃろ?と遠巻きにされる。
一般社会に生息する陶酔形の女は、まことに強靭な生命体である。
沢口靖子はこれら恐るべき、なんちゃって自己陶酔な輩とは別である。
なぜなら彼女は100%自己陶酔できる美貌を兼ね備えているのだから。
森裕喜子