金メダリストが達成できなかったこと | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

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経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

リオ五輪、開幕。

まずは柔道。
野村忠宏氏がゲストで番組に登場した。

柔道というと、私の年代では山下泰裕選手、古賀稔選手。
申し訳ないが、
野村氏が過去3大会の五輪で連続して金を獲ったとは、知らなかった。

前人未到の偉業を残した野村氏も、
現役時代、たったひとつ、達成できなかったことがあったという。

「言葉」である。

水泳の北島康介選手が金メダルを獲った時の「チョーきもちいい!」
ヤワラちゃんこと田村亮子選手(現 谷亮子さん)の「田村で金、谷でも金」
他にもあるが、野村選手はレジェンドになる言葉を残さなかった。

スポーツと言葉。

アスリートが競技結果そのものだけでなく、
言葉でも表現することは今後ますます重要視されるひとつになるだろう。



話は戻って昨夜のリオ大会。
柔道60キロ級の高藤直寿選手。
金が狙える実力を持つ選手が、敗者復活戦でようやく手にしたメダルは、
銅だった。


試合後、野村氏は高藤選手に直撃インタビューをした。


「悔しいよな?」野村氏が高藤選手に言った。

真夜中、うたた寝しながらぼんやり観ていたのだが、
インタビューとしては、かなり唐突だな〜と思った。

と同時に、五輪を肌で知るアスリートにしか言えない言葉だ、とも感じた。

「悔しいよな?」高藤選手は顔をくしゃくしゃにして泣いた。

銅に甘んじた高藤選手。
金を3つ獲っても言葉が残せなかった野村氏。

ひとつのことに全身全霊で打ち込む生き方をする、ふたりの柔道家。
言葉ひとつに詰め込まれた悔しい思いはどれほどか。
試合を見るだけの私には想像がつかない。

だが、
「悔しいよな?」と言語化した野村氏と、
それを受けとめる高藤選手の心の強さに、私は敬意を表したい。

自分の肉体を鼓舞し続けて生きているアスリートの言葉は、
単なる「言葉」を超えている。

言葉にすることで、彼らはもっと強くなろうとしている。


五輪代表選手の皆さん!
悔いなきよう、思いっきり、戦ってください!
東京の空の下から応援しております。

森 裕喜子