2022年2/4【515】Excellent!難易度4
美術史上最大の詐欺師にしてナチスを騙した英雄。
絵画の巨匠《フェルメール》の贋作を描いた男、ファン・メーヘレン。
面白すぎるでしょ~!
こんなこと、ある!?
本書(事件)の概要を少し詳しく記そう。
メーヘレンは、幼少期から絵画の才能を発揮したが周りから認められることはなかった。
悔しさのあまり凄まじい執念の末『フェルメール風の』作品を生み出すことに成功。
それを専門家に見せたところ。なんと。
フェルメールの真作と認められてしまう。
何やってんのよ専門家~(笑)
決して自分を認めなかった奴らへの復讐のため、彼は贋作を描き続ける。
そんなあるとき、彼が描いた偽物の『国宝級』フェルメール(笑)が敵国ドイツの手に渡ってしまう。
メーヘレンが売ったのか?
国宝をドイツに?!
許すまじ!
国宝をナチに渡したとして反逆罪からの死刑の危機に瀕し、この一言を口にすべきか否かに悶え苦しむメーヘレン。
「私は贋作者です。」
真実を語れば命は救われるが『フェルメール最高傑作』として称賛されている自身の作品《エマオの食事》は、世間の嘲笑の的になるだろう。
パニックと病と恐怖と焦燥感が彼を襲う。
どうなっちゃうの~!
最終的に彼は「あれは贋作だ」と告白するんだけれど。
まさかの、信じてもらえず(笑)
も~~
面白すぎるわ~
以前レオナルド・ダ・ヴィンチ絵画をめぐる美術界の腐敗の本で触れたけれど。
芸術の世界って、本っっっ当に難しい。
何をもって『真作』とするのか?
『証拠』がないんだもの。
そもそも証拠って何?
仮に証拠があってすら『思い込み』という先入観には勝てないのだ。
『価値』ってなんだろう。
『本物』なんて誰が決めるんだろう。
深みだの洞察力だの画家の内面の感情だの、そんなの、技術を越えた一体どこに存在しているのだろう。
どうして便器にサインしただけで(マルセル・デュシャン)、専門家から絶賛されちゃうんだろう。
本能だの直感だの才能だの、そんなの幻想に過ぎないのではないか(少なくとも美術の世界に関しては)。
専門家なんて、結局は権威の塊。
世間の動向なんて、所詮は裏にあるお金と権力に操られているだけ。
本書を読むとそんな気がしてならない。
メーヘレンの根性がまた凄い。
出来たてホヤホヤの絵を数世紀前のフェルメール作品に『する』ために、現代の科学技術に対抗するために、徹底的に化学実験を繰り返す。
本業は画家なのに、その様はまるで科学者である。
画家としての才能も普通に『天才』。
なにしろ、フェルメール本人よりフェルメールらしい絵を描くのだから。
私生活もぶっ飛んでいたようで、なんだかんだ言いつつ、最高の人生だったのではないだろうか。
あー面白かったー!
誰がなんと言おうと、周りがどう好き勝手言おうと、言わせておけばいい。
自分が『これ』と信じたものがあるのなら、それが自分にとっての『本物』なのである。
『美術』や『音楽』に成績を付けるなんて、全くもってバカげている。
🌼コメント宜しくお願いします😊🌼