「今こそ全てを話す。俺が今までどんな思いで生きてきたか、全て話す。夜空のお星様全てに向けて、今から話していこうと思う」、録音はこんな言葉で始まっている。性能の悪いオーディオプレイヤーで録音したので音質は極めて悪い。辛うじて言葉を聞き取れる程度か。
「人生はな、ホントに思い通りにいかないことだらけなんだ」、そういって始まったのは数々の愚痴。小学校高学年から中学まで耐え続けたイジメ、9割近い点数を取っていたにも関わらず内申点なんかで不合格になった高校受験、高校で編入目指し最後まで戦ったのに裏切られて自暴自棄になった日々、大学での登坂生活やアルバイト面接の壁、そしてマイカーという夢の最後の砦を守るため孤独に戦ってきた日々。
「今の世の中おかしいんだよ!例えば野球やバスケの選手を目指す人はボールひとつでキャリアがスタートするのに、車好きな人は18歳になるまで手先すら触れられず、ようやくなってもなお資金的な問題でこんなに邪魔されて、その邪魔が時代と共に大きくなっている。若者からより高い税金や維持費を取りやがってよ!若者こそが夢を叶えるために純粋な気持ちで頑張ってるのに。特に俺なんか頑張れば頑張るほどどんどん敵が増えて…」
「勉強のできない人がちょっと実技で補うことが出来る、それくらいの埋め合わせだったらまだいいけどよ、これだけの成績を残した者をなんて落とすんじゃ、入試だって9割だぞ、9割取ったんだぞ俺は。(いじめっ子を見返したくて)こんなに努力を証明したんだ俺は!」
「こういう風に人生、何をやっても全ては負の方向に落ちていくしかないんだ」「接客が苦手なら上達したい、だから俺は接客のバイトをこんなに強い気持ちで受け続けたのに、正社員に雇って欲しいならまだしも金がなくて困って真剣に頼んでるのに、そっちは人手不足で募集しておきながらなんで落とすんじゃ」
「人生は何も上手くいかへんのじゃ、ようわかったわ。だからこうやってな、二十歳で迎えたこのクリスマスイブに、一人怒鳴りながら散歩せなあかん。本当は新宿とかで彼女と2人で過ごしたかったのに、車さえあれば夜のドライブ行けたのに」
「何で時間が過ぎるのはこんなに遅いんじゃ、もっと早かったっていいやろうが、いつまで俺ガキやねん、いつまで俺子供扱いされなあかんのじゃ!」「若者らしいことは何一つできんかったけど十分生きてきた、もう十分、そろそろ大人の暮らしに移りたい」「俺の不運は、生きているはずの妹だって死なせてしまう。それまでずっといて欲しかった妹なのに、ホントに!成長してほしかったのに、なんで俺の不運は人まで殺してしまうんだ、人命だぞ!!」(この後しばらく大泣きしている)
最初の15分はここまで。第2章へと続く…。