突然認知症が始まった、その2 | 髭の拝さんのブログ

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病について分子栄養学的観点で思い付くまま書き記しますが、中身は栄養素の生理活性をお知らせしながら
健康回復の道筋を説きます。
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浮腫や腹水、その原因の多くは血管の中を流れるタンパク質の不足で起こるものです。それは肝臓で作るアルブミン(血中タンパク質のひとつ)が肝機能低下によって生産不能になり、血管内の水が血管の外に溢れ出してしまった為に現れる現象なのです。こうした現象を脱水と云います。

グロブリンが免疫担当のタンパク質であるのに対して、アルブミンは、栄養素や薬剤、水を運搬するキャリア蛋白と云います。

アルブミンの低下があると、栄養素を体の隅々に配り難くなる、水を捕捉できなくて、血管外に水を滲み出させて浮腫を引き起こす、と、云うことになります。

老いは食事量の低下とともに、タンパク消化も苦手になり、ミネラル類の吸収低下も引き起こします。それだけではなく、おばあちゃんの場合は、消化器である肝臓が著しく機能低下を起こしているために、栄養状態が非常に悪くなっているはずです。

消化能低下、食事不良(特にタンパク質・鉄などのミネラル不足)が、鉄欠乏性貧血を重篤にしたのだと思います。

嫁さんに言いました。

「デイサービスの医師でも、掛かり付け医でも良いから、おばあちゃんの血液検査をして貰ってください。そして、総蛋白、アルブミン、尿素・窒素、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV、等々の検査結果を貰ってくださいね。」

「病気を治すために検査するのではありません。アルブミンの低下があれば、保険でその点滴もしてもらえるはずです。その点滴によって、浮腫が減り、腹水貯留が減ればおばあちゃんは、身も心も楽になります。そうなれば、おばあちゃんの世話をする貴方がた夫婦の心も楽になるのですから。」

嫁さんはメモを取っていた。

ドクターが血液検査をしてくれるかどうか? それすら判らない。

でも、ご老人に浮腫があれば利尿剤を投薬する。腹水が貯まればその水を抜く。腹水を抜くことが人の栄養状態(健康状態)を悪化させることを医師は理解しているが、それでも、当たり前に成されている治療です。その結果、利尿剤で浮腫がスッと引き、復水を抜くとお腹が凹み老人は楽になった、と喜びます。

しかし、それで良いのだろうか?

終末期医療では、回復させる術がないのだから起きている症状に向かって治療を施す、それしかないのだから、それが最善の治療だ! と、思っている節がある。

それは違うと思う。

最期の時まで達者で過ごせる、というのが人の幸せであるとすれば、同じ寿命を全うするのに苦しみ抜いて終わるのだったら、それは、最大の不幸です。体の中のタンパク質が不足するだけで、たったそれだけで、生き続けることが苦痛になるのですから。

しかし、肝不全に至った状態では、タンパク摂取が身体に(窒素変換されずにアンモニアの発生など)障害を与えることも多いので、タンパク質をいっぱい食べようね、と勧めることも要注意なのです。(医師に相談することが必要です。)

そうした観点からも、アルブミンの静脈注射を受けるのは、患者の身体が一番求めているのです。患者の身体が欲しがっているものが投薬されると、患者は楽になるのですから。

患者が楽になると、医療・福祉従事者の手助けが軽減されて、家族たちも平穏に過ごせる日が増えていきます。

でも、やがて最後の時が来るのでしょう。その時、柔かな顔で眠るように逝きたい、それは私自身の願いかもしれません。

次回は、「貧血が認知症状を招いた」、そんなタイトルに移りたいと思います。