今回は、企業再生(私的整理)の進め方について、述べてみます。

私的整理の進め方については、平成13年に「私的整理に関するガイドライン」が策定され(全国銀行協会ホームページhttp://www.zenginkyo.or.jp/news/entryitems/news170526.pdf)、いくつか解説本も出版されていますが、金融機関や専門の会計士、コンサルタントならいざしらず、具体的な進め方については、企業経営者はあまりご存じないようです。

当然ですよね。再生コンサルタントが社長になっている場合は別として、通常の事業経験者が社長になった場合は、私的整理など経験したことはありませんから・・・・。



さて、一般的には、私的整理ガイドラインに則した企業再生は、ざっと以下のような流れになります。


財務デューデリジェンス

資産や負債の計上方法、売上や費用の計上方法について、適正な処理がなされていたかどうかを会計士が精査します。近年減損会計の適用など、思わぬところで「資産の目減り」が発覚します。中小企業では退職給付債務の未計上も問題も大きな足かせとなったりするケースが多々あります。


不動産鑑定

第三者の不動産鑑定士に鑑定してもらいます。遊休不動産の場合は単純に周辺相場による評価でよいのですが、事業用資産の場合は、当該事業を存続した場合の収益力を加味した不動産価格、事業を撤退して早期処分をした場合の価格の両方を鑑定してもらう必要があります。


事業性評価

コンサルタントなどが入って、会社の事業ごとの将来性、収益性、改善余地を検討します。再生をする以上は事業を継続する価値がなければなりません。債権者に対してはもちろんのこと、調整機関として整理回収機構や中小企業再生支援協議会等に関与してもらう場合には、事業性に対して、詳細な客観的データが求められます。


債務免除等金融支援策の検討

債務免除が必要なのか、DES(Debt Equity Swap)DDS(Debt Debt Swap)といった手法をとるのか、DIPファイナンスの必要性があるのか、を検討します。

債務免除をする場合には、金融機関にとって「債務免除をして再生させたほうが経済合理性がある」と判断できる計画になっているかが最も重要な論点となります。


組織再編等再生スキームの検討

企業再生において「組織再編」とは、社内組織の改編というよりは、「会社」の枠組みどうするかを検討することです。例えば、

◆既存会社を存続させ、資産再評価税制等を活用し、債務免除益課税を回避しながら再生する

◆子会社との合併などにより、事業再編を行ったり、子会社の欠損金を税務上活用する

Bad事業を事業譲渡し、Good事業のみ存続を図る

◆非適格分割により「のれん代」を顕在化させBSの改善をするとともに税務上のメリットを活用する

というような再生計画スタート時の会社の枠組みを、対象企業の状況を踏まえた上で、どれが最も適切であるかを検討します。


株主責任、経営責任の明確化

現在の社長には経営責任をとって経営から外れてもらう、株主には100%減資を求められるケースもあります。債務免除を伴う場合には特にシビアです。

特にオーナー企業の場合には、ここが一番重たい問題です。オーナー社長の場合、経営からも株主からも外れてもらわなければならない可能性もあるからです。さらに借入金に対する個人保証をしているケースが多く、保証債務をどうするか、という問題も出てきます。


再生計画の策定

10年程度のPLBSCFを策定します。特に重要なのはCFです。CFをベースに金融機関別の借入金返済計画を作成することになるからです。

当然のことながら数字の計画だけを作ればよいということではなく、その根拠となる施策が問われることになります。



大雑把な流れは以上のようになります。これ以外に、法務デューデリジェンスといって、事業上の契約事項や労務問題、その他の係争など、事業を継続するにあたって法的な障害がないかどうかを精査する場合もあります。



結構大変な作業ですよね。尚、私的整理の場合、計画成立には債権者全員の同意が必要となりますから、注意が必要です。(私的整理の場合、一般的には債権者は金融機関のみとなるケースが多いです。)



ちょっと冗長になってしまいました。次回から、1つずつ見ていくことにします。