発表しました。
ヴィンテージスタイル本革ハードケース付き双眼鏡
ULTIMA Z8×42 限定発売
わかりにくい商品名ですが
要するに、昔ながらの「飯ごう型本革ケース」を
作りました!ということです。
双眼鏡はかつて高級品でした。
今では数千円から買えるようになりましたが、
かつては誰でもが買えるものではありませんでした。
ビクセンの創業期の頃、双眼鏡の値段と
平均的な1か月分のお給料は同じだったと
聞いています。
なので、双眼鏡は大事に扱われるものでした。
そこで、よく使われたのが
飯ごう型ケースです。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/c2/51/j/t02200165_0800060012101323636.jpg?caw=800)
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/db/1a/j/t02200165_0800060012101323072.jpg?caw=800)
こういう形です。
かつては一般的だったこのケースですが、
今ではほとんど作られることはありません。
理由はいくつかあります。
値段が高い、少し重い、がさばる、
などです。ソフトケースが主流となってからは
商品化されることはほとんどなくなったのでは
ないでしょうか。
ビクセンでも、このケースを最後に作ったのが
いつだったのかわかりません。
ですがこのケース、いいんです。
個人的に古い双眼鏡をいくつか所有していますが
この飯ごう型ケースに入っていると
革の傷み具合とともに時代を感じさせ
双眼鏡を持つ喜びを思い起こさせてくれます。
実はこのケース、今では作れるメーカーがほとんどありません。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/69/2c/j/t02200165_0800060012101324414.jpg?caw=800)
特にこのふたの部分を縫製する機械が
少なくなってきました。
今だと接着剤でくっつけてしまうほうが早いのかも
しれませんが、このケースは直角に縫い合わせています。
また革には、牛本革の銀(表側)を使っているのですが
その厚みは、計算されつくしていて、
特に革同士が重なり合う部分だけを極薄に
して、全体の凸凹感がないようになっています。
この、革を薄くする技術は
数少ない職人さんの手作業です。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/03/97/j/t02200165_0800060012101326110.jpg?caw=800)
ケースの内側は羅紗張りになっていますが
両側に台がついています。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/18/b7/j/t02200165_0800060012101326478.jpg?caw=800)
双眼鏡をこのように入れるのですが、
接眼レンズが当たらないように
台をつけています。
ハードケースは双眼鏡ごとにサイズの合ったものを
誂えていきます。
ちなみにケースのストラップも本革です。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/3f/02/j/t02200165_0800060012101326783.jpg?caw=800)
牛の背中の革を使っています。
お腹の革では切れてしまうので、
背中の伸びの少ない革を使うのです。
このストラップは贅沢だと思います。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/a3/cd/j/t02200165_0800060012101327513.jpg?caw=800)
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/35/aa/j/t02200165_0800060012101327889.jpg?caw=800)
ストラップはこのように付けます。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/e2/24/j/t02200165_0800060012101328281.jpg?caw=800)
長さの調整も可。
このケースは私とケース屋さんとの
こだわりの中で生まれました。
私は伝統的な飯ごう型本革ケースの
新品を見たことがありませんでした。
一度きっちりと作りこんだものを
見たかったのです。
ケース屋さんも、最近の主流の合皮ではなく
本革でしっかりとしたものを
職人さんのいるうちに
作っておきたかったとのことでした。
ビクセンとしては、もう二度と作ることは
できないかもしれません。
少なくともこのサイズのケースは
二度と作りません。
なぜなら、このケースのために
復活させた「ULTIMA Z8×42」は
かつてのベストセラーですが
今では廃盤商品です。
このケースと双眼鏡の両方を
再度製作することは不可能だと思います。
![__.JPG](https://stat.ameba.jp/user_images/20120727/15/vixen/25/58/j/t02200165_0800060012101325213.jpg?caw=800)
少し郷愁の意味を込めて
古いロゴを使いました。
このロゴを使うことも
これで最後かもしれません。
50台しか作れませんでした。
最初の1台は会社で保管用としました。
次の一台は、社員が購入していきました。
もしかしたら自己満足の商品かもしれません。
ですが、ビクセンは天体望遠鏡を作るより
20年も前から双眼鏡を取り扱っていたのです。
双眼鏡はビクセンの原点です。
このことを自分で実感するためにも
この商品を作りました。
残り台数はあまり多くありませんが、
この気持ちを共有していただける
ユーザー様がいてくれたら
とても嬉しいです。