形容詞は使わない。映画「スポットライト」 | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

映画「スポットライト」を観た。

http://spotlight-scoop.com/

事実に基づいたストーリー。

だからリアルなのではなく、
全編通してすべての映像に、リアルを超えたリアリティが表現された作品。

役者の演技はもちろんのこと、
作品を支えるスタッフたちの極めてプロフェッショナルな仕事が圧巻。

たとえば、登場人物が履いているスボン。
エキストラの動き。
机の脇の段ボールに印刷された文字や路上駐車に至るまで、
実在のイメージを画面に描き出している。

最も印象深かったのは、
局長役の人物が原稿をチェックしながらポツリとつぶやく言葉。

「また形容詞だ」

物語の本筋とは関係ない小さなセリフ。
だがそんな些細な一言ですら
巨大権力に怯まず事実を報道しようとする映画のメインテーマを含んでいた。


文章で事実を伝える際、形容詞は使うなと言われる。
例えば「美しい顔」と形容するなら「ギリシャ彫刻を思わせる顔」にする。
「悲しい表情」だと漠然としているが、
「言葉を詰まらせ目を伏せた」ならば状態が想像できる。


これは文章に限ったことではない。
スピーチプレゼンにおいても、事実情報を話す際は形容詞を避け、物理的な言葉を選ぶ。
すると聞き手に具体的なイメージが湧き、話の説得力が増す。


アカデミー賞を受賞する作品も、
手でひとつづつレンガを運んで積み上げるような仕事から生まれる。


映画「スポットライト 世紀のスクープ」、オススメです。


森 裕喜子