さて、市場規模や成長性を検討した後は、収益性を見なければなりません。いかに売上が上がったとしても1円も儲からない事業であれば、やっても意味がありませんからね。

従って、「収益率」も重要ですが、最終的には「収益額」が最も大事、ということになります。

特に再生計画の場合は、債権者の皆様に納得してもらわなければなりませんが、今回は、収益性を計画に落としこんでいく際の留意点を述べてみたいと思います。



需給関係

まず、わかりやすいところから始めますと、一般的に需要が増加し、普及率が高まれば価格は下がるはず、ということです。特に耐久消費財の場合はそうです。

まず一旦は、需要が増加します。この段階で、量産効果が生まれ低価格化が可能になること、競合の参入等により、価格を下げざるを得なくなることなどが要因です。

その他に買換えサイクルの問題があります。長寿命の商品であれば、新規需要が一巡してしまえば、あとは買換え需要を開拓するしかありません。単純な機能で長寿命の商品であれば、買い換える必要もないため、一気に需要量が低下し、競争の関係から、需要量低下に輪をかけて単価が下落することになります。

そうならないように、メーカーは機能を高めながら買換え需要を掘り起こすと共に、単価を維持する努力をすることになります。車や携帯、パソコンなどを考えるとイメージがつくと思います。

要は対象企業の製品がライフサイクルのどこにポジショニングされているのかを確認し、そこから将来の収益性がどうなるかを予想する、ことが重要です。



ヴァリューマネジメント-経営のヒント--需要量と単価(商品ライフサイクル)


原材料の価格

対象企業がメーカーであれば、原材料の調達コストの変動は、当然ですが収益性に大きく影響します。一般的には、経済状況と相関関係があると思いがちですが、それは昔の話で、最近はそう簡単にはいきません

下図は、鋼材価格とGDPの推移を指標化したものですが、鋼材価格はGDPの変化とは殆ど関係なく動いています。これらの要因としては、中国の鉄鋼需要が増加し、鋼材の原材料である鉄鉱石の価格が上昇したこと、08年度の上昇は世界的な鉄鋼需要の増加よりも投資マネーの流入による要因が大きいのでは、と推測されます。

このような分析は、数字とにらめっこするよりも、業界の人に話を聞いたほうが正確です。何せ肌で感じ取っていますから、その感覚による予測は的確です。

いずれにしても変動要因を突き止め、その要因が将来どのようになるのか、を推測することがポイントです。

ヴァリューマネジメント-経営のヒント--鋼材価格とGDPの推移


流通ルートや販売方法の着眼点

収益性を高めるには、販売数量が問題になります。「率」も重要ですが、最終的に「金額」が重要だということは、皆さんも実感されていると思います。販売数量は売上高にも直結しますから、販売数量を確保する、ということはとても重要なことです。

さて、ここで着目するのは、販売のしくみです。自社で末端ユーザーまでの営業をやっている会社であれば、特に考える必要はないのかもしれませんが、代理店経由等で販売している場合は、その販売のしくみに問題はないか、ということを考えてみるべきです。

例えば単価が100万円、粗利率も30%以上あるような商品だけれども、売れる量は少ない商品を売っている超一級のセールスマンに、単価が1000円で、粗利率は10%くらいしかないけれどもバンバン売れる商品を売ってこい、と言っても意外と売れないケースがあります。これは高単価・高粗利商品と低単価・低粗利商品では、その販売方法が全く異なるからです。

セールスマンの例で話しましたが、これは代理店政策でも全く同じことが言えます。代理店によっては、異なる商材を取り扱っているところも数多くあります。その代理店の主力商材の収益特性と、当社が提供する商材の収益特性が全く異なっている場合は、当社の商材をバンバン売ってもらうのはかなり困難な状況になる可能性が高い、と考えるべきです。

社内の組織でも同様です。収益特性が異なる商材は、販売方法も異なるし、営業マンがどこにモチベーションを感じるかも異なってくるため、そのような商材は事業部も変えてしまう、という方法をとるのは、そのためです。


ステークホルダーみんなが儲かるしくみ

前述の「流通ルートや販売方法」の延長線上の話ですが、結局のところ、ステークホルダーみんながある程度儲かる仕組みになっていなければ、長期的な収益性は保つことができません。

自社だけが儲かって、他のステークホルダーがみんな損をしている、といった事業であれば、やがては崩壊してしまいます。

中長期的な観点から収益性が維持できるか、を考える場合、粗利率等、定量的な面の分析だけではなく、ステークホルダーを含めた事業全体のしくみがどうなっているか、を考えておくことは、結構重要なポイントとなります。



このあたりは、「企業力評価」の内容になりますね。

ではまた・・・・。