2011年12月21日(水)
朝から憂鬱なお出かけ準備。
これが最期のお出かけなんて、やっぱり夢を見ているよう。実感がない。
悩んだ末に、前足の肉球まわりの毛をカットして、足跡をスタンプで取った。
なかなかうまく取れなくて4回もやり直した。 ごめんね、足黒くなっちゃった。
でも、いつも「オテ」して、匂いを嗅いで、ニギニギしていた手。
ボールをしっかりと押さえて遊んでいた手。
おねだりしてテーブルに乗せて怒られた手。
一生懸命走って、カプリを支えてくれた手。
愛おしくて、せめて形だけでも残したかった。
後足は腫れていたりしたから、さすがに痛そうでやめた。本当は全部残したかったけどね。
昨日箱が無かったから、カプリをどうやって連れて行こうか・・・
使っていた簡易ハウスをどうにかうまく折りたたんで、タオルやブランケットをひいて
クッションから抱きかかえてカプリを寝かせ、花束を添えた。
それから耳元に一輪、カプリに似合う赤系の花を添えた。私の好きなガーベラ。
おめかししたみたいですごく可愛いよ。本当に可愛い。
その他、大好きなボールを2つ、寂しくないようにと、遊んでいたぬいぐるみ、送って頂いたおやつ、
小さいころに着ていた服、大きくなって着ていた服をそばに置いた。
車にカプリを乗せる。 出発の時。
その前に。。。 お隣の奥さんに声をかけた。
やはりわんこと一緒に暮らしている家族で、カプリの病気のことも気にかけて下さっていた。
私がひきこもっているからここ最近は会うこともなかったんだけど、最後くらいは会わせたいなって思って。
とても驚いていた。その方も今いるわんこの前に亡くしたわんこがいるから、気持ちを良くわかってくれる。
少しだけの時間だったけど、顔を見てもらってお別れできて良かった。
私はやっぱり泣いてぐしゃぐしゃの顔になってしまったけど、この方にならそんなとこを見せてもいいと思った。
もう一人、カプリが大好きだったおじさんにも会いたかったんだけど、この方は最近見かけなくなっていた。
以前は老犬といつも一緒に広場に来ていたんだけど・・・・・何かあったのかと心配だ。
まさか、このわんこも・・・・・と思ってしまう・・・
せめてお礼を言いたかったんだけどな・・・
さぁ、出発しなければ。斎場へは13時に予約を入れている。
途中道を間違ったりしながらw 斎場付近に来たのは予定していた13時より20分ほど前。
近くに車を止めて、相方はムギを散歩へ連れて行き、私はカプリと車に残った。
待っている間、カプリのいろんなところの毛を少しずつもらっていた。
ビニール袋をたくさん用意して、これは〇〇、これは〇〇、と場所を書いて切った毛を入れていった。
あらかじめしておけばよかったんだけど、ギリギリまでカプリのもとにあるのが良かったから。
ほんのちょっとずつだから、毛並が乱れるとかばさばさになっちゃうってことはないから安心して。
乙女ですもの、不恰好で旅に出るのは嫌だもんね。
こういうのって人それぞれの考えがあるから、不快・疑問に思う方もいるかもしれない。
我が家では分骨して、身に着けるものに入れたいと思っていた。
カプリからもらったも毛もそれに入れるつもりでいる。
そして、納骨は今のところ考えていない。自宅供養という考えでいる。
どうしてもお骨をと、執着してるわけじゃないんだけど、カプリを形作っていたもので、中心に近い部分でもあるから
なんとなく「存在」として残そうかなーって。でも、いつかまた骨壺に戻すかもしれないし。
実家にいたわんこもまだ実家にいる。 だから実家に行くたびに会えている。
特にお願いしたい宗派があるわけでなく、人とは違い規制もなく。
だったら、供養の仕方も決まりなどないんじゃないかなって。
なので、我が家ではこういう形にしようと。
まぁ、こうやってお骨じゃないにしろ「何か」を残そうとしていること自体が執着なのかな。
・・・・・寂しいんだもん(TへT)
相方が散歩から帰って、いよいよ斎場へ。 それでもまだ少し時間があって、駐車場で待機していた。
早く着いたからって早く中に入ることができなかった。
そして、13時。 中へ入る。
カプリを預けて、少し説明を受けて、同意書のようなものを記入して。 しばし待機。
野球のボールは一緒には持たせられないとわかっていたので返していただきました。
小さいテニスボールのようなものなら大丈夫というので、これだけカプリに持たせました。
向こうで遊べるね。良かった。
呼ばれて、「お浄めの部屋」へ誘導される。そこで手を清めてもらい
次は「お別れの部屋」へ。 ここでは家族だけで最後のお別れの時間をもらう。時間の制限はない。
とてもかわいくしてもらったカプリを写真に収めたりした。この期に及んで私は毛をチョキチョキした。
不謹慎だなーと頭の片隅では思ったけれど、これが最後なのだ。カプリの姿を少しでも手元に残したい。
「背中の毛、怒って良く立ってたね~w」「しっぽぷりぷりしたのかわいかったから少しちょーだい」
「あ、ここを撫でるの好きだった」「カプリはここ撫でられるの好きだったよね」
そんなことをいいながら2人でパタパタしていた。
ムギもカプリのにおいを嗅いだりしてたけど、お利口にしていた。
することしてから、カプリをべたべた撫でまわして、いっぱいチューして。
メッセージカードをくれたので、それぞれがカプリにメッセージを書いて・・・
意を決して、斎場の方を呼ぶ。「もう大丈夫です・・・」
火葬の準備をするまで、また待機となる。そして・・・・・『では「火葬の部屋」にご案内します』
本当に最期なんだね・・・もうその可愛い顔に会えないんだね・・・・
一瞬の葛藤の中、あわてて携帯を出し、写真を撮った。ピントなんか合わせる余裕はない。
泣いてしまって、手も震えている、カプリが画面に収まってるかもわからない。
でも、1枚だけカプリの方向へカメラを向けてシャッターを押した。
これが、この世での、本当の、本当に最後の姿。 カプリの存在を示す最後の瞬間。
私が、全部残すんだ。 カプリの生きた証を。 そんな気持ちがあった。
ボタンが押される。ゆっくりとカプリを乗せた台が動いていき、扉が閉まる。手を合わせる。
哀しさ、寂しさ、後悔、わけのわからないいろんな感情がこみあげてくる。涙が止まらない。
ロビーで待つように促されるが、そこに行くまでの短い廊下を、足がうまく動かない。
時計をふと見ると13:40分ごろだった。『1時間半から2時間ほどお待ちください』
カプリが天に上る間、並んでいるメモリアルグッズを見たり、周りをうろうろ歩いたり、納骨堂を見てみたりした。
納骨堂にはたくさんの子たちが可愛く収まっていた。みんな愛されていたんだな。なんだかほっとした。
そして、しばらくした後、火葬の部屋の裏側にある煙突を見ると白でも黒でもなく煙自体でもなく
蜃気楼のように熱風が見えるだけだった。
直後からは見に行けなかった。煙になって見えるのはそうなることの過程を思ってしまいすくんでしまったから。
冬の日は短い。 周りを木々で囲まれたこの場所。木の向こうに沈み始めた太陽が寂しく見えていた。
1時間ほどして『今終わりました。少しの間お骨を冷やす時間を頂きます』
あっという間に終わっちゃったな・・・・
それからまた少しして『お骨上げの準備に入ります』
我が家、骨はもちろん、灰もその時にでた煤も、もちろん花やボールの分も全て、全部持って帰ることをお願いしていた。
もし、悪いところが見えたとしても、「それ」はカプリの一部だから。
そして『「拾骨の部屋」にご案内します』
真っ白な部屋に通された。そこには銀色のトレーにきれいに並べられたカプリの姿があった。
骨はとてももろくなっていて、拾骨箸でなくピンセットを勧められた。
分骨の為の小袋を頂き、それに歯、指、しっぽの小さな骨を2つずつ入れた。
そのまま、まずは私から。1つ、2つ・・・骨壺に入れる。・・・・・手が震えて続けられなくなった。
相方にバトンタッチ。ある程度入れて、斎場の方に残りを託した。
のど仏の骨はしっかり形を残していた。良かった。ここがしっかり残っていて、なんとなくほっとした。
顎の骨を持った時、少し割れてしまった。あいたたた・・・・・ちょっと痛そう。
細かい灰まで骨壺にきれいに入れて頂いて、またしばらく私たちはロビーで待機となる。
4寸という大きさの中に納まるほど小さくなったカプリ。寂しいなぁ・・・
昔トリマーだったという斎場の方の話だと、見て直ぐにがんの特徴がわかると言っていた。
やっぱり、下半身中心に、特に足には症状が強く出ているって。崩れている部分も多いそうだ。
さらに、カプリの腰の付け根あたり、あるはずの骨の一つが溶けてなくなってしまっているという。
最期の方は補助しても立っていられなかったもんね、弱ってたんだろうな・・・
ムギのことも少しお話をして、この子の性格も見事に当てられてw
カプリとの関係やこれまでの話をして、少し笑ったりしながら、和やかに時間が過ぎました。
全てが終わり、ロビーで最後の手続です。
白い骨袋が、いかにも・・・という感じで嫌だったので、前回記事に書いたようにオプションで変更して頂き、
骨壺を収めるボックスのようなものを取り寄せて頂くようにお願いをし、清算を済ませて、斎場を後にしました。
ムギを助手席に乗せ、私はカプリを抱いて後部座席に座りました。
朝曇っていた空はカプリが上るころには晴れてきて、帰るころにはきれいな空になっていました。
さすがカプリ、晴れ女です。
窓からは夕焼けの風景が見えます。この日、夕焼けは濃いオレンジに見え、とてもきれいでした。
帰り道、ちょっと買い物で寄り道しました。
ムギに蹴飛ばされたら大変なので、隠すように置いて、2ワンで留守番をお願いしました。
カプリだけは分骨の小袋を連れて歩きましたが。
街中はクリスマスや年末気分でわちゃわちゃ賑わっています。
私たちがさっきまで大泣きしていたこと、今とてもつらい想いでいること、そんなことは全く関係ない世界です。
花を一輪買いました。花束ではなく、一輪。 花よりだんごでしょうからw
家に着き、カプリをリビングに置きました。
すでにみなさんから供花が届いています。きれいな花が並ぶ中にいるカプリは笑っていると思います。
主のいなくなったソファー、音のしなくなった酸素ボックス。
片づけられてがらんとしたリビングは、酸素ボックスがででんとあるにもかかわらず、ひとりぶん広く感じました。
カプリの姿はどこにもないのです。面影はたくさんあるのに。
ずっとカプリを看てきた毎日。
明日からどうやって過ごせばいいのか・・・
斎場のHPです。アットホームな感じでした。こういう場所もあるのだと、一応載せておきます。
http://www.petcemetery.jp/main.html