今回は『財務デューデリジェンスについて』です。

財務デューデリジェンスとは、過去のPL、BSの計上にあたって適正な処理が行われていたかどうかを確認し、実態ベースでのBSや正常収益力を把握する目的で行います。


正常収益力の把握

仮装経理とまではいかなくても、例えば子会社や関係会社に対してちょっと利益を上乗せして発注してあげている、特定の年度だけ特需があり、売上・利益が押し上げられた、災害の保険料など特殊な収入が計上されている、といったケースはよくあることです。

こういった特殊な損益をはずした場合の平準化された事業収益を把握することが「正常収益力の把握」です。売上アップ策や合理化策による収益力向上策を考えるのは、次のステップとなります。


実態BSの把握

営業債権などに回収不能なものがないか、減価償却は適正に行われているか、簿外債務はないか、といったこことを精査します。中小企業の場合、退職給付債務をBSに計上せず、支払い時にPL上で処理するケースが多いので注意が必要です。

また、子会社との金銭貸借や取引関係なども要注意です。

不動産鑑定の結果も実態BSに反映させます。



尚、再生計画を策定する段階で、資産評価損益を計上する場合は、不動産鑑定は2社からとる必要があります。


企業再生の局面では、債務免除等を伴うケースもありますが、債務免除をしてもらった場合、「債務免除益」という利益が計上されてしまいます。勿論現金が入ってくるわけではないので、この「債務免除益」に課税されてしまっては、再生計画が立ち行かなくなるのです。

そこで、企業再生税制においては、一定の要件を満たした場合、特例欠損金(いわゆる期限切れ欠損金等)や資産評価損を計上し、「債務免除益」と相殺できるようになっています。

これに関しては、別途解説します。



再生計画を策定しようとする企業の場合、財務DD結果を踏まえ、資産・負債額を実態ベースに修正した結果、表面上資産超過であっても、実態としては債務超過となることが殆どです。再生計画では、実態ベースでの債務超過解消年数が問われます。私的整理ガイドラインでは3年が原則となっていますが、整理回収機構や中小企業再生支援協議会等による再生計画の検証をしてもらった場合、5年程度まで許容してもらえるケースもあります。



債務超過をいつの時点で解消できるか、は当然毎期の税額によっても変わってくるため、再生計画を策定する上で、財務DDは不可欠なものとなります。

財務DDは対象企業の実態BSを把握することだけではなく、下記も重要な目的となります。



上記のように、特例欠損金や資産評価損がどの程度積みあがるかを検証し、債務免除限度額を把握すること

正常収益力から判断して、成り行きベースで考えた場合に実態債務超過解消まで何年かかりそうかを把握すること

資産・負債の状況から考えた場合、会社分割など組織再編による再生スキームが可能であるかどうかの検討を行うこと