荷風と一葉12/19日(日)朗読シネマ「寺じまの記・濹東綺譚」ひとり語り「女中のはなし・十三夜」 | 女優・朗読家 長浜奈津子*朗読空間

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こんにちは、長浜奈津子です🌸

市川市文学ミュージアム・ベルホールにて "おとがたり朗読シネマ" と "長浜奈津子ひとり語り"「市川荷風散歩 〜本八幡より〜」が2021年12月18日(土)ー19日(日)に開催されます。

『市川荷風散歩』〜本八幡より〜
世界を闊歩する風人、永井荷風先生のように、私も朗読しながら文学の世界を旅したいと思います。荷風作品をはじめ優れた作家の小説を朗読して、荷風先生が晩年を過ごし暮らした、市川・本八幡で、皆さまとご一緒に『荷風散歩』を楽しんでみたいと存じます📚 入場料は¥500。お誘い合わせて、またはおひとりで、作品を数本ご覧頂くなどお楽しみ下さい。皆さまどうぞベルホールまでお出かけ下さいませ。心よりお待ちしております。

<風人・永井荷風 外遊時代>
1903年(明治36年)荷風は24歳で渡米、1907年まで実業を学ぶために滞在。そのあとフランスへ渡り10カ月過ごしたと言います。荷風の専門家の方々のお話によりますと、荷風はホームシックになるどころか、海外暮らしが身にあっていたと伺いました。銀行勤めは肌に合わず、このフランス行きは、荷風たっての願いでお父様のコネを使って実現させたそうで、数ヶ月働いて、残りのふた月、パリに遊んだそうです。明治36年の日本では、日本国で初めての市電が大阪に走り、映画監督の小津安二郎、作家の山本周五郎や林芙美子、小林多喜二、草野心平が生まれた。日露戦争が翌年2月。そしてロシアでは、チェーホフの「桜の園」がモスクワ芸術座で初演されて、シベリア鉄道が走り始めた頃とのこと。若き荷風先生はオペラ座に通うなどフランスの文化を、美味しい水のようにたっぷりと吸い上げたに違いありません。そしてこの頃から「作家・永井荷風」としての人生を歩き始めたのでしょう。


第二日目 12月19日(日)のご案内です 
おとがたり朗読シネマは、ヴァイオリニストの喜多直毅さんの音楽と共に "荷風名随筆" の世界をお贈りします。長浜奈津子ひとり語りでは、永井荷風と樋口一葉。荷風の『女中のはなし』ではちょっと風変わりな女性が出てきます。時代と共に逞しく生きる若い女性。一葉は『十三夜』。貧しい暮らしの中で執筆を重ね、1年半の間で『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』を発表して文壇から絶賛されます。一葉は24歳で夭逝。明治時代、女性は家を守り、控えめにと習わされる時代に生きたお関を描いています。ごゆっくりお楽しみ頂けましたら幸いです。


2021年 12月19日(日)のプログラム

◎ 午前の部(終演:13時頃)
 開演 11時00分「寺じまの記」永井荷風随筆/朗読シネマ(37分)
  <休憩10分>
 開演 11時50分「女中のはなし」永井荷風/ひとり語り(60分)

◎ 午後の部(終演:16時頃)
 開演 14時00分「濹東綺譚」永井荷風随筆/朗読シネマ(51分)
  <休憩10分>
 開演 15時00分「十三夜」樋口一葉/ひとり語り(60分)


<会場> 市川市文学ミュージアム内 ベルホール
<所在> 〒272-0015 千葉県市川市鬼高1丁目1−4 生涯学習センター(メディアパーク市川)2階 
      tel:047-320-3334

<入場料> ¥500(ご予約不要:直接会場にお越し下さい)*途中でのご入場は不可
<お問合せ> tel 090-3339-1281 (長浜) 
      メール nappy_malena@yahoo.co.jp (長浜) 

<会場へのアクセス> 
JR総武線 本八幡駅・下総中山駅より徒歩15分 / 都営新宿線 本八幡駅より徒歩20分 / 京成線 鬼越駅より徒歩10分 /無料シャトルバス ニッケコルトンプラザとJR本八幡駅北口(パティオ付近)間で無料シャトルバスが運行されています。 *シャトルバスの時刻表 https://www.nikke-cp.gr.jp/guide/bus.jsp



<朗読シネマ/演目>
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『寺じまの記』 *朗読シネマ


浅草雷門前から乗合京成バスに揺られて、吾妻橋を渡り、源森橋… そして玉ノ井へ。バスを乗り降りする人々の姿、生き生きと交わされる言葉。人気小説『濹東綺譚』の舞台となった私娼街、玉ノ井の路地裏、窓の女たち。荷風の筆で色あざやかに蘇る古き時代の濹東の風景。

「雷門といっても門はない。門は慶応元年に焼けたなり建てられないのだという。門のない門の前を、吾妻橋の方へ少し行くと、左側の路端に乗合自動車の駐る知らせの棒が立っている。浅草郵便局の前で、細い横町への曲角で、人の込合こみあう中でもその最も烈しく込合うところである。ここに亀戸、押上、玉の井、堀切、鐘ヶ淵、四木から新宿、金町などへ行く乗合自動車が駐る。」1936年(昭和11年)4月。


『濹東綺譚』永井荷風 *朗読シネマ


小説家・大江匡と玉ノ井の娼婦・お雪の切なくも美しい愛の物語。昭和初期の私娼街を舞台に、その出会いから別れを季節の移り変わりとともに描き出す、1951(昭和26)年に発行された、永井荷風の代表作品。

6月末のある夕方、大江は玉ノ井付近を散策する。急に振り出した大粒の雨、ひらいた傘に突然飛び込んできたひとりの女、お雪。侘しい場末の町、蚊のわめく溝際の家に住むお雪と大江は、なじみを重ね、たがいに情を深めてゆく。純朴なお雪の恋心。玉ノ井路地の迷宮を彷徨い歩く大江の複雑な心情とヴァイオリンのアルペジオが切なく交差する。季節は夏を過ぎ、やがて秋の深まる十五夜を向えるのだが、二人の行く末はいかに…。



<長浜奈津子 ひとり語り/演目>
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『女中のはなし』永井荷風 *ひとり語り


「先生、わたし、お宅に置いて頂きたいんですけど、置いて下さらない。」友達の細君からの紹介でやってきた不思議な女、恵美子。三日ばかりの間、居つくかどうかと思っていたが、やがて一週間は過ぎ、十日あまりとなった。一月程たったころ、彼女が毎晩のように出歩いていることに気がついた。1938年(昭和13)2月草。

全国の舞踏場が閉鎖せられるという噂を聞いて、荷風はある流行歌と共に『恵美子』を思い出した。

…… なるようにしかならないわ。
悲しく沈む夕日でも明日のなれば昇るわよ。
強くなってねえ。あなた。
強くなってね。

時代の変化で女性の髪型や着る物までにまで厳しいお触れも出て価値観も大きく変わってゆく頃。彼女はそんな時代を逞しく生きてゆく。今では消息も分からぬ恵美子は、実在の人物なので、荷風は作品中で名を変えて筆者としての作り事など、筆を加えたと文末に記してる。

 


『十三夜』泉鏡花 *ひとり語り


お関は息子の太郎をおいたまま、そっと家を出て実家へ帰ってきた。晩秋の十三夜、うら寂しく白い月の冴えて浮かぶ、深夜である。夫の勇からの心なく酷い仕打ちに耐えかねてのこと。お関は離縁をしたいと哀願する。娘の話を聞いて母親は怒り、我慢する必要などはないと味方をするが、父親は子どものことを想って耐えなさいと原田家へ戻るようにたしなめる。また弟の亥之助は、仕事上でも夫の勇の世話になっていて、その関係を壊すことも出来かねる。苦しみを堪えて、やむなく実家から車に乗り、家に戻ろうとするお関。ある瞬間、車夫に懐かしい面影を見当てた。それは昔の想い人の高坂縁之助であった。1895年(明治28年)12月初出。




<公演の詳細ブログです>

 

 

 

 

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