巓古四十八手 その二 | 『高堂巓古 Officia Blog』

巓古四十八手 その二

 過日、或る方が奇数が厭、特に17あたりは生理的嫌悪感まで抱くとおっしゃるものだから、たまたま手元にあった『達人伝17巻』をお贈りした。非常に厭がられ、胸をなでおろした次第である。そのままお返しとしてだろうか、私は五十嵐貞一翁の富士山登頂記念マグカップを「い、いらない」という無礼な台詞を飲み込みながら頂戴した。五十嵐翁は百歳を越えて富士山を登頂した男だという。百歳を越えてと言の葉を濁したのは、登頂したのが百五歳やら百一歳やらと諸説あるから。マグカップが醸すB級感にあっさりと敗れ、二千円以上もだしてもとめられたというから、ありがたくいただいた。もっとも私が異国にいるあいだに、家人によってカップは棄てられてしまったのだが。

 
 あくる月の半ば。盆でかえると、義父が若かりしときの写真を幾葉も見せてくれた。そしてそのなかに、あたりまえのように義父の傍らに坐している五十嵐翁の姿があった。義父に訊ねると、おもいもよらぬこたえがかえってきた。なんと五十嵐翁は親戚であったのだ。やはり17という数には何かがある氣がする。ちなみに17画は権威が備わるという吉数。その権威に屈し、帰宅後あわててゴミ箱からマグカップを救ったのは云うまでもない。こうしてどのような悪戯をしようとも、あるべきものはあるべきところへ落ち着いていくものなのかもしれない。