ジャパネットたかた 高田社長 | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

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経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

言わずと知れた、高田社長。

実は日本に、こんなにすごいプレゼンターが居るのである。

TEDなんかが広まるよりずっと前(?)から高田社長は声を張り上げていた。
スティーブ・ジョブズにだって、負けてないッ!!!!特にインパクトは!



テレビに登場すると、いつも、スピーチプレゼンの視点から、簡易分析してしまう。


分析結果をひとことで言うなれば「ギャップのすごさ」。


ギャップ①
「速い話し方と金きり声」なのに「前髪下ろしたイケメン」

(すみません、普段遣いの言葉で分析致します)

金属をキリキリ言わせるような声でよどみなく繰り出される商品スペックとコメント。

すごい。

速さもすごいし、よどみなさもすごいが、実は、コメントの内容が、すごいのである。

【内容分析】

「なぜこんなにお得なのか」その理由をバッチリ伝えている。
また、消費者が買う前に躊躇しがちな点についても納得しちゃうレベルで確実にフォローしているし、
買ったらこんなに楽しいですよ、と消費者が購入後の生活をイメージできるコメントも入っている。

猛烈にヌケ・モレのないマーケティング的コメントなのだ。

これを一気にだだだっとすごい勢いで繰り出すから、
そうかそうかいいねいいねほしいねほしいね♩
気持ちが熱~くなっているうちに、みんな納得して買っちゃう(・・・私は実際発注したことはない)。


【姿(見た目)の分析】

その金きり声とは正反対の、お姿。
ここに見事なギャップがある。

高田社長は元来大変整ったお顔立ちでいらっしゃいます。
一方、社長というお立場ながら、今でも前髪を垂らしておられる。
通常、大人になると、また特に責任あるお立場では、前髪というのはあり得ない。

某大阪エリアの有名政治家の場合は、出て来た当初は前髪があったが、
さすがに最近は七三になり、おでこを出された。

社長なのに前髪、美男なのに金きり声。
このギャップが興味深さを増し、同時に共感を呼ぶ要因となっている。

美男のまま登場していたらちょっと共感は湧かないし、
美男ぽい声(?)を出してカッコ良く落ち着いて(草刈正雄みたいに)話してたら、
絶対、客はこれほど買わない。


ギャップ②
第一声「みなさん!!」は高音。対して、一番最後のコメント「お願いします」は低音。

【声と話し方分析】

「みなさん!!」は誰もが記憶があると思う。

でも、最後の「お願いします」が妙に低いことに気付いておられる方は少ないかも。

スピーチプレゼンのトレーナーであり
ボイスイメージコンサルタントの私は、ここに一番興味をそそられる。

「みなさん!!」が高いのは、視聴者のアイ&イヤー(目と耳)キャッチだ。

強烈なインパクトで「何ごと!!!!」と聞き手が振り返らざるを得ないパワフルな呼びかけ。
寝た子も起きる。

では、最後の「お願いします」はなぜ低いのか。

強引に仮説を立てる。

1)最後だから、落ち着く、終わり、という意味合いで、低くしている。

2)おねがいします、が高くて元気な声だったら、何だか「買って、お願い」の懇願のようで、逆効果。

3)エネルギーが切れて、低くなっている。


ま、3)は無い。一応書いただけ。多分、1)と2)ではないだろうか。

落ち着いて番組を締めくくる意味合いもあるだろうし、
激しく始めてシットリ終わる、全体の流れもあるだろう。
当然、変に「買ってお願い」をするのは論外。

ただし、
この「お願いします」は、いくつかのパターンで使われており、
「よろしくお願いします」の意味のときと
「お電話はこちらへお願いします」のように発注経路を示しているときもあるようだ。


ちなみに、高田さんは、もともとは決して声は高くない方、とお見受けする。
普段は落ち着いたお声、話し方のはずだ。

つまり、
番組登場の折には、
声の高低および話す速さや間を巧みに使い分け(それもキワキワのレベル!)
お茶の間のお客様に伝わるように!という術を身につけておられるということだ。

それもこれもすべて「お客様に喜んでいただく!」という気持ちで工夫を重ねてこられたのではないか。

すごいことである。


【まとめ】

スピーチプレゼンで重要なのは「インパクト」。
つまり、「ええ!!!ッツ」という「驚き」。

商品が、こんなにお買い得なことにびっくり!
そして社長のギャップだらけのインパクトに、びっくり!

スピーチプレゼンの「粋」とも言える「インパクト」をジャパネット風に体現し、
売れないはずがないとも思えるほどの、スタイルに作り上げた。

高田社長の他、何名かの社員もプレゼンをしているが、
高田さんのインパクトと圧倒的な説得力を持つ方は、まだ出てこない。


高田社長のイメージ&コミュニケーション戦略、があるならば、
それはスティーブ・ジョブズのようにクールでかっこいいものではない。
根本のビジョンが違うから当然。

ついこの前まで、日本の商売の多くが、語りや声色でモノを売って歩いていたことを考えると、
ジャパネットたかたの売り方は、その強烈でパワフルな、究極の発展系であるような気もする。


高田社長は、今日も、どこよりもお得な商品を、自らの声と身体で伝えている。


森 裕喜子