この数回は、事業性評価(事業デューデリジェンス)のうち、外部環境分析の話をしてきましたが、今回から、企業力評価の話に移ります。企業力評価は内部環境分析、強み・弱み分析と表現したりもします。

企業力評価は経営指標など定量的な分析、人材や技術力、顧客層など定性的な分析を行います。

今回と次回は定量的な分析の話をします。

単一事業の企業は別として、再生計画の場合、まず、事業部門別の貢献度や将来性を検討することが不可欠です。事業ごとの売上や付加価値は、企業全体の売上や付加価値に対してどのくらい貢献しているか、その事業の将来性はどうか、を検討した上で、撤退すべき事業があるかどうかを見極めます。但し、明らかに付加価値が低く将来性もない事業であれば、すぐに撤退という意思決定ができますが、世の中そんなに簡単ではありませんよね。

下表はある企業の事業ポートフォリオの例です。ポートフォリオ分析はボストン・コンサルティング・グループが開発した分析手法として有名ですが、少しアレンジしています。

A事業:売上貢献度は低く、市場性も低いが付加価値は高い

D事業:売上貢献度が高く、市場性も高いが、付加価値は低く、全社の足を引っ張っている

といったような見方をします。

経営資源に限りがあり、全事業に「梃子入れ」することができないため、いずれかの事業から撤退しなければならないとすれば、どの事業を撤退するかは悩ましいところです。




ヴァリューマネジメント-経営のヒント--事業ポートフォリオ

このような場合に次に何を判断材料にすればよいのでしょうか。

取引先との関係、顧客の定着度合い、業界内でのシェアやポジション、技術力 etc. 様々な視点があると思いますが、再生を目指す企業の場合、キャッシュフローを最重視せざるを得ません。

事業の収益性(PL)としては、期待できる事業であっても、設備投資や運転資金など、キャッシュをかなり必要とする事業の場合、資金調達が可能なのか、という問題が生じるからです。

従って、望ましいのは、事業別のキャッシャフロー計算書を作成することです。

キャッシュフロー計算書は、下表のような計算方法で作成します。PLBSがあれば、概ね作成することが可能ですが、中小企業の場合、事業別のBSまで作成している企業は少数派です。

しかしながら、下表のように、大所のキャッシュ増減は把握できるはずです。

原材料など(棚卸資産)が複数の事業で共通して使われており、事業別に分解できない、支払手形・買掛金も同様の理由で事業別に分解できない、というケースはありますが、それでも按分計算するなど、ある程度は把握できるはずです。

このようにして、概算レベルでもよいから事業別のキャッシュフローを作成し、運転資金が大幅に増加するかどうか、多額の設備投資が発生するかどうか、その結果として概算のフリーキャッシュフローがどうなるか、を把握し、判断材料とします


ヴァリューマネジメント-経営のヒント--キャッシュフロー計算

将来のフリーキャッシュフローを一定率で割引計算し、積算したものが「事業価値」となります。事業価値については、また別のコーナーで詳細に述べたいと思います。