発声と腹筋 | 年齢や素質で諦めさせないボイストレーナー牧野努のブログ

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16年間のボイストレーナー生活を元に、歌で悩んでいる方や行き詰っている方々のお役に少しでも立てればと思っております。年齢や素質だけで歌は決まりません。情熱と努力だけで乗り越えられる壁がたくさんあります。

VIZヴォイストレーニング

 

今日は腹筋についてお話しします。
 
一口に腹筋と言ってもいろいろと種類があります。


 

いわゆる、一般の方がよく言う腹筋とは
表面に見えている6個に割れる腹直筋の事ですよね
ここを一生懸命に鍛えてもあまり発声には関係ありませんね。
見た目はかっこ良くなりますが・・・
 
発声に大事なのは内腹斜筋です。
 
内臓のすぐ近くにあり、外側からは見えない筋肉です。
いわゆるインナーマッスルってやつですね
 
じゃあどうやって鍛えるのか?
スポーツジムのトレーナーじゃないので、
エクササイズは分かりません。
 
まずは
あまり難しい事は考えずに、
やってみてください。
 
息をなるべく短く、強く、
吹き矢を飛ばす感じで、
「フッ!」 「フッ!」
と息を飛ばしてみてください。
 
腹まわりの筋肉がピクッ、ピクッと動きませんか??
 
そこが内腹斜筋です。
 
もちろん外とも繋がっているので、腹直筋も少しつられて
動きます。
 
やる時に胸式呼吸で吸い込んでからだと
その筋肉は動きませんので
最初に息を吸い込まずに、持っている息で
始めてください。
 
そして鍛錬の方法としては
息を吐く時に負荷をかけてやると
そこに負担がきて鍛えられます。
 
1例として
歯と舌で息の出口を細く狭くして
「スーーーーーーーっ」
と息を吐く「ブレスプレス」という練習方法があります。
 
出口を細くすればするほど息の圧力が上がり
その筋肉に負荷がかかるので鍛えられます。
 
いわゆるスポーツでやる腹筋運動では鍛えられません。
単純に息を送る為の筋肉を鍛えるのであれば、
負荷をかけて息を吐いてやれば鍛えられます。
 
 
しかぁーし
 
もしもその筋肉を鍛え抜いて
息を送る力が凄くついたとしましょう。
 
その息を受け止めるのは声帯です。
薄っぺらい、鍛えられていない声帯に
もの凄く鍛えられた強い息がきたらどうなるでしょう?
 
受け止めきれずにひっくり返ってしまいますね。
 
よく声が裏返るなんて事ありませんか?
 
送り側の息が強いだけではダメなんです、
それを受け止める声帯がしっかりしていないと声になりません。
逆に声帯自体がもの凄くしっかりしていて肉厚でも
息の力が凄く弱かったらダメですね。
 
要するに
送り側と受け側両方同時に鍛えていかないと意味がないのです
2つはセットなので。
 
そしてその2つの絶妙なバランスによって声が成り立っているのです。
 
したがって、一番良いのは、両方同時に使って
鍛錬していく事なのです。
 
両方同時?!
 
それはどんな方法か?
 
ごめんなさい、
あまりに単純で当たり前の答えなんですが。
 
それは
発声練習です!!!
 
いろいろな意味で
もう発声練習にかなう方法なんてないんですよ
ぶっちゃけ。
 
よく生徒さんから、
家で声を出さずにやる練習方法を聞かれます。
 
まぁいろいろ方法はありますが。
 
でも発声練習にはどうしてもかないません。
 
だって、ドラムの練習を家で布団とか雑誌とかを
叩いてやっている人と
本物のドラムセットを叩いてやっている人とを比べたらどうですかね。
 
練習環境が整わないのは、音楽やっている人、全員の
悩みです。
 
ピッチャーに投げてもらってやるバッティング練習と
バッティングセンターでやる練習と比べたらどうですか?
 
まぁ
当たり前の事言っているだけなんですけど。
すみません
 
声を出さずに声を伸ばして行くのは、
なかなか難しいのです。
 
僕の生徒さんで
2年間、毎日ほぼ1日も欠かさずに発声練習を
毎晩寝る前に15分やった生徒さんがいました。
(家が田舎で近所迷惑にならない環境でした。)
 
彼はなんと音域が6つ伸びました。
 
全音で3音上まで出るようになったんです。
 
まさに継続は力なり
たった15分ですが、物凄い効果です。
 
しかし本人は6つも伸びている事に
気付いていませんでした。
 
2年かけてその間に徐々に
少しずつしか変わっていかないので
その変化に、だいたい本人は気づきません。
 
それを管理し、自覚させるのもトレーナー
の仕事です。
そしてその人にとって一番効果のある
発声練習の種類とやり方を提案し続けるのです。
 
今、自分がどこにいるのかをしっかり自覚して
トレーニングと変化をきちんと管理すると、
モチベーションが上がりますよ。
 
長続きをさせるコツです。
 
発声は力では無く、バランスです。
そして効率良く息を使い。
最小限の力で欲しい声を作り出すのが理想です。
 
内腹斜筋も大切ですが、
その他の筋肉とのバランスも大切です。
 
全身使って声を出しているのですから。
 
では、また。

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