再生に限らないのですが、業界特性や対象企業の競争力等を判断する材料として、忘れてはならないものとして法的規制や業界独自の慣習ということがあります。

このような法的規制等は、大きな眼でみれば、企業の競争を促進せず、国際競争力がつかなくなるなど、様々な弊害もあるのでしょうが、再生企業にとっては、規制が参入障壁となり過当競争を回避することができるため、一定の収益性を確保しやすい、という面もあります。一方で、許認可等の基準をクリアするためには様々な要件を満たさなければならず、要件整備のためのコストがかかってしまう、という面もあります。

今回は法的規制について再生計画を策定する、という視点からチェックポイントを考えてみます。

どのような規制があるのか

対象企業がどのような業種であっても、基本的には監督官庁があるはずですので、何らかの規制があると考えるのが普通です。それも1つとは限りません。むしろ複数の規制がある、と見ておくべきでしょう。

例えば百貨店などでは、まず、店舗は大規模小売店舗立地法による規制がありますし、食品売場やレストラン街であれば食品衛生法や酒税法に基づく免許が必要になります。商品券を発行すれば資金決済法、友の会で積立金を集めれば割賦販売法に基づく運営をしなければなりません。それぞれ監督官庁も異なります。

まずは、対象企業がどのような法律の規制を受け、どういったときにいつまでに、どこに届出等が必要になるのか、を抑えておくことが最低限必要です。

事業継続そのものに関係するのか、営業上のメリットに関係するのか

例えば建設業では、建設業許可を取得しなければならず、大臣許可か知事許可か、一般建設業か特定建設業か、業種別許可は何? といったように細かくきめられています。こういった許可は、取得し、継続できなければ事業そのものが継続できなくなってしまう、という許認可になります

また、例えば鉄骨ファブリケーターでは、SHMRJといったグレード認定制度がありますが、受注できる物件の規模が異なります。物件の規模が大きくなれば、それだけ売上も大きくなり収益機会も拡大することになります。

一方、グレードが高くなるほど高い技術水準や設備、管理体制が問われることになり、それなりにコストがかかることになります。

このような場合、事業を続ける場合はいずれかのグレード認定を受けなければなりませんが、必ずしも高いグレードである必要はなく、高いグレードを取得する意味としては営業上のメリットがあるかどうか、ということになります

つまり、高いグレード認定を取得しておいたほうが、受注力がアップするかどうか、高いグレードを維持するためのコストをかけたとしても最終利益が増大するかどうか、という判断になります。

これらは、対象企業の状況によっても異なるため、営業上のメリットに関する許認可については、対象企業にとってそのメリットがでるのかどうかを、きちんと検証しておく必要があります。

合併や会社分割など組織再編によって許認可はどうなるのか

企業再生の場合、組織再編が行われるケースは、多いと思います。その場合に許認可が承継可能なのか、どういった手続きが必要なのか、は事前に確認しておくことが重要です。

それによって再生スキームそのものを変更しなければならなくなる可能性も生じるからです。

例えば建設業を吸収分割する場合、分割会社が許可を受けていた業種について、承継会社が許可を受けていない業種については新たに許可を受ける必要があります。新設分割の場合も同様です。

勿論、こういった手続きに関しては、徐々に整備され、事業の空白期間ができないように配慮されるようになってきてはいますが、注意が必要です。

承継には大きく分けて次の4パターンがあります。

ア) 届出等、申請手続きだけでタイムラグなく承継可能なもの

イ) 申請手続きで承継可能だが、許認可の更新時期が決まっているため、手続きの時期に制約を受ける、あるいは事業上一定の空白期間が発生するもの

ウ) 承継はできず、承継会社や新設会社で新たに許認可を受けなければならないが、実態的に分割会社の事業そのものが引継がれる場合は、配慮があるもの

エ) 会社分割による事業の承継ができないもの

)の場合は、対象事業がGood事業であった場合の「会社分割によるGood事業の切り出し」といった再生スキームは使えないことになります。



ヴァリューマネジメント-経営のヒント--再生計画における許認可のチェックポイント